住民基本台帳ネットワークシステム(住基ネット)導入に関して

住民基本台帳ネットワークシステム(住基ネット)導入に関して
 ※官僚びいきの政権が官僚にそそのかされて行う天下の愚策※
 税金を節約することを考えず、消費し、食い潰すシステムを稼働させるかどうか、それ
はあなたの問題なのです。今回は、少し難しい問題なので2回に分けます。
  
★住基ネット導入の経緯
 毎日新聞の2月24日付記事で、2002年8月の住民基本台帳ネットワークシステム
(住基ネット)導入を前に、政府が個人データの利用範囲を大幅に拡大しようとしている
ことが報じられた。政府は、住基ネット導入のため99年に改正した住民基本台帳法(未
施行)を再度改正する方針で、今国会にも法案を提出する意向だった。住基ネットは、住
民基本台帳に記載される▽氏名▽住所▽生年月日▽性別▽住民票コード▽変更――の6種
類の情報をコンピューターで一元管理する。国民全員に11ケタの住民票コードが割り当
てられる一方、情報の利用範囲は、10省庁93件の事務に限定されるとしていた。
 
 衆院内閣委員会は5月22日午前、個人情報保護法案の質疑を行っている。福田康夫官
房長官は、政府が同法制定を急ぐ理由に挙げている住民基本台帳ネットワークシステムに
ついて「法律に決まっており8月5日から実施する」と明言した。河村たかし氏(民主)
は同システム導入を決めた99年、当時の小渕恵三首相が「システムは個人情報保護法を
前提としている」と答弁していることや、改正住民基本台帳法の付則にも個人情報保護法
制制定が盛り込まれていることを取り上げ、法案が成立しない場合はシステム実施を見送
るべきだと主張した。福田長官は「システム実施は改正住基台帳法に『公布から3年以内』
と明記されている。実施に際し個人情報保護法案が成立していることが望まれるが、法律
上は条件とされていない」と指摘。小渕元首相の答弁については「小渕氏の政治姿勢を示
したものだ」と述べるにとどまった。更に福田康夫官房長官は29日の衆院内閣委員会で、
個人情報保護法案と8月5日実施予定の住民基本台帳ネットワークシステムとの関係につ
いて、「法案の成否にかかわらず、法律でシステムの施行は義務づけられている」と説明。
法案成立がシステム実施の前提にはならないとの政府見解を明らかにした。
 
 総務省は5月30日、住民基本台帳ネットワークシステム(住基ネット)の対象事務を
大幅に拡大する内容を盛り込んだ電子政府関連法案を自民党総務部会に提示、同党は了承
した。同省は同日、対象事務数が現行法の93から171増え、264になるだけでなく、
国が利用できる事務数は全体の約6割を占める。国の利用範囲が拡大され、国による個人
情報の管理が一層進められた形だ。

 法案によると、新たに加えられた対象事務は171で、パスポートの発給申請や司法試
験の受験手続きなど、住民票の写しの提出にかかわるものが含まれている。利用拡大につ
いて、片山虎之助総務相は、29日の衆院内閣委で「地方自治体の要望に基づいた拡大だ」
と答弁している。しかし、実際には国の利用範囲が拡大されたことになる。

 また、追加事務には、職業安定事業、労働者派遣事業など民間の活動と密接に結び付く
ものも含まれている。住基法は、国民に割り振られた住民票コード(番号)と、銀行口座
など民間の個人識別番号とのリンクを禁じている。しかし、こうした分野への拡大は、住
基法の趣旨を逸脱する危険もはらむ。

★新たな電子政府関連3法案の動き
 以上の流れの中で、政府は6月7日の閣議で、住民基本台帳ネットワークシステム(住
基ネット)の対象事務を現行法の93から171増やし264に大幅拡大する内容を盛り
込んだ電子政府関連3法案を決定した。与党3党は今国会で個人情報保護法案の成立が困
難視されることに伴い「8月の住基ネット実施状況を踏まえ十分に審議する」ことを条件
としており、本格審議は次期国会以降になる。片山虎之助総務相は7日の会見で「(成立
が遅れた場合)特に02年度分の電子政府計画に影響が出る」と述べた。
 同3法案は電子政府・自治体構想の一環として、03年度までに各種の行政手続きをオ
ンラインで原則可能とする内容で、行政手続オンライン化法案、同整備法案、本人確認の
電子証明書を発行するための公的個人認証サービス法案。整備法案に住民基本台帳法改正
案が含まれる。オンラインを通じできる行政手続きは、本人確認に慎重を期すための90
0事務を除く約4万5000事務。住民票の写しを持参せずに済ませるなどの理由で、旅
券申請や自動車登録など住基ネットの対象事務を拡大した。264事務のうち国の所管事
務は約6割にあたる。
 政府は、住基ネット導入を図った改正住民基本台帳法の審議で「住民票コードの利用は
法律で限定されている」として、一つの番号で個人情報を一元管理する「国民総背番号制」
との違いを強調してきた。ところが、今回の法案はまだ住基ネットが稼働していない段階
で、「限定」していたはずの利用範囲を広げるというものだ。将来のなし崩し的な拡大に
疑念をもたれても仕方がない。
 
