金融証券に対する国民の選択方向

金融証券に対する国民の選択方向

橋本内閣の時に金融ビッグバンが宣言されて、銀行、証券等の金融業は、自由競争下の
生存競争に突入した。証券に関していえば、去年の10月1日から手数料の自由化が始まり、
それから約半年経ち状況は大きく変わったといえる。
倒産した山一、三洋証券のあと、景気対策のカンフル剤効果で、今でも280の証券会社が
残っている。90年のバブル崩壊以降の証券不況を通じて、証券人口はピークの18万人から8
万人程度に健全化した。今後は会社の数が減るか、インターネット証券に転身かの方向と
なる。
昨年10月の手数料自由化以降、いわゆる護送船団方式がなくなり3月決算(2000年3月
期)では、野村の3千億円を筆頭に大方の証券会社は赤字から一挙に黒字に浮上した。しか
し、これは、最後の晩餐にお近いことであろうかと思う。これから第2ラウンドに入るこ
とになるのである。
証券会社の中で、松井証券という会社があるが、この会社は社員150人位で、インターネ
ット証券として自由化直前の9月で月間400億円の売買金額があった。しかし10月1日に自由
化となり、これを契機に、一挙に手数料を10分の1からスタートした。このため、売買金額
は凄まじい勢いで膨らみ始めた。なんと9月の400億円が10月は1,000億円、11月には2,000
億円、最近では、3,000億円近くになってしまった。大手の手数料と比べて、10分の1であ
るから儲けは減るであろうが、本来の利益構造会社になったということである。こういっ
た会社の存在感が、競争社会で今後大きくなってほしいものである。
一方、銀行業界はどうかというと、北海道拓殖銀行、長銀、日債銀の破綻は、政治力と
大蔵省の金融行政が金融危機に対していかに無力であるかを見せつけている。巨額の公的
資金投入により上位銀行は小康状態にあるが、下位銀行はさらに厳しいリストラ実施を迫
られている。まさに今、信用創造が破壊して、信用収縮と再生が加速している。
銀行も株式会社であるはずなのに、経営内容の情報公開(ディスクロージャー)が不十
分であり、各銀行の不良債権についてもすべて藪の中にあることが問題なのである。その
割には変なプライドと慣行が渦巻いている業界である。一つの例であるが、当座預金など
というのは、9行に限っていえば、絶対といってよいほど新規の開設はさせない業界であ
る。欧米では、即日、個人でも当座の開設はできる。金融業に対する姿勢が全然なってい
ない業界である。つまり人の預けた金(キン)を勝手に銀(ギン)の値打ちに変えて運用
してしまうところに問題がある。すなわち、預金者は無担保で銀行にお金を預けていると
いう認識がない。
平成12年3月決算では大手銀行は5兆円近い業務純益を基に、軒並み巨額の不良債権
処理を行った。しかし証券と違って、銀行の統合整理が進んでいるかというと、全く進ん
でいるとは言い難い。
たしかに、平成11年8月に興銀、第一勧銀、富士の統合が正式発表され、続く10月
には東海、あさひの統合(その後、あさひ銀行が離脱)、住友、さくらの統合が報道さ
れ、12年3月の三和、東海、統合発表で、再編が大きく前進して来ているように見え
る。
しかし、長銀処理に関して問題となった、国からの不良債権の引受行に対する譲渡契約
をめぐる、迷走劇を見るとまだまだといえる。
不良債権の譲渡契約方式として、瑕疵担保方式(貸出債権の価値が3年以内に2割以上
下落した場合、国に買取りを請求できる条項を盛り込む)、引当金方式(国が将来の損失
に備えて一定の引当金を積んだ上で譲渡する方式)、ロスシェァリング方式(譲渡後に債
権価値が下落し、損失が生じた場合、国と買い手双方が損失負担を分担する方式)の3つ
の方式がある。瑕疵担保方式だと、譲渡後に追加の国民負担が発生する可能性があり、引
当金方式では譲渡前に追加の国民負担が発生する可能性がある。又、ロスシェアリング方
式は、欧米では一般的であるが、日本の金融再生法では認められていない為(来年4月に
施行される改正預金保険法で導入される)、民法上の瑕疵担保条項を盛り込んだというの
が、新生銀行のケースである。
ロスシェアリング方式であれば、国と買い手双方が損がでないように債務者の建て直し
に努力するインセンティブが働くが、瑕疵担保方式の場合は、買い手は、放っておけば債
務者が潰れる方が、国が引き取ってくれるので、効率よく不良債権処理ができる。つまり
ゼネコン徳政令である。銀行が債務者を救う事にインセンティブが働く方式などは、資本
主義の原則に反し、モラルハザードとなる。
銀行が国民に迷惑をかけずに不良債権を処理するための生き残り策は、次の3つであ
る。
?一定期間の国有化による公的資金の導入を含めて、合併、提携などにより、組織の合理
化を図る。
?不良債権の早期処理と、大胆な支店網縮小、人件費削減による業務純益の向上。
?企業倫理の確立と顧客本位の銀行業務の確立。
おわりに、少しく全国の銀行経営の実態を整理しておく。
全国銀行の対象は、平成12年3月期で都市銀行9行、地方銀行64行、第二地方銀行協会加
盟銀行54行、信託銀行9行、長期信用銀行1行の137行である。
業務純益は、資金運用益の増益や一般貸倒引当金繰入額が大幅に減少したことなどか
ら、4兆5,733億円(同7,848億円、20.7%増)と4年ぶりに減益から増益に転じた。これは
国民を犠牲にしたゼロ金利効果による。
全国銀行の平成11年度決算状況
黒字行  うち増益行  うち減益行        赤字行
業務純益   135(135)   86(21)    49(114)     2(3)
経常利益   124(72)   96(33)    28(39)     13(66)
当期利益   123(73)   105(35)   18(38)     14(65)

平成12年3月末  前年度末比 増減率  平成11年3月末   増減率
職員数   366,384      △12,887  △3.4    383,088      △2.0
店舗数   15,302      △302   △1.9     15,861      △0.7

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