経済産業省は太陽光発電の電気を買い取る制度で、発電開始が遅れた場合に買い取り金額を減らす。発電開始が同省の認定から事業用は3年、住宅用は1年を超えると、それ以降は遅れるほど金額を少なくする。電気料金に上乗せしている太陽光発電の買い取り費用を抑え、家計負担の増加を食い止める。
経産省が省令を改正し、8月以降に電気を買い取る電力会社と接続契約を結ぶ太陽光設備から適用する。2016/6/7 0:29 情報元日本経済新聞 電子版
経済産業省は太陽光発電の電気を買い取る制度で、発電開始が遅れた場合に買い取り金額を減らす。発電開始が同省の認定から事業用は3年、住宅用は1年を超えると、それ以降は遅れるほど金額を少なくする。電気料金に上乗せしている太陽光発電の買い取り費用を抑え、家計負担の増加を食い止める。
経産省が省令を改正し、8月以降に電気を買い取る電力会社と接続契約を結ぶ太陽光設備から適用する。2016/6/7 0:29 情報元日本経済新聞 電子版
太陽光買い取り、入札制に 再生エネ改正法が成立
2016/5/25 11:24 情報元 日本経済新聞 電子版
太陽光発電でつくった電気の買い取り金額を抑える改正再生可能エネルギー特別措置法が25日の参院本会議で可決、成立した。大規模太陽光発電所(メガソーラー)からの購入を入札制にし、より安く発電できる事業者の電気を優先的に買い取る。高コストの太陽光発電が想定以上に増えており、家庭などの電気料金への上乗せ分がさらに膨らむのを抑える。
太陽光発電の電気を電力会社が買い取る価格は現在、事業者の発電コストにかかわらず一律で、メガソーラーなら2016年度は1キロワット時あたり24円となっている。17年度からは入札を実施し、安い価格を提示した事業者から優先的に電気を買い取る仕組みにする。
再生可能エネルギーの買い取り費用を家庭や企業が支払う電気料金に上乗せする「賦課金」は現在、標準的な家庭で月額675円にのぼる。固定価格で買い取る制度を始めた12年度の66円から10倍に膨らんだ。
入札の導入で、ドイツなど欧米諸国より高い発電コストを引き下げる。再生可能エネルギーの導入が太陽光発電に偏りすぎないようにし、風力や地熱などほかの再生エネもバランスよく普及するように促す。
改正法では、すみやかな稼働が見込める太陽光発電の設備だけを買い取りの対象に認定する規定も入れた。
買い取り価格が年々下がるなか、稼働の時期が決まっていないにもかかわらず、高値のうちに認定だけ受ける企業が後を絶たないためだ。今後はこうした企業は認定しないようにし、いったん認定しても必要に応じて取り消す。
アベノミクスの風化とともに、景気の急ブレーキを回避できるかどうか、剣が峰に差しかかってきたようです。
経済産業省は、企業や家庭が発電した太陽光電気の買い取り価格を2019年度までに今より2割以上引き下げる。買い取り価格を高めにしたことで太陽光発電はいきおいよく普及してきたが、一般家庭に転嫁される料金の負担が重くなりすぎたため価格を適正な水準に下げる。電気を売るよりも、自宅や工場で使うようにうながす。太陽光発電に対する行き過ぎた優遇措置を是正する。
12年度にスタートした再生可能エネルギーの「固定価格買い取り制度」は、再生エネで発電した電気を電力会社が一定の期間、同じ価格で買い取るしくみだ。日本では150万戸超が太陽光発電に取り組んでいる。
買い取りにかかる費用は家庭や企業の電気料金に広く上乗せされる。再生エネが増えるほど太陽光を発電していない一般家庭などへのしわよせが増える。16年度の標準家庭の負担は1カ月当たり675円。制度が始まった12年度の10倍になった。
いちど買い取りが認められると家庭は10年間、企業向けは20年間、固定した価格で電気を売ることができる。16年度の価格はおもに企業が導入する10キロワット以上の太陽光が24円(以下、1キロワット時あたり)。住宅の屋根などに設置する10キロワット未満は31~33円だ。経産省は19年度までに買い取り価格を大きく下げる。
企業向けの太陽光電気は16年度の24円から毎年2~3円前後引き下げる。19年度に工場などの大口向け電気料金と同じ水準の17、18円程度にする。さらにコストが安い事業者が優先的に参入できる入札制を導入し、価格をおさえる。
ソフトバンクグループやシャープなどは各地でメガソーラーとよばれる1000キロワット以上の大型太陽光発電所を稼働している。これらの設備ではすでに長期の買い取り価格が決まっているため影響はほぼない。
ただ、これから参入をめざす企業は価格下落で利益が減るため、太陽光発電の機運が後退する可能性が高い。
家庭向けの買い取り価格も17年度以降、毎年2~3円前後引き下げる。19年度には標準家庭の電気料金とほぼ同じ24円ほどにする。
経産省は太陽光発電などでエネルギーをまかない光熱費を実質ゼロにする住宅を20年度に新築住宅の半数まで増やす目標を掲げている。買い取り価格を家庭の電気料金並みに下げることで過度な優遇をあらため、自宅で使うようにする。