★住基ネット導入延長論
 以上のような経緯、導入ありきの動きに対し、各界から疑問の動きがあるので主立った
ものを抜粋してみた。  
?自治労(6/6)
  全日本自治団体労働組合(自治労)は、8月5日に予定されている住民基本台帳ネッ
トワークシステム(住基ネット)の稼働延期を政府に求めていく方針を決めた。
 自治労は、住基ネット稼働の条件として、実効性のある官民両分野を対象にした包括的
個人情報保護法の整備などを条件としていた。しかし、政府が示した個人情報保護法制は、
表現の自由・知る権利を制約する恐れがある▽本籍、病歴など「センシティブ情報」の収
集制限規定がない▽省庁間で個人情報が自由に利用できる▽不服審査会の独立性が不十分
――などの点で「条件を満たしていない」と判断した。
?野党4党が凍結で合意 改正法案提出へ(6/14)
 民主、自由、共産、社民の野党4党は6月14日、政策責任者会議を開き、改正住民基
本台帳法で定められた住基ネットワークシステムの8月スタートを凍結する法案を提出す
ることで合意した。
 野党は今国会に提出されている行政機関等個人情報保護法案について、行政機関に対す
る罰則規定がないなどとして廃案を求めており、個人情報保護に関する法制が未整備なま
までのネット稼働は、国民のプライバシー侵害に対応できないと判断した。
?国立市が延期要請 首相と総務相に意見書(6/14) 
 東京都国立市の上原公子市長は14日、住民基本台帳ネットワークシステム(住基ネッ
ト)の今年8月5日稼働の延期を求める意見書を小泉純一郎首相と片山虎之助総務相に送
った。国分寺市も12日に提出しており、地方自治体の延期を求める声は大きくなりそう
だ。意見書は「個人情報保護法案は今国会での成立が危ぶまれ、法案そのものに不備があ
るとの世論が高まっている。個人情報を保護する措置が十分でない」と指摘している。
 一方、自民党は同日、都道府県のIT(情報技術)化担当者を集めた会合を党本部で開
催。麻生太郎政調会長は「予定通り稼働させる」と言明した。
?稼働延期を 地方議会初の意見書採択 高知県十和村議会(6/18) 
 高知県十和村議会は6月18日までに、8月5日に予定されている住民基本台帳ネット
ワークシステム(住基ネット)の稼働の延期を求める意見書を全会一致で採択した。小泉
純一郎首相と片山虎之助総務相あてに提出した。総務省によると、地方議会による延期を
求める意見書の採択は初めて。
 意見書は「住基ネットに関連してプライバシー侵害が危惧(きぐ)されている。十分な
個人情報保護対策を政府は確約したが、国会で審議されている行政機関個人情報保護法案
は、地方自治体の条例と比べても不十分な内容だ」として、政府案の修正とともに、住基
ネットの稼働延期を求めている。
?8月の稼働延期すべき 亀井・前政調会長(7/4) 
 自民党の亀井静香・前政調会長は4日、政府・与党が個人情報保護法案の今国会での成
立を断念したことを受け、住民基本台帳ネットワークシステム(住基ネット)の8月5日
稼働を延期すべきだとの考えを表明した。亀井氏はまた、各界の著名人でつくる「国民共
通番号制に反対する会」(桜井よしこ代表)がまとめた住基ネットの稼働を3年間延期す
る改正住民基本台帳法の再改正案(凍結法案)に署名した。
 「反対する会」は4日、東京・永田町の衆議院第2議員会館で集会を開き、凍結法案を
議員立法で提出するよう与野党の議員に求めた。
 亀井氏は席上、「個人情報保護法案がどうなるか分からない段階で、住基ネットが施行
されていくのは矛盾だ。それぞれ各党が問題意識を広げていくべきである。私もそれなり
の問題提起をしたい」と語った。
 集会には、亀井氏のほか中川昭一衆院議員、阪上善秀衆院議員ら自民党議員22人をは
じめ民主29人、自由3人、社民9人、共産5人の与野党計68人の国会議員(代理を含
む)が出席。このうち、自民党の6人を含む15人が署名した。21人以上の署名があれ
ば、そのまま法案として国会に提出できる。法案が衆院(議員数477人)で成立するに
は、野党4党の議員に加え、与党から五十数人の賛成を得る必要がある。
 桜井さんは「今月11日に凍結法案に署名した賛成議員の数を集約したい」と話した。
?中田市長 住基ネットに否定的(7/5日) 
  横浜市の中田宏市長は3日、来月から一部が稼働する住民基本台帳ネットワークについ
て「国民総背番号制になるなら反対だ。(衆院議員時代に)国会でも反対した」と否定的
な見方を示した。各地の自治体で稼働延期を求める声が出ているが、市長も「どうするか、
今よく考えている」と含みを持たせた。すべての住民に11けたの番号をつけるなどの市
側の準備作業は、順調に進んでいるという。
?杉並区長もとうに反旗(2000年8月17日)
 東京都の杉並区長は、『区議会や住民の同意が得られれば、(ネットへの)参画の是非
を問う住民投票実施も辞さない』との意見を表明している。 
 この、山田宏杉並区長は、「全国どこでも住民票が取れる、という程度のことしか出来
ないくせに、投資額が膨大である」、(なんと624億円、さらにその後は毎年の経費が
200億円とされている)、「納税者番号などにも使われるならペイするが、それは『国
民総背番号制』であって、リスクが大きい」としている。山田区長は前衆議院議員の若手
気鋭の政治家である。「国民共通番号制に反対する会」(桜井よしこ代表)のメンバーで
もある。唯一住民番号を納税者番号として利用しているスウェーデンの、データ検査院長
官でさえ、1996年に来日した際のコメントは「(国民総背番号制は)プライバシー侵
害の脅威の象徴になった。導入は勧めない」であった。 

