大東建託、電力小売りから撤退

2017/11/25 日本経済 大東建託が電力小売りから撤退する。グループの新電力会社で、販売電力量シェア第5位の大東エナジーが11月、不採算を理由に契約者に電力会社の切り替えを求める通知を送付し始めた。管理物件に安い電力を供給して契約を増やしてきたが、卸電力市場への依存により市場価格の変動への対策が甘く、採算が合わなくなった。異業種参入の契機となった電力小売り全面自由化から1年半超。企業淘汰の波が大手にも押し寄せてきた。

大東建が建てたアパート

 

大東建託は2014年に大東エナジーを設立した。同社は卸市場など外部から電力の大半を調達して小売りするビジネスモデルを展開してきた。

全国の大東建託グループの賃貸住宅の入居者を対象に、電気代が大手電力より3~5%安く、家賃と電気代をセットで支払えるサービス「いい部屋でんき」を提供。経済産業省によると、今年4月時点の家庭向け新電力販売シェアは3%。東京ガス大阪ガスなどに続く5位だった。

しかし、8月末に同サービスの受け付けを中止した。11月に入ってから、既存の顧客に対して他の電力会社へ契約切り替えを求める通知を出し始めた。18年3月までに全契約者に発送するという。

発送書類には、切り替えられる電力会社の一覧や手続き方法を記載した。発送後、1カ月以内に電力会社を切り替えるよう求めている。

東ガスやJXTGエネルギーなどは自前で大型発電所を持ち、市場価格の変動の影響が少ない。一方、発電事業者と事前に相対契約を結ぶなど、卸市場だけに頼らずに電力の調達先の多様化などリスク分散を徹底する新電力もみられる。大東建託は「市場価格の高騰に加え、賃貸住宅は入退去が激しく電力顧客管理システムの対応が追いつかなかった」と説明。電力需給が逼迫する夏場の価格上昇など、市場価格が大きく変動した際のリスク管理が不十分で採算難に陥ったもようだ。

16年4月に電力小売りが全面自由化されると、既存顧客へのサービス向上を目的にガスや通信、鉄道、不動産など異業種が相次いで小売事業に参入、新電力は約400社にふくれあがった。

しかし、16年4月に企業や自治体向けに小売りしていた日本ロジテック協同組合(東京・中央)が破産した。顧客獲得のために採算を度外視した安値販売で資金繰りが悪化したためだ。

17年10月にはオリックスが、マンション1棟単位で電力を販売する事業を関西電力に175億円で売却した。7万6千件の顧客を抱え、事業自体は黒字だったものの「今後の成長が見込めない」として譲渡を決めた。

電力事業に不慣れな異業種からの参入で、電力の調達や需給の管理がずさんな新電力は多い。電気料金の安さを売りに顧客を獲得した後、資金繰りに行き詰まる新電力が今後も出てくる可能性がささやかれている。

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