犯罪と社会に背を向けた法の関係

犯罪と社会に背を向けた法の関係

経済成長のおかげで、もはや飢餓に苦しむという人々はこの国からは消えました。様々
な理由から働いてお金を稼ぐことのできない人も、生活保護という不名誉を納得すれば、
働かなくとも死ぬまで生きていくことができる、それが現代社会です。

少子高齢化も、そんな時代の一面を物語っており、過度に法に守られた個人の自由が、
反面、社会の活力と不公正を助長していると考えてもよろしいでしょう。
何も産めよ増やせよの時代ではありませんが、働き手が少なくなり、高齢者の負担を若
者が担わなければならない時代に、少なくとも人口がどんどん減るという傾向は望ましく
ないと思います。お互いの地域とか共同社会で何かできることは、自らのリーダーシップ
ですべきだと思います。それが町内会の活動を意味していたり、道ばたに落ちているゴミ
を片づけるといった小さなことの積み重ねにおいてもです。

生涯、独身で過ごしても人に何の迷惑をかけなければそれでよいので、一々生き方まで
制約されたくはないという人々も増えています。何か寂しい考えですね。たしかに、人の
価値観は確かに千差万別で、生まれ育った時代・環境に大いに関係しますから一概にはき
めつけることはできません。ですが、ものごとにおいて感性を共有するということは社会
生活の上で大事なことだと思います。この感性が時として法律という規範に邪魔されると
いうか、法律が感性を無視しし続けるという気になる状況が現代社会で起きています。

卒爾ながら、山口県光市母子殺害事件というのをご存じかと思います。
1999年4月14日午後2時半ごろ、山口市の新妻が強姦の上、お子さんの夕夏ちゃ
ん(当時11ヶ月)ともども、自宅に侵入した犯人(当時18歳少年の被告(24)=一、
二審無期懲役)によって、首を絞められ、殺害された事件です。高裁で受けた無期懲役の
判決を不服として、遺族が極刑を求めて最高裁に控訴しておりました。
被告の弁護人が2006年3月14日の最高裁弁論に出廷しなかった問題で、被害者遺
族の本村洋さん(30)は去る3月15日、安田好弘弁護士ら2人の懲戒処分を求める文
書を、第2東京、広島両弁護士会に送りました。欠席は表向き「日弁連の会務」というこ
とだが、弁護人が死刑反対論者でサリン事件の松本被告の弁護もしたことがあるとのこと
で、信条に基づくものでもあるらしい。しかし、国選弁護人は裁判を長引かせれば長引か
せるほどその間の国費による収入に結びつくわけで、国民の税金がこういった被告に使わ
れてしまっていることも問題です。
本村さんは「弁論欠席に正当な理由はない。故意に裁判を遅らせた行為と弁護士会が判
断するなら、早急に懲戒手続きに入ってほしい」と要請。両弁護士が欠席理由としている
「日弁連の会務」が、弁論期日を無視してまで実施すべきだったかも含め回答を求めまし
た。日弁連は弁明はしましたが、懲戒には至っておりません。

豊かな社会が実効的に死刑を認めないか長引かせるかをしているいい例だと思います。
これは社会の歪みの一つであり、ある意味で仇討ちが許された時代の方が自然状態で良か
ったのではないかと思います。本村さんご本人の口述からですが、司法がこの苦しみを解
決できないのであれば、自身の手で殺人犯を殺したいともいっています。その気持ちは本
人でなければ解らないことでしょう。事実、被告人は「本村氏がマスコミに露出し調子こ
いて勝手なことを言っている」との手紙を書いていることからも解るように、この被告に
は鬼畜の類の論理はあるようだが、良心はないのかも知れません。

現実には、少年犯罪でこのようなケースは例外的ではなく、現在の司法制度では被害者
の救済措置という点で、後進国以下の状況にあると考えられても仕方ありません。総体と
して豊かな国であり国民が幸福な状態にあることは事実ですが、昭和30年代にあった、
親を敬い先生を畏怖し、世に出でては経済発展のために一致団結して上を目指したエネル
ギー、これが現代社会には欠けており、金満不節操の時代でもあります。

2006年6月20日、この殺人と強姦致死、窃盗の各罪に問われた元少年(25)に
対し、最高裁第三小法廷(浜田邦夫裁判長)は、無期懲役とした二審・広島高裁判決を破
棄し、審理を差し戻す判決を言い渡しました。第三小法廷は「元少年の責任は誠に重大で、
特に酌むべき事情がない限り死刑を選択するほかない」などと指摘した。差し戻し審で元
少年に死刑が言い渡される公算が大きくなったといえる。これが事実なら大変喜ばしいこ
とではあるが、事件から早くも7年が経過しており、本村さんの気持ちはいかなるもので
しょうか。こういった事件に7年もかけ、なお、未決というのはどうしても納得がいかな
いという心情ではないでしょうか。
第三小法廷は、元少年の犯行について、「強姦目的で主婦を殺害し、犯行発覚を恐れ、
いたいけな幼児までも殺害し悪質だ」と指摘。遺族の被害感情に対し慰謝の措置も講じら
れていないとした。
そのうえで、二審が情状酌量の対象とした(1)殺害は事前に計画していなかった(2)
矯正教育による更生可能性――の各事情について検討したとのこと。
(1)については、「強姦を計画し、反抗抑圧や発覚防止のために実行した各殺害が偶
発的とはいえない」などとし、「殺害に計画性がないことは、死刑回避を相当とする特に
有利に酌むべき事情と評価するには足りない」と判断した。
次に、(2)については、元少年が被害者を揶揄(やゆ)する内容の手紙を友人に送っ
ていることなどを踏まえ、「罪の深刻さと向き合って内省を深めていると認めることは困
難だ」とした。
判決は、結局、元少年にとって酌むべき事情は「犯行時18歳になって間もない未成年
であったこと」、「死刑を回避すべき決定的な事情とまでは言えない」と判断。二審判決
について「量刑は甚だしく不当で、破棄しなければ著しく正義に反する」と結論づけた。
また、上告審で弁護側が「殺意はなく、事実誤認がある」とした主張も当を得ていない
とした。差し戻し審では、元少年への有利な情状があるかどうかが審理されるとのこと。
元少年側の対応によって遺族の処罰感情が和らぐなどの新たな事情が加わらない限り、死
刑判決が出される可能性が高い。
浜田裁判長(退官)と上田豊三、藤田宙靖、堀籠幸男の各裁判官の4人全員一致による
結論、ということである。ならば最高裁で判決を下しても良いものと考えるが、現行の裁
判制度では差し戻しという制度になっているので、いかんともし難いというのである。法
律が国民感情を無視し続ける、病める現代です。参審制で市民が参加できるのであれば、
即刻有罪、死刑とするのが正常な社会であると思います。

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