チャレンジングな事件続きの2001年

チャレンジングな事件続きの2001年

 暫く定期的に刊行をすることを控えさせていただいていた。あまりに暗いニュースの連
続と、行き先の解らない日本経済の方向を”超”客観的に考えてみるためにである。
 9月4日の新聞に以下のような記事が載っていた。
◇厚生年金、パート加入へ要件緩和検討・厚労省
 厚生労働省の「女性の年金問題に関する検討会」は3日、女性が多いパートタイム労働
者への厚生年金の適用を拡大する方向で検討に入った。労働時間が正社員の4分の3以上
といった厚生年金の加入要件を緩め、より多くのパート労働者が加入するよう促す。パー
ト収入から自分で保険料を負担する主婦を増やす狙いがある。 
 現行制度では厚生年金や公務員共済に加入しているサラリーマンの夫に扶養されている
主婦は「3号被保険者」として保険料を免除されている。専業主婦でなくパートで働いて
いても、勤務時間・日数が正社員の4分の3未満で年収が130万円未満なら厚生年金にも
国民年金にも加入せずに済み、保険料負担なしで老後に定額の基礎年金を受け取ることが
できる。このため「保険料を負担しない3号被保険者は優遇されている」という指摘や、
パート勤めの主婦が保険料負担のない「3号被保険者」にとどまろうと勤務時間や年収を
低く抑え、女性の社会進出を妨げているという批判がある。◇ 
 また10/14日の日本経済新聞にも下記の記事がある。
◇厚生年金、パート加入を拡大・厚労省検討
 厚生労働省は2004年の公的年金の改革で、企業の正社員を主な対象とする厚生年金
制度を見直し、パート労働者の加入を増やす方向で検討する。パートで働く人が増えてい
るので、加入対象者を広げて制度の空洞化を防ぐ。同省では、パート年収が65万円以上
の人すべてを加入させる案などが浮上。実現すれば、公的年金の保険料が免除されている
パート年収130万円未満の主婦の一部に負担が生じることになる。
 厚生年金は企業の従業員のために、定年後に国民年金に上乗せして支給する公的年金。
正社員は全員加入するが、パート従業員については、週の就業時間と1カ月の勤務日数が
正社員の4分の3以上の人だけが加入する仕組みだ。 
 これ以外のパートは国民年金に加入する。ただし、会社員や公務員の配偶者に扶養され、
パート年収が130万円未満の主婦らは、国民年金保険料の支払いを免除されている。雇
用の多様化で、雇用者全体に占めるパートの比率が約2割に上昇。このままでは厚生年金
の保険料を負担する人が減る恐れがあるため、厚労省はパートの加入基準見直しを検討し
始めた。◇
 小出しの情報で様子を見ながら、「大胆な」改革を目論んでいる様子がうかがわれる。
  同様に健康保険料の算定についても、ボーナス含め年収基準に持っていくことが決って
いるそうである。すなわち、サラリーマンが月給から天引きされている健康保険料につい
て、厚生労働省は、2003年度からボーナスも含めた年収を基準に計算する「総報酬制」
を導入することを決めた。年収が同じでもボーナスが多いほど保険料が割安になる、とい
った不公平を是正するのがねらいで、ボーナスが高い大企業に勤めるサラリーマンの保険
料負担は増える可能性が高い。
 現行の医療保険制度では、サラリーマンは月々の給料に各種手当などを含めた月収をベ
ースに、支払う保険料額が計算されている。中小企業の従業員らが加入する政府管掌健康
保険政管健保は保険料率が8.5%(会社と本人で折半)。大企業の社員が中心の組合健
康保険では、組合によって料率は違うが、平均約8.5%(原則として会社と本人で折半)
となっている。
 ボーナスについては政管健保が1%を保険料として徴収、組合健保も1%以内で賦課(い
ずれも会社負担あり)できるが、8割以上の健保組合は賦課していない。実際には年収に
占めるボーナスの比率が高い人ほど、納める保険料は割安となっている。このため同省は、
ボーナスを含めた総報酬制にすれば、ボーナスの多寡による不公平感が解消されると判断
した。総報酬制にすれば、ボーナスからも保険料を取る分、保険料率を下げる余地が生ま
れるが、財政がひっ迫する政管健保については、もともと料率の引き上げが避け難い情勢
で、料率は総報酬制の導入とあわせて検討する。
 小さな政府論、大きな政府論というのがあるが、この時代に大政府論とはいただけない
話である。やはりお役所は、どんな時代になっても、どこかの視点が狂っているとしか云
いようがないということか。いよいよ、自己防衛の時代に突入といったところである。ぼ
やぼやしていると、どこまで吸い取られることになるやら。 
★国債公債不買運動を進めよ
 経済の成長が恒常的に止まった現在、”扶養家族”としての公務員、国会議員、地方議
員等の数を減らさずに考えれば当然の浅知恵で、この国の人口の家族をも含めたおよそ4
%の非生産人口の所得を、その所得を受け取っている当人たちが決めていくという仕組み
が変わらない限り、当然の帰結として国の衰退が待っている。ローマ帝国の崩壊にも似た
