トラッキング現象

 冷蔵庫やテレビ、洗濯機など、電源プラグをコンセントに差し込んだまま使い続けている家電製品は少なくありません。これらは長年放置していると、トラッキング現象により火災になる潜在的危険性があります。

 コンセントとプラグとのすき間に徐々にほこりが溜まり、このほこりが湿気を呼ぶことによってプラグの両極間で火花放電が繰り返されます。そして、絶縁状態が悪くなり、プラグ両極間に電気が流れて発熱し、ついには発火します。これを「トラッキング現象」といいます。
 最近も床屋さんで髪を切ってもらっていたところ、何か足下の方から焦げたような臭いがするので、目を開けてみたところドライヤーをつないでいたコードのプラグ部分が燃えているのが見えました。すぐにコードを引き抜いて問題はありませんでしたが、これなど、代表的なトラッキング現象です。

 
トラッキング現象が発生しやすい場所及び環境条件

第1段階
コンセントやテーブルタップに電源プラグを長期間差し込んだままにしていると、コンセントとプラグの隙間にほこりが溜まります。
第2段階
コンセントの場所が家具の裏側や湿気の多いところ、水漏れしやすい所にあると、溜まった埃が湿気を呼び、付着した埃と湿気によって、プラグの両極間で火花放電が繰り返し発生します。
第3段階
繰り返し発生する火花放電によって、プラグの両極間の絶縁状態が徐々に悪くなります。(生じた抵抗で発熱し、ついに発火します)
事故が起きやすい場所
(1)洗面所や台所など、湿気が高く湯気や水滴が直接かかる位置こあるコンセント等に差し込まれた電源プラグ。このような湿気の高い場所や、結露が生じやすい場所に設置している家電製品のプラグには、特に注意しましょう。
(2)家具などの裏側に設置されたコンセント等で、電源プラグを長期間差し込んだままの状態になっているところ。
(3)エアコンや暖房器貝などの使用により、結露の生じやすいところにあるコンセント等に差し込まれた電源プラグ。
(4)熱帯魚などの水槽に使用されている電気器具の電源プラグ。
(5)猫などを飼っている場所にあるコンセント等に差し込まれた電源プラグ。(発情期になると、ペットがコンセント等に尿をかけることがあります)
火災事例
(1)コンセントに差し込まれた、コンセント付きレンジ台の電源プラグから出火し、共同住宅の台所4u焼損。
(2)リモコンで作動させる照明のコントロールスイッチがついているコンセントに差し込まれた照明器具の電源プラグから出火。パーティールーム80uを焼損。
(3)コンセントに差し込まれた冷蔵庫の電源プラグから出火し、酒店の店舗部分35uを焼損。
(4)3口テーブルタップに差し込んでいた観賞魚用エヤーポンプの電源プラグから出火し、留守宅を全焼。
(5)エアコン用コンセントに差し込まれたエアコンの電源プラグから出火し留守宅を全焼。
安全対策
(1)冷蔵庫など、常時通電している機器は、時々プラグを抜いて、乾燥布で拭き取る。
(2)機器の使用後はスイッチを切って、コンセントからプラグを抜いておく。長期間外出する時は、できるだけコンセントから抜く
(3)コンセントやテーブルタップ、電源プラグ、及びコードが異常に熱くなっている時は、すぐに使用をやめてプラグを取り替える。
(4)一般的には知られていない傾向にありますので、大掃除などの機会をとらえて清掃やチェックをするように習慣付ける。