電力5社、再生エネ買い取り再開へ まず九電

2014/11/23 2:01情報元日本経済新聞 電子版

大手電力5社は停止している再生可能エネルギーの買い取り手続きを再開する方針だ。太陽光発電設備からの送電を中断する制度の拡大など供給制限の仕組みを入れることを条件とする。まず九州電力が年内にも受け入れ再開の方針を表明する。再開で再生エネ事業者は新規参入の道が開くが、参入条件はこれまでより厳しくなる。

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九州電力は政府が認定した5万件超の再生エネルギーの発電設備に対する買い取り手続きを9月下旬から保留している。供給制限策の導入が決まれば再開を表明し、早ければ年内に再開する。同様に手続きを保留している九電以外の4電力(北海道、東北、四国、沖縄)も受け入れ再開を検討する。

大手電力が手続きを保留している再エネ設備の大半は太陽光だ。固定価格買い取り制度では全ての再生エネ設備から電気を全量、買い取る義務がある。だが発電量が天候次第で変わる太陽光は送電網の受け入れ容量を超えて停電するリスクがあり、全設備から買い取るのは困難と電力各社は主張している。

九州電力は年内にも再生可能エネルギー受け入れ再開の方針を表明する(福岡・中央区)
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九州電力は年内にも再生可能エネルギー受け入れ再開の方針を表明する(福岡・中央区)

経済産業省は再生エネの手続き再開に向け2つの対策をとる。認定後も長く発電を始めない事業者の排除と発電量の制限だ。

まず、買い取り決定後も長期間稼働していない再エネ設備の認定を取り消す。発電を棚上げしている事業者を排除し、新規参入の余地を増やす。

九電など大手電力が太陽光の事業者の発電量を制限できる制度も拡大する。現在は制限できるのは年間30日までで、30日を超えると補償金を支払う必要がある。補償金を払わずに制限できる期間を延ばす。

大手電力は買い取る電力量を調整しやすくなるため買い取り手続きを再開できるとみている。再生エネ事業者は頻繁に発電量を制限されると採算が合わなくなり、新規参入リスクが大きくなる。

これとは別に九電は受け入れる再エネ設備数を減らし、受け入れ負担を軽くする。現在、手続きを保留している設備の大半は大規模設備を分割した小規模設備だ。技術者の配置義務などが大規模設備より軽くなるため昨年度末に申し込みが殺到し、九電側の事務負担とコストが膨らんだ。分割した小規模設備は1つの大規模設備と見なす。

経産省は電力各社側の再エネの受け入れ容量を増やす対策もとる。蓄電池の設置への補助や、電力会社間で送電網を相互利用する際のルールも検討している。

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