2002年の幕開けに

2002年の幕開けに臨んで

《景気指標と株価の行方は、 前半土砂降り、後半持ち直しか》

●国内卸売物価
   日銀が12月17日発表した12月上旬の国内卸売物価指数(1995年平均=10
0)は、ガソリンや軽油などの燃料油を中心に129.9と大きく落ち込んだ。 
 このほかの品目では、食料用農畜産物が97.1、スクラップ類も国内電炉メーカーか
らの需要が一服気味で63.0、ヒノキなどの非食料農林産物も国内の住宅市場の低迷を
受け82.6、非鉄金属では銅の主要生産国で減産の発表があったほか、為替相場が円安
に振れたことなどから、銅地金を中心に93.7となった。そのほか、化学製品100.
3、鉄鋼90.1などとなっている。12月上旬の為替相場は1ドル=124円35銭。
 2000年秋口からの景気後退期は、これで1年と4半期続いていることになる。

●鉱工業生産動向
 経済産業省が12月27日発表した11月の鉱工業生産動向(速報)は、生産指数(1
995=100,季節調整値)が前月比1.8%低下の90.9となり、3カ月連続で低
下した。指数は1987年11月以来、14年ぶりの低い水準。米景気減速で北米向けの
ゲーム機や乗用車の生産が減少した。また、国内の消費低迷で情報技術(IT)関連や鉄
鋼など多くの業種で企業の生産が減少した。北米の200万台乗用車需要減の影響が今後
大きなインパクトを与えてくることが予想される。 
 業種別にみると、ゲーム機のクリスマス商戦向け需要が一段落したことを受けて「その
他工業」が8.4%低下、輸送機械工業は普通自動車の北米向け輸出が減少したほかトラ
ックが国内外とも不振で2.7%の低下、一般機械工業は半導体製造装置が落ち込み3.
3%の低下だった。一方、非鉄金属工業では電力、通信向けの光ファイバー製品が好調で
2.3%上昇した。 
 出荷指数は前月比1.4%低下の93.5となり、94年1月以来の低水準となった。
在庫指数は1.5%低下の95.3で、経産省は「在庫調整は一部業種で進展している」
とみている。出荷に対する在庫の割合を示す在庫率指数は0.3%低下の113.9とな
り、2カ月連続で低下したものの、まだ水準的には高いといえる。 

●新車販売台数 
 日本自動車販売協会連合会が1月7日発表した2001年の新車登録台数は、前年比0.
9%減の405万9046台となり、2年ぶりに減少した。車種別内訳では、乗用車が同
1.3%増の301万6485台で、うち普通乗用車が同3.7%減の74万1489台、
小型乗用車が同3%増の227万4996台。商用車では普通貨物車が同1.9%減の8
万3038台だった。
 同時に発表した2001年12月の新車登録台数は、前年同月比7.6%減の29万6
881台となり、4カ月連続で減少した。車種別内訳では、乗用車が同1.5%減の23
万3259台で、うち普通乗用車が同9.5%減の5万7229台、小型乗用車が同1.
4%増の17万6030台。商用車では普通貨物車が同1%減の5797台だった 
 前回ならびに前々回の不況時における新車販売台数の対前年比15%以上の期間が1年
以上続いた経験と小型車需要の一巡からいって、本年度内に新車需要が大きく伸びる要素
は全くないといって良いのではないか。

