オリックスの太陽光、電力会社通さず工場に大型売電

オリックスの太陽光、電力会社通さず工場に大型売電

[有料会員限定] 日本経済新聞

オリックスは太陽光パネルを設置し、売電収入を得る事業を展開している(小売店の屋上に設置したパネル)

オリックスは太陽光由来の電力を工場などに直接販売する。パネルを大規模に設置し、売電で収入を得る。太陽光の発電事業者は固定価格買い取り制度(FIT)を通じ、大手電力などに売電するのが一般的だった。製造業などで取引先から脱炭素を求められる需要が増えており、電力会社を通さない「直売」モデルに取り組む。

同社は6月、約2200キロワット分の太陽光パネルを、デニム生地製造のカイハラ産業(広島県福山市)の工場屋根に設置する。発電した電力はカイハラ産業に供給し、工場で消費してもらう。曇っている時間帯や夜間については、別途電力会社から電力を調達する。

契約期間は18年で、オリックスはこの間に受け取る電気料金で設置や保守にかかる費用を回収する。世界的な衣料品メーカーを顧客に持つカイハラ産業は、顧客企業から事業の脱炭素化を求められている。今回の取り組みで電力分野の二酸化炭素(CO2)排出量を約12%削減する。

オリックスはこれまで小売店などにパネルを設置してきた。工場に設置するのは初めてで、こうした取り組みでは国内最大規模となる。

太陽光発電業者はFITを通じて電力会社に電気を買い取ってもらうのが一般的だが、2012年の導入時に1キロワット時34~42円だった買い取り価格は、21年度には11~19円に下がった。250キロワット以上の太陽光は入札制で、21年度は10~11円に決まった。

FIT価格の下落で太陽光発電事業の採算が悪化する中、脱炭素を目指す企業に直売する方が、高い価格で販売できることもある点にオリックスは目を付けた。

FITを通さない「非FIT」の再生エネ電力は購入側の企業にも需要がある。企業が再生エネ由来の電力を国内で調達するには①大手電力や新電力などの電力小売事業者から「非化石証書」などの証明書付きのFIT電力を購入する、②設備を自社敷地内に設置し電力を自家消費する、③再生エネ発電事業者から電力小売事業者を通じて非FIT電力を購入する――といった方法がある。

①の「非化石証書」は証書を1キロワット時当たり1.3円以上をかけて取得することが多い。他の方法と比べ一般的には割安だが、化石燃料由来の通常電力などと混ざって供給されることが多い。

こうした背景から脱炭素を顧客企業などにアピールするため、多少コストをかけても再生エネを調達する企業が出始めている。エネルギーを扱う企業の中には、FITを通さずに太陽光電力を買い取って顧客企業に販売する企業も出てきた。

シナネンは太陽光発電のクリーンエナジーコネクト(東京・品川、CEC)から非FIT電力を購入し、顧客企業に販売する事業に乗り出す。25年度までにCECなどから計10万キロワットの非FIT電力を購入する計画。CECは21年10月をめどに、シナネン向けを想定した1000キロワット程度の発電所を建設するなど投資を進める。

シナネンは1キロワット時当たり十数円程度で調達し、顧客への販売時には託送料や手数料で同5円程度上乗せする。通常の電力は、大規模工場の場合は同15円程度で、やや割高になる。それでも「外資系企業やその取引企業からの引き合いが強い」(高松建哉環境エネルギー事業本部長)と言う。

東京ガスは太陽光発電事業者のリニューアブル・ジャパン(東京・港)と非FIT電力購入の契約を結び、早ければ22年にも電力の調達を始める。企業や個人などに販売していく。具体的な電力量などは公表していないが、リニューアブル・ジャパンが約50キロワットの小型発電所を数百カ所以上束ね、東ガスに電力を供給する。

大阪ガスは再生エネ大手のウエストホールディングス(HD)から非FIT電力を購入する。ウエストHDが21年度から開発する数千カ所の小型太陽光発電所から計20万キロワット調達・売電していく。

発電事業者と顧客企業が直接電力を取引する契約は「コーポレートPPA」と呼ばれ、再生エネで先行する欧米で盛んだ。米国ではアップルやグーグルなどが実施。自然エネルギー財団によれば、米国では19年に原子力発電所9基分に相当する約933万キロワットのコーポレートPPAの契約が交わされた。

日本では電気事業法上、電力販売は電力小売事業者を通す必要があるため、事業者として登録しているシナネンや東ガス、大ガスは非FIT電力の「卸売り」に商機を見いだしている。

(柘植衛、落合修平)

カテゴリー: 太陽光発電 パーマリンク

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください