行革に対する国民的理解のために(その1)

行革に対する国民的理解のために(その1)

とかく数が多すぎると言われる公務員であるが、諸外国と比べるとどうであろうか。 下
の表は、いささかデータは古いものの(総務庁の1994年時点調査データ)国際比較の
一助にはなるものと思う。
公務員は、国家公務員が約83万人、地方公務員が約328万人となっている。今現在
の国家公務員は849,212人であるから若干増加をしていることになる。

国名   国家公務員数  地方公務員数  人口千人当たり数
(万人)       (万人)        (人)
日本      83     328     40
アメリカ    212     1625     80
イギリス     42      264     83
フランス    167      222    104
ドイツ      20      429     68

人口千人当たりで見ると、日本は40人程度ということで、先進国の中では最低値に入
る。 国家公務員は7人で、ドイツよりは多いが、それでも少ない方に属する。地方公務員
に至っては、26人程度と完全にトップクラスの少なさである。
国家公務員の定員は、昭和40年代の前半には約90万人だったが、現在まで国家公務員
総定員法という法律によって徐々に減少してきており、現在約84万人である。
行革の究極の目標は、規制緩和とそれによる小さな政府の実現、ひいては職員の削減と
いうことになるが、行政サービスの低下をまねかずに目標を達成していくことが大切であ
る。独立行政法人化などで、目先、公務員の数を減らしたとしても、逆に特殊法人や公益
法人などにすげ替わることであってはならないのである。
問題は行政が行う必要のないサービス、過剰な届け出、許認可規制について原則撤廃を
するなどの前向きの動きをとる必要がある。そのことによって、行政職員の数が実質的に
減るからである。つまり減らすことのできるサービスを無くす事が行革につながるのであ
る。例えば、電気保安業務の届け出規制というのがある。つまり、変電所をもっている事
業所(ロードサイドのファミリーレストランくらいの規模以上の所)は全国で80万カ所
くらい存在するが、電気主任技術者に月例の点検をさせる事によって、本来の電力会社の
保安責任を需要家に転嫁させている制度がある。この制度の運用のために、電気主任技術
者に書類の届け出をさせている。
平成10年12月からは、旧電気事業法時代には対象ではなかった小規模需要家(変電
所の規模が50kW未満の所)まで保安管理の対象に入れる逆規制を行っている。つま
り、ミニバイクにに車検制度を導入するようなことである。なぜこのようなことになるか
というと、一部業界、一部団体の民間規制とそれに乗るお役人、同時にユーザー側の無知
無関心、お上依存意識のなせる業である。電気保安点検制度という規制制度は外国には全
く存在しない、日本独特の、しかも高度成長期の遺物でもあり、自由化をするようにあら
ゆる場面で私は言ってきているが、もう少し、ユーザー側が直接主張していかなければな
らない。こういったことは、多々、色々の業界で思いあたることが多いのではないだろう
か。
稼ぐことと遊ぶことの他に、改革のために何も為さざる国民がまねいた現代の状況はど
うなっているか。生まれながらの赤ん坊一人あたりに対して600万円もの借金を課して
いるのである。
1999年度末の国・地方を合わせた長期債務は600兆円。内、国債発行残高は33
0兆円これに対し国の税収は47兆円。市場金利が低い間は問題が顕在化しないが、今の
ままで放置すると、金利の上昇とともに、金利の支払いが急上昇し、国民に対する増税策
が早期にやってくることが目に見えている。そういった事態は、日本経済の活力を根本か
ら削ぎ、財政破綻とともにこの国の形を一層、不安定な方向に導くことになる。国債を発
行しはじめたのは昭和40年以降、特に昭和50年ぐらいから増えだし、バブル崩壊後さらに
増えてきている。昨今の政権では、なりふり構わない公共投資という”定説”路線を突っ
走る事にブレーキをかけてくれることになるのか。要注意である。
一方、予算の中で人件費が占める割合は平成8年度で14-5%程度であるといわれ、企
業経営センスからいっても、国家公務員の給料で財政が悪化しているようには思えない。
問題は霞ヶ関の官僚と呼ばれる人たちの政策執行能力の低下が、行政サービスの非効率化
を生み出しているのである。たとえば、何か政策を行うための調査を行おうとする。昭和
30年代では、公務員自身が行うか、公務員がアルバイトを雇って行っていた。しかし、
現在は、全て外注である。外注先は、特殊法人や公益法人になる。このような法人は結局
は大手の民間調査会社に外注し、民間の会社は中小の会社かアルバイトなどを雇って調査
を行う。そうすると、従来公務員が自分でやっていたような仕事が、一人の公務員の給料
の何10倍もの費用に化けていくことになる。IT革命の時代、公務員の能力向上が果た
せれば、また、調査委託なども、中間コストの削減を工夫すれば随分と削減できるものと
思う。
また、公共工事などでは、拙宅の地先の道路などは、何の工事か解らないが、年中掘り
返しており、随分と無駄なことをやっている。市であれ、県であれ、来年4月からは情報
公開法の施行となるので、こういった細々した問題まで、消費者自身が動いてチェックす
るという努力が大切である。
下記のような毎日新聞の記事を読むにつけ、特殊法人などへの天下りは、この国の官僚
の国民性からいって、なくならないという見識は大事である。あらゆる点で、国民自身が
直接チェックする時代に入ったといえる。
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<特報・天下り>72法人に309人 特殊法人役職数の4割
(毎日新聞-2000年8月9日(水)全文)