●日経景気インデックス
 日本経済新聞社が12月28日公表した11月の日経景気インデックス(日経BI、速
報値)は前月比マイナス0.4%と5カ月連続で低下し、97.1(1995年平均=1
00)となった。10月の確報は速報段階から0.1ポイント下方修正になり、97.5
となった。景気の水準と勢いを示す日経BIは鉱工業生産、商業販売額、有効求人倍率、
所定外労働時間の4指標に共通する「景気の波」を取り出し、指数化したもので、日経B
Iは昨年末から急降下を続けており、今回の落ち込み幅4.3ポイントは前回後退期の4.
5ポイントに迫ってきた。 
 11月の日経BIが低下したのは構成4指標のうち、鉱工業生産、有効求人倍率、所定
外労働時間の3指標が低下し、商業販売額も横ばいにとどまったことによる。 
 鉱工業生産は前月比マイナス1.8%と3カ月連続で低下した。普通乗用車や電子応用
玩具などの減産が大きかった。生産予測調査によると12月と1月はともに上昇を見込ん
でいるものの、経済産業省は実績が予測を下回る状況が続いていることなどから「生産は
引き続き低下傾向」と慎重な見方を取っている。 
 有効求人倍率は前月から0.02ポイント低下し、0.53倍となった。有効求人数が
前月比1.7%減となったうえ、有効求職数も1.2%増えたため。失業率は11月に最
悪の5.5%となり、新規求人も前年同月比7.1%減るなど、雇用情勢は一段と厳しさ
を増している。 
 所得の変動を間接的に示す所定外労働時間指数は6カ月連続で減少した。生産活動の低
迷から製造業で13カ月連続の減少となったことが響いている。 
 需要面の動きを表す商業販売額は前月比横ばいとなった。衣料品関係の販売などが伸び
た小売業ではプラスとなる一方、企業間取引を示す卸売業の販売額が家具や建築材料など
の販売不振により減少したことによる。
 97年夏から98年末まで続いた景気後退期の経験からすると、そろそろ底入れが近づ
いているという見方もできるが、どうであろうか。

●月例経済報告 
 竹中平蔵経済財政担当相は12月17日、12月の月例経済報告を関係閣僚会議に提出
した。景気の現状について「悪化を続けている」との見方を示し、基調判断を2カ月ぶり
に据え置いた。企業収益や物価の判断は下方修正したが、全体の景気認識を変えるほどで
はないと判断した。
 個別項目で判断を下方修正したのは企業収益と物価。7―9月期の法人企業統計で電気
機械などの経常利益が大幅に減少したことを受けて、前月まで「減少している」としてい
た企業収益は、「製造業を中心に大幅に減少している」に変更。国内卸売物価は「下落幅
をやや拡大している」とし、下方修正した。
 
●OVER VIEW
 企業の現金収支は電機大手5社合計で今期1兆3,000億円の赤字といわれる昨今、
景気が底入れするためには、一段のリストラと構造改革が必要な事態となっている。株価
の高いソニーとて現金収支では1,6000億円の赤、トヨタ、ホンダが良くて他は全部
だめというに等しい現況は、まさに異常である。こういう状況では、よほど真剣に我が身
を削ってでも構造改革を、という企業家ならびに政治家が動かない限り、「見えざる手で
経済が回復する」などということはあり得ない。
 銀行の行き場を失ったマネーはリスクをおそれて国債に向かい、国内銀行が99年1月
に保有していた国債残高30兆円から2001年末には「80兆-90兆円」(日銀筋)
にも達している模様である。銀行に資本注入などやったところで、行き場のないマネーは
不良運用資金化をしているだけだ。
 また株式市場には、連日のように6-7億株以上の取引が続いている。前回不況時の3
億4億レベルのときと比べると明らかに取引量が増えてはいるが、証券業界の収益改善に
つながっているかというと、手数料の自由化のおかげでさほど潤っているわけではない。
問題は一日の取引株数が20億前後というのがあたり前になるくらいの人気を作り出せる
かどうかであるが、当面、一般投資家は無理をしない方がよい。
 株式の売り買いのタイミングを計る手法の一つに、ストキャスティックス法というのが
あるが、個別銘柄に当てはめてみてみると面白いことが解る。株のプロという人たちはこ
ういったことを参考にしながら、売買を行っているわけであるが、日経のスーパーチャー
トというのがある。これなどは一見の価値があると思う。
株式はあくまで個別銘柄の物色であるが、余談ながら、1,2月には一段の下げがあるも
のと予想される。その時期をみて買うことが構造改革路線にかなっているのではないであ
ろうか。
 http://superchart.nikkei.co.jp/servlets/Query?SRC=indiv/superChart
ストキャスティックス法の解説をしたwebとしては、
 http://www.toyokeizai.co.jp/data/chartcd/weekly_chart/03stchas.html
 http://www.sankishoji.co.jp/sakimono2/tek/technical10.html
 http://www.sankishoji.co.jp/sakimono2/tek/technical11.html
で分かりやすく解説をしているが、簡単なので以下に引用をしておく。

