日本国債

最近はこの手の記事をよく見かける。半年後か、1年後か。日銀直受けのヘリコプターマネーの現実性、出口戦略を封じられたマイナス金利をどのようにアベノミクスは処理しようとしているのか、国民は否が応でも対応しなければならない時が来るのだろう。


敗戦後、失われた預金 日本国債(5
財政・金融一体化に警鐘 2016/8/14付

 敗戦を告げる玉音放送の半年後。1946年2月16日夕刻の渋沢敬三蔵相によるラジオ演説で国民は「国家財政の敗戦」を知らされる。「預金の支払制限 世帯主三百円」「新日銀券を発行」……。後の日本経済新聞、「日本産業経済」は翌日付でこう報じている。

新札を刷る余裕がなく、旧円に証書を貼った紙幣を代用した(貨幣博物館)
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新札を刷る余裕がなく、旧円に証書を貼った紙幣を代用した(貨幣博物館)

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元財務相の藤井裕久氏(84)は「旧円に証書を貼った紙幣を新円代わりにしたことをよく覚えている」。預金封鎖と新円切り替えの準備は極秘に進められ、新札を刷る余裕がなかったためだ。

米経済学者のカーメン・ラインハート氏とケネス・ロゴフ氏は金融危機の歴史を研究した大著「国家は破綻する」で事実上の国内債務デフォルト(不履行)の例に終戦直後の日本を挙げる。

■インフレ率568%

 同書によると45年のインフレ率は568.1%。政府は国民の財産を吸い上げ、インフレで債務の実質価値を目減りさせて、戦時国債で借りたお金をなんとか返した。

70年後の日本。ネット上には「発行残高1000兆円の国債は政府の債務で国民は1000兆円の債権者」「国債のほとんどは国内で消化しているから財政破綻には至らない」といった言説があふれる。戦時国債もほぼ国内で消化され、国民は債権者だったが紙くず同然になってしまった。

今の日本の財政状況は異常だ。国際通貨基金(IMF)の最新の統計によると日本の国内総生産(GDP)に対する債務残高は249%でギリシャの178%を大きく上回る。第2次世界大戦中の44年の204%より高く、古今東西を見回しても46年の英国の270%に匹敵し、大戦でもないのに史上最悪に近い。

歴史をさらにさかのぼろう。徳川幕府が財政の立て直しに使ったのが小判に含まれる金の量を変える貨幣改鋳の差益だ。265年間続いた江戸時代、金貨改鋳は9回あった。金の含有量をみると、家康が将軍になる直前の1601年に発行された慶長小判の15グラムに対し、最後の改鋳で1860年にできた万延小判はわずか2グラムにすぎない。

■過ちは繰り返す

 改鋳は5代将軍綱吉の放漫財政時や飢饉(ききん)で財政が逼迫した幕末に集中した。綱吉時代の勘定奉行、荻原重秀は「貨幣は国家が造る。がれきでもかまわない」との名言を残した。

バーナンキ氏が米連邦準備理事会(FRB)議長就任前に「日銀はケチャップを買え」「ヘリコプターからお札をまけ」と語った話と符合する。

見た目の輝きは同じでも改鋳による通貨の劣化と背後にある財政難は必ず見抜かれてインフレを招いた。遠い昔の話と笑えるか。「国家は破綻する」の原題は「今回は違う」。過ちはいつもこの言葉の後に繰り返す。「財政と金融の一体化が進むアベノミクスは違う」のだろうか。

=おわり

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