事業用太陽光、買い取り価格22%下げ

19年度14円、値下げ圧力一段と

2019/1/9付 情報元 日本経済新聞 朝刊

経済産業省は再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度(FIT)で、2019年度の太陽光発電(事業用)の価格を1キロワット時あたり14円とし、現在の18円から22%下げる。安い価格で発電する事業者から順番に買い入れる「入札制」の対象も出力500キロワット以上と、従来の2千キロワット以上から広げる。コスト重視を徹底するが、普及との両立が課題になる。

FITでは再生エネで作った電気を大手電力が一定期間、同じ価格で買い取る。費用は消費者の電気料金などに上乗せされる。事業用の場合、20年にわたり決まった価格で買い取る。東日本大震災や原子力発電所の事故を受けて12年に始め、当初は1キロワット時あたり40円だった。19年度は3分の1程度まで下がる。

買い取り価格を下げるのは、消費者や企業の負担が重いためだ。18年度の電気代への上乗せは2.4兆円にのぼる。経産省によると世界では太陽光の発電コストが17年上半期で1キロワット時あたり9.1円。ドイツでは18年の買い取り価格が1キロワット時あたり8.3円だ。

価格を下げるため、買い取り枠を設けた上で安い電力を提示する事業者から順番に買い入れる「入札」の対象も広げる。対象の事業者は価格競争を迫られる。

日本でも太陽光発電が普及しパネルの設置費用は下がった。低金利もあり、経産省は投資コストを低く見積もっている。

ただ、2割超の下げは大きい。18年度には上限価格の15.5円を非公開にして2千キロワット以上のメガソーラーから入札を募ったところ、入札価格がいずれも上限を上回り、成立しないという事態があった。14円は大規模な事業者でも厳しい水準で、小規模な発電を計画する事業者は淘汰される可能性がある。

再生エネは普及への目配りもいる。政府はエネルギー基本計画で再生エネを「主力電源」と位置づけ、電源に占める割合を現状の16%から30年度に22~24%まで上げる目標を掲げる。太陽光は現状が5%で、30年度は7%分を目指す。

一方で18年秋には、九州電力管内で太陽光発電が一時的に余り、電力会社が買い取り切れないということもあった。太陽光をうまく使うインフラ作りも課題になる。

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