土地に対する国民の選択方向 

土地に対する国民の選択方向

平成11年版土地白書によると、我が国の国土面積は3,778万ha。このうち、67%を占める
森林(2,512万ha)及び13%を占める農用地(504万ha)は、いずれも微減の状況が続いてい
る。5%を占める宅地と3%を占める道路は、逐年増加傾向にあるとのこと。
土地の需給関係の原点はここにある(我が国の土地市場は買い手市場へと変化してい
る)。このような市場においては、土地の持つ収益力が重視され、土地の評価基準が収益
還元に移って行くことになる。こういった環境下で、土地取引業者がとり続けてきた伝統
的な土地資本主義、この中には往復6%もの超高額取引仲介料制度もあるが(1億円の住
居を仲介すると一発で600万円もの仲介料!)、これは、もうバブル時代の遺物として
葬り去ってほしいものだ。金融の自由化と同様、土地不動産については民民規制の強い業
界。業者も市民であれば、この辺の市場の流れを透明化、合理化していくリエンジニアリ
ングが求められている。
また、土地取引件数は長期的には減少傾向にあり、特に平成9年に入ってからは、地方圏
を中心に土地取引は低調に推移している。
地価の動向については、これまで下落幅が縮小傾向にあった全国の地価は、住宅地・商
業地ともに、その下落幅を拡大している。この傾向は、地方圏よりも大都市圏において大
きく、大都市圏の商業地の下落幅は再び二桁台となっている。今一段の下げ、ゼネコン倒
産などが機となって、下落幅が広がれば、国民金融資産1300兆円の相当な部分が動く
こととなり、オイルショックと逆の現象で、土地に対しての新価格体系ができあがること
となる。土地資本主義の幻想が未だに尾を引く日本経済。本当の景気回復はその考え方か
らの脱却にある。
国土庁の意識調査によると、国民の間では、土地を有利な資産とする意識は薄れている
が、なお、土地を所有したいとする意識は強い。しかし、その理由は所有していると自由
に使え、安心だからというものが多い。この意識が顕在化し土地取引が活発化するために
は今一段の価格の下げは必要である。また、民間の仲介料もせめて、往復2%程度への下
げも必要であり、価格破壊の取引業者も必ず出てくる。来年6月まで引き延ばされた、住
宅取得優遇税制制度などという目先の人参に惑わされない、賢明な選択が国民には望まれ
ている。
ミレニアムの取得住宅のキーワードは、マンションの場合、フリープランと100平方メー
トル住宅。ワンルームなどというウサギ小屋はもう造らなくて良い。戸建て住宅では13
0平方メートル住宅と土地200平方メートル。これくらいは最低でもなければ、およそ
プライバシーは保てない。100平方メートルの土地に100平方メートル住宅などとい
うのは馬鹿げている。
定期借家法は、良質な賃貸住宅の供給を促進することが目的で、広くて安い賃貸住宅の
供給が促進されることを目的に、一般分譲住宅の地価下落と車の両輪くらいにとらえてお
けばよい。
現在、都心のマンション1戸当たりの平均価格は4276万円(73-74平方メートル)、
近畿圏では1戸あたり平均価格は3350万円(72-73平方メートル)、これではまだまだ
販売業者の努力が足りない。売れ残ることになる。売れたとしても、将来の供給価格の下
落要因となる。くれぐれもババを引かされないように。住宅投資は一生もの。

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