全部で78ある特殊法人のもつ計726の役員ポストのうち、4割を超える309ポス
トを官僚OBが占めていることが8日、政府の内部資料でわかった。特殊法人は高級官僚
の「天下り」先になっていると批判されてきたが、中には官僚OBの独占状態にあるとこ
ろもあり、特殊法人の見直し論に拍車がかかりそうだ。
内閣内政審議室が同日、与党3党の行財政改革推進協議会(座長・野中広務自民党幹事
長)に報告した資料から明らかになった。数字は今年1月末現在。

報告資料によると、官僚OBの天下りを受け入れている特殊法人は全体の9割を超える
72法人に達し、役員ポストの半数以上を官僚天下りが占めているのも全体の6割を占め
る46法人に上った。うち14法人は、複数ある役員ポストの中で天下り以外の生え抜き
役員が1人だけ、という省庁OBの「独占状態」だった。

建設、農水など5省庁が共管する「水資源開発公団」(役員数11人)は、建設省技監
出身の総裁をはじめ官僚OBが10ポストを占めた。10人の内訳では農水3人、建設2
人のほか、所管省庁ではない大蔵OBも1人が天下っていた。

環境、通産など6省庁共管の「環境事業団」(同5人)は、理事長と理事の4人が官僚
出身。最も多くのOBを受け入れているのは建設、通産など3省庁共管の「地域整備公
団」(同13人)で、11人だった。

報告は天下り役員の経歴も記載。ある通産省OBは特殊法人「中小企業金融公庫」理事
に就任した後、民間商社の専務を経て特殊法人「国際協力事業団」の副総裁に就任した。
「国際観光振興会」の会長は海上保安庁長官を退職後、経営破たんした日本長期信用銀行
の顧問を経て天下った。各法人の総裁、理事長クラスの月収は130万円前後で、役員を
3年務めた場合、約1700万円の退職金を受け取ることになるという。

特殊法人改革をめぐっては、自民党の行革推進本部が97年に整理・合理化や業務見直
しを決定。これを受け政府も、「役員報酬の引き下げ」を2度、閣議決定している。同日
の行財政改革推進協議会では、与党側から給与について「まだまだ高い」との指摘もあっ
た。 【竹島 一登】
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次回、行革については、(その2)を続けます。

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