★住基ネット(国民総背番号制)8月5日を許さない実行委員会へご参加下さい
  平成不況の悪代官どもに勝手を許してはならない。実行委員会はいくつか立ち上がって
いるが、その中の抜粋を以下にご紹介する。  
「防衛庁が情報公開請求者のリストを作成していた」という報道がありましたが、8月5
日に稼働予定の住民基本台帳ネットワーク(国民総背番号制)や今国会で審議された「個
人情報保護法案」の持つ危険な側面が露呈したものです。これは氷山の一角と言えます。
通信傍受法=盗聴法では、すでに警察に電話・FAX・メールの盗聴装置を渡してしまっ
ているのです。こうした情報管理・監視社会化にNOをつきつけたいと思います。ぜひ下
記実行委員会にご参集ください。
 今年8月5日、ついに住民基本台帳ネットワーク(国民総背番号制)が本格稼働します。
現実に、私たち一人ひとりに対して11桁の番号が割り振られるのです。この日以降、私
たちの社会は、一人ひとりが名前や顔を持つ人間としてではなく、「番号」として扱われ、
管理される時代へ突入していくことになります。
 人間に固有番号を付けることもさることながら、住基ネットには、システム、セキュリ
ティ、コストパフォーマンスなど、この間具体的な運用の面からも様々な問題が指摘され
ています。現実に、多くの自治体職員から「準備が間に合わない」という声が上げられて
いますし、東京都内の自治体をネットワークで結ぶ結合テストでは、2つの区が参加でき
なかったことも明らかになっています。準備不足、技術的問題から、住基ネットに「みず
ほ銀行」と同じ問題が発生する危険性も指摘されています。
 来年8月からは、住民に対するICカードの配布も始まります。カードが様々な情報管
理・監視システムと結びつけば、私たちの生活は丸裸にされ、超監視国家が現実のものと
なります。
 BSE(牛海綿状脳症)緊急対策として導入が決まっている「家畜個体識別システム」
では、全国すべての家畜に10桁の識別番号が割り振られます。私たちは牛同様、番号で
識別され、どこにも逃げられず、「情報」という名の檻の中に閉じこめられた家畜同然に
扱われようとしています。絶対に住基ネットの稼働をくい止めなければなりません。
 8月5日実施をくい止めるために、私たちは下記のような運動を計画し、そのための実
行委員会の発足を呼びかけます。第一回目の会議を6月5日に開催します。あらゆる思想
・信条を超えて、「住基ネット8月5日を許さない」1点で集まることができる広範なグ
ループにお集まり頂くことを期待しています。ぜひとも、会議にご参加頂きますよう、お
願いします。
●7月20日(土)「住基ネット8月5日を許さない」大集会の開催。労働スクエア東京
 詳細は来週号で報じます。
■連絡先
住基ネット8月5日を許さない実行委員会準備会
*日本消費者連盟(吉村)
TEL03-3711-7766 FAX03-3715-9378 report@jca.apc.org
*プライバシー・アクション(白石)
TEL090-2302-4908
*破れ!住基ネット・市民行動(宮崎)
m-toshio@mve.biglobe.ne.jp

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