米国債はバブルか FRB、9月にも資産圧縮

 日銀を筆頭にメガバンク・生保が保有する日本国債にその影響はいかばかりか。
出口戦略の無い日本国債が売り出される時には強烈なインフレが待ち構えている。
円安が株価との連動性を失い、株価急落となれば消費税増税も再延期、いよいよ政財界に経験したことの無いショック症状が訪れる。バブル経済に慣れた果てに迎えるものはリセットしかないのではないか


市場、金利急騰を警戒  2017/8/6 12:02 情報元 日本経済新聞 電子版から

米連邦準備理事会(FRB)が秋にも米国債を含む保有資産の圧縮を始め、2008年のリーマン危機以降、中央銀行が演出してきた低金利政策が転機を迎える。金利反転リスクへの警戒も根強く、「米国債バブル」の言葉も生んだ長期緩和の出口を軟着陸させられるかは、世界経済と金融市場の安定性を左右する。

「我々はバブルを経験している。株ではない。債券だ」。グリーンスパン元FRB議長は最近、米メディアで危機感をあらわにした。「どんな尺度でみても長期金利は低すぎ、持続不能だ」

FRBの保有米国債は2.4兆ドル強(約270兆円)。09年の量的緩和前の5倍に増え、国債発行残高のおよそ16%を占める。この巨額購入のおかげで米長期金利の指標である米10年物国債の利回りは2.2~2.3%台での低空飛行が続く。

債券は価格が上昇すると金利は下がる。大量のマネーが米国債に向かい値段が急騰したことで、今の米長期金利は4~5%で推移していた08年のリーマン危機前のおよそ半分。バブル的な様相とみる声は多い。

潮目はいつ変わってもおかしくない。FRBは9月にも金融危機後の量的緩和で買い込んだ米国債などの保有残高を少しずつ減らす資産圧縮の開始を決める。米ファンドの債券運用担当者は「中銀の支えなしにこの金利水準の維持は無理。金利上昇のマグマはたまっている」という。

邦銀、含み損を懸念

米国債の発行残高は金融危機対策や社会保障費の増大を受け、危機前の6兆ドル台から15兆ドル超(約1650兆円)まで膨張。FRBを除く米国勢が7兆ドル超を保有する最大の投資家だ。金融機関と年金(3兆ドル)、投信とMMF(1.7兆ドル)が目立つ。一方、4割は米国外の投資家が持ち、日本や中国など各国の公的部門が持つ部分は4兆ドル程度。米長期金利が上昇した場合は様々な経路で悪影響が拡散する。

米国債の価値が下がるとドル建て外貨準備が目減りし、マネー流出時などに「自国通貨買い・ドル売り」という通貨防衛策の余地が狭まる。深刻なのは米国外の民間部門。保有米債が急落すると時価会計ルールで損失計上を迫られる場合もあり、経営問題になる。

トランプ政権誕生に伴う16年末の金利上昇でも邦銀は含み損を抱えた。16年9月末に計約6700億円あった3メガの外債の含み益は12月末に約3200億円の含み損に転落し、地方金融機関も軒並み財務が悪化した。

米財務省によると、米国外の民間部門の米国債保有額は1.8兆ドルだ。みずほ総合研究所が各年限の金利が1%上昇した場合の影響を試算したところ、米国債の時価評価額が1200億ドル(13兆円)目減りする結果となった。坂中弥生氏は「世界的な低金利を背景に民間資金が米国債に向かい、金利急騰リスクはたまっている」とみる。

米金利が上がらない根っこには成長期待の低下があるが、それだけでは説明できない。長期金利は理論上、将来の短期金利の見通しに、資金を長く固定するリスクに見合う上乗せ分(期間プレミアム)を足して決まる。ニューヨーク連銀によると3月以降、上乗せ分がマイナスで定着する異常事態になっている。

最近のマイナス幅は0.15~0.25%程度。00年以降の平均はプラス1.1%だ。FRBの大量保有や米国外からの資金流入で、金利が過度に押し下げられている。

もっとも中央銀行が供給した巨額の緩和マネーは有利な運用先を探しさまよう。FRBが米国債の持ち高を減らし金利上昇観測が強まればマネーの米回帰も加速し、金利が急上昇する事態は避けられる可能性も高い。

やむを得ず運用

米国債ほど流動性に厚みがあり、安全な運用先がないのも現実だ。「何を買えばよいのか」。7月、東京都内の証券会社に勤めるエコノミストは地方銀行の運用担当者に泣きつかれた。やむなく薦めたのが米国債とカナダ国債。金融庁は地銀の外資投資へ監視の目を強めるが、長期金利がゼロ近辺にへばりつき、運用担当者も「やむを得ない」と腹をくくる。

米景気が来年にも減速に転じるとの警戒が強まり、FRBも慎重な手綱さばきで臨まざるを得ず、FRBの出口に伴う金利上昇は1%を大きく下回るとの試算もある。

それでも何らかのショックで米金利急上昇のリスクは排除できない。欧州中央銀行(ECB)や英イングランド銀行も金融緩和の出口を探る。

「世界債券市場のクラッシュ」。バンクオブアメリカ・メリルリンチの7月の機関投資家調査で、最も多い3割近くの投資家が「最大のテール・リスク(確率は低い半面、起こると影響が甚大なリスク)」に選び、割合は6月の2割弱から大きく上昇した。

米国債の値段が下がり金利が急騰すれば日本の長期金利上昇などに波及する可能性が高い。リーマン危機時のように金融機関が米国債の損失を埋めるために株式や他の債券を売って含み益を吐き出す悪循環に陥る展開も予想される。米国債バブルが崩れたときの負のインパクトにどう対処するか。国際金融市場が直面する最大の課題だ。

(ニューヨーク=大塚節雄、高見浩輔)

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