過程となる。危機意識に乏しく、何らの指導力を持たず、税金を消費することを仕事と考
えている公的分野の増長は、死んだゾンビが生き返る各種特殊法人のありようと重なる。
 民間企業の経営者も、従業員も、懸命に働いて、税金を払い”扶養家族を”養うことに
大いなる誇りは持っている。がしかし、放蕩息子を養う義務は国民にはない。国民の財布
をねらう公的分野の人たちがこのまま増え続けるとどういうことになるか。一つのシナリ
オは良い意味でのクーデターである。昔からクーデターは軍部が起こすものと決まってい
るが、サラリーマン化した自衛隊にその力はあるまい。大企業は、中堅企業は、ますます
精鋭部隊の社員だけで仕事を行うようになる。はじき出された人たちは皆、無能というわ
けではないので、独立事業家となって働くように追い込まれる。そうなると、諸経費等の
組み入れ増加ということから、税収の基となる所得は減収となり、税金はますます集まら
なくなる。税収不足は国債、公債で埋め合わせることができるかというと、ある局面で、
できなくなる。国民の義務と思い、千万単位で数年前に購入した人たちの満期国債の償還
がこれから急上昇をしてくる。しかし、およそ2005年以降には再購入できる人、する
人が激減する。この国の将来を皆が信じない風潮が決定的になるであろうからである。具
体的のノーといえる国民が、そのころには一般化するように思える。これがよい意味での
クーデターというわけだ。
 国民が利口になり、独立意識を持って行動するようになると、会社、公的分野にすがり
ついていることができなくなるので、本来の人間の生活環境に戻り不労所得者は激減する。
とどのつまり、青色申告者が増えて税額控除が増えるから税収は必ず減ることになる。つ
まりは小さな国家を目指すことになる。これも自然なクーデターだ。サラリーマンとして
働いて、訳の分からない税体系のもとに勝手に給料天引きされることにノーを表示するも
っとも早い確実な方法は会社生活をやめることだ。
 筆者が経営する小社も、青色申告程度の小規模会社であるが、もとを正せば10年以上
前1人で始めた。自己責任のもとで、死ぬような思いをした苦しい時期もあった。だが、
起業というものはそんなものだ。大成功はしなくとも、自己完結型に経営できる自分の会
社を持つ人間が多くなってはじめて、この国を変えていくことができるし、それがこれか
らの独立企業家の使命なのではなかろうか。京都のMKタクシーはそのいい例だ。全く行
政の云うことを聞かずに、思うように事業展開をしている。その方向性は、消費者の方に
目を向け、役所のご都合には一切耳を貸さないという、気持ちのいいものである。どの業
界にも、そういった改革面から業績を伸ばしてくる企業がこれからのトレンドの中心にな
る者と考えられる。そういった意味で、前々から述べている、住宅土地問題もこれから本
格的に転機を迎えることになるであろう。既得権、既存の体系に、仕組み、値段等にあぐ
らをかいているととんでもないことになりそうだ。
 読者の方から、本業の節電とか、省エネのことを書いてくれという依頼もあるが、その
ことに関しては、筆者の本を買って読んでほしいと申し上げたい。ただ、省エネに関して
ひとことを書くと、どうも、日本の場合、節電意識がまだ低いように思える。節電はエス
コ事業ということで、外国では一般化しているが、日本の場合、節電装置の導入に消極的
である。単純にいうと、お金をかけずに節電することを節電と思っている人が多い。節電
とは、お金をかけて節電装置を導入し、同時に装置メーカーならびに施工業者の所得を賄
い、経済を循環型に扶養させる(昔から風が吹けば桶屋が儲かるというが)ことを指して
いる。ただ使わないというのは経済の停滞を意味し、経済成長としての乗数効果はゼロ。
乗数効果がない国に景気回復などあるわけはなく、いかに効果的にお金を使って、国民の、
会社の購買力を高めるか、それが節電であると考えている。節電は、3方両得(電気を使
うもの:料金が安くなる、売るもの:発電所固定費の削減になる、メーカー・工事会社・
金融会社:所得増)の優れた側面を持っているため、特徴あるビジネスモデルを組み上げ
れば、大きな仕事にもなる。、これにようやく理解を示し始めてきているという状況かも
しれない。一方、もっともらしく、お金をかけずに契約だけを変更するという手法で、多
大なフィー、ロイヤリティーを請求する変なビジネスモデルを売り物にしている不遜な業
者とか、電気主任技術者を1件の顧客に派遣して、代金を1,800円しか払わないなど
というたこつぼ式派遣業者も暗躍しているようで、そういった仕組みに巻き込まれないよ
うにHP等で情報発信をしていく必要性もあるように感じている。
 このメルマガも、書き始めて、データ重視の内容を追って続けてきたが、今後は今回同
様、不定期にメリハリを付けて発行していきたいと思っている。

カテゴリー: 経済一般 パーマリンク

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