ストキャスティックス法とは

 もともと「確率」や「推計」という意味で、オシレーター系指標。
コンセプトは%Rとほぼ同じで、異なるのは%Kと%Dと呼ばれる2本のラインを用いる
ところで、米国ではポピュラーな存在。分析のポイントは、%Kと%Dの位置関係(買わ
れ過ぎ・売られ過ぎ)を図り、%Dの位置と価格を比較すること。
 過去のある期間の株価をもとに、現在の株価の上昇/下降の可能性を探るもので、%K 
および %D の2つの指標があり、それぞれ次の算出式で求められる。 

%K =(C-Lk)/(Hk-Lk)x 100 
    C=直近の終値 
    Hk=過去k期間の最高値
    Lk=過去k期間の最安値 

%D = Pd/Wd x 100
    Pd=過去d期間の(C-Lk)の合計
    Wd=過去d期間の(Hk-Lk)の合計 

%K式のCにHkを代入すると100になり、またLkを代入すると0になることから容易
に推測できるように、%K は任意に定める(直近の過去)k期間につけた、株価最高値を
レベル100(変動幅の上限)、最安値をレベル0(変動幅の下限)とする値幅レンジで、現
在値(直近の終値)がどのレベルにあるかを % で示すものだ。上限に近い株価は上昇余
地が少なく下落の可能性が高い、また下限に近い株価は下落よりも上昇する可能性の方が
高いだろうと考える。 
さてこの %K を時系列に並べてみると、かなり細かい変動が多いことに気がつく。そこ
でこの変動による“ダマシ”を少なくしようとしたのが %D だ。%D では %K の分母、
分子ともに期間dだけ合計しており、これをプロットすると移動平均線に似た平滑線を得
ることができる。 

ストキャスティックスの特徴

  ストキャスティックスにはより敏感なファーストと、ファーストをさらに3日平均した
スローの2種類がある。

長所
「逆行現象」によりトレンドの転換を確認できるため、売買シグナルの信頼度は高い。

短所
%Kと%Dの関係が重要であるため70%以上では売り、30%以下は買いというよう
な表面的な数値のみの判断は禁物。

また、ファースト・ストキャスティックスの場合、%Kと%Dのクロスによるシグナル
は3回繰り返すと信頼度がアップするとされているが、スロー・ストキャスティックスの
場合は敏感さに欠けるため、クロス3回の法則は採用すべきではない。

特徴
0~100%までの間で上下する%Kと%Dが、それぞれ70%以上であれば直近レンジ
のレジストライン(上昇抵抗値)に近づいていることを表し、30%以下であれば、直近
レンジのサポートライン(下値)に近づいていることを示す。
こうした状況にあることを前提に
(1)%Kが先に方向転換して%Dとクロスした場合
(2)%Dが%Kに遅行して方向転換し、%Kとクロスした場合を売買サインとする。
(1)と(2)では(2)の方がサインとしての信頼性があるが、さらに信頼度の高い売買
サインは、%Dと価格との「逆行現象」が起きた時に現れる。
つまり、(A)%Dが70以上で価格が上昇しているとき、%Dが下げ始めた時、相場は
頭打ち、トレンドは弱気に転換。
(B)%Dが30以下で価格が下落中に%Dが上げ始めたとき、相場は底入れ、トレンド
は強気に転換。
こうした動きの後、前述の(2)のケースとなればその売買サインはかなり信頼できる。

カテゴリー: 未分類, 経済一般 パーマリンク

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