2013/3/12 10:49 (2013/3/12 11:54更新)日本経済新聞
政府は12日、愛知・三重県沖の海底にある「メタンハイドレート」からガスの取り出しに成功したと発表した。天然ガス成分を多く含み「燃える氷」と呼ばれるメタンハイドレートを海底で分解してガスを産出したのは世界で初めて。水深約1000メートルの海底から330メートル掘り進めたところに分布するメタンハイドレートを減圧して水とガスに分解し回収した。
海底のメタンハイドレートから産出したガスで炎を燃やす地球深部探査船「ちきゅう」(12日、愛知県沖)=JOGMEC提供
経済産業省によると、減圧開始から約4時間後の午前9時半ごろにガスの産出を確認した。
12日の閣議後の記者会見で茂木敏充経産相は「(米国の)シェールガスにしても技術的に難しいといわれていたものがこれだけ大規模に生産されるようになった」と指摘。「ひとつひとつ課題を乗り越えてわが国周辺の資源が活用できるようになる日が一日も早く来るようにと思う」と期待を示した。産出実験は今後2週間続け、商業化に必要な技術や課題を探る。
愛知・三重沖には日本の天然ガス消費量の10年分以上のメタンハイドレートがあると推定されており、政府は1月から試掘準備を進めていた。福島の原子力発電所事故後のエネルギー不足の克服に向けて国内資源開発に弾みをつける。