政府は30年度に再生エネによる発電割合をいまの10%程度から22~24%にする目標をかかげている。太陽光発電が電力全体にしめる割合は現在、2%程度にすぎず、この目標に沿って7%まで引き上げる計画だ。
ただ、高値で買い取ってもらえて設置もしやすい太陽光に事業者らが集中したことで、計画中のものも含めると太陽光の設備はすでに国の目標を超えている。政府は価格を引き下げて太陽光の安易な導入にブレーキをかける。
風力発電についても買い取り価格がドイツやフランスに比べて2倍程度高いこともあり、経産省は引き下げを検討する。
まだ導入が進んでいない地熱やバイオマス、中小水力などの買い取り価格は維持し、再生エネのバランスのとれた普及を進める。
電力自由化を控えた家庭用部門で、以下のシミュレーションがweb上で簡単に計算できる。ただ、計算結果については実施時点までに1kWh単価の引き下げが予想され、、計算結果を鵜呑みにしない方が良さそうです。一部に1kWh単価の引き下げが既存電力から対抗策として出されるとの予想がある。原油が予想外の低下傾向の中、大幅な単価引き下げが可能となる中、再生可能エネルギー主体の新電力側にとっては、買い取り価格の低下との関連で大きな逆風となるからです。
今日の日本経済新聞から。 個人事業者にも関心は高いかもしれません。
http://www.nikkei.com/article/DGXLASFS12H5Y_S5A211C1NN1000/
自民、公明両党は12日、消費税の納税額を正確に把握するインボイス(税額票)を軽減税率導入から4年後の2021年4月に採用すると決めた。課税の公平性を高める効果が期待される。一方、中小事業者については17年4月以降、納税額を厳密に計算しなくて済む「みなし課税」の選択肢を用意する。納税すべき消費税が事業者の手元に残る「益税」問題の解消は見通せない。
自公両党は12日にまとめた合意文書に「21年4月にインボイス制度を導入する」と明記した。これまでは時期を明確に示していなかった。インボイスは商品ごとの税額を記す税額票を売り手と買い手が交わすしくみ。税額票に書いてある税額を足し上げるため、納税額を偽りにくい。
ただ年間で数千億円規模とされる益税の解消につながるとは言い切れない。軽減税率の導入から税額票採用までの4年間は益税をむしろ助長するような特例を入れる。
売上高5000万円以下の中小事業者には納税額を正確に計算しなくてもいいみなし課税を認める。現在も売り上げに占める仕入れ額の比率を推計して納税額をはじける簡易課税制度があるが、17年4月からは売り上げに占める軽減対象品目の比率も推計を認める。仕入れと販売の両面でみなし課税を認めることで、納税額の計算が現在よりもさらに不正確になる恐れがある。
軽減対象品目のみなし比率を実態よりも高く設定すれば、受け取った消費税が少ないと見なされ納税額を圧縮できる。10日間の売り上げ実績でみなし比率を決めることにはしたが、年間の売り上げ実績とかけ離れ、益税が膨らむ可能性がある。
現在、消費税の支払いが免除されている売上高1000万円以下の零細事業者は17年4月以降も免税制度がそのまま残る。
東京都内で居酒屋を経営する男性は益税を受けるため、売上高が1000万円を超えないように気をつけているという。「領収書を書いていない伝票をごみ箱に入れれば売上高を操作できる。誰もわからない」と話す。税率が8%から10%に上がるぶん、益税のうまみも増す。こうした売り上げ操作が横行し、免税事業者になろうとする動きが活発になる懸念がある。
21年4月の採用が決まった税額票についても、制度が骨抜きになったとの見方が多い。
「みなし計算はインボイス導入後なるべく早くやめないといけないが、すぐにそういう状況にならないのではないか」。自民党税制調査会の宮沢洋一会長は今月3日の記者会見でこう述べた。
その際に両党の税制調査会が示した工程表では、税額票の導入後もみなし課税が存続することを示す「点線」が伸びている。事業者に配慮し、打ち切りを決断できなかった。
税額票の採用にあわせて免税事業者を守るしくみも入れる。免税事業者は税額票を発行できず、免税事業者から物品を買うと買った相手は税額控除を受けられない。このため欧州などでは免税事業者が取引から排除されている。両党は零細事業者に配慮し、税額票の導入から6年間は免税事業者から仕入れた場合でも税額控除を受けられる特例を設けることにした。
ソーラー発電推進派の人々は、電力コストについて語りたがらない。発電コストが低下傾向にある、発電コストが安い時期もある、あるいは発電施設の設置数が急増しているのだから成功している、といった論点ではぐらかすのだ。しかし、残
念ながら、こうした推進派の人々は自分たちの置かれている現状について無知であるか、無知を装っているとしか言えない。
この事実を見て考えてみて欲しい。ソーラー発電会社2社が深刻な危機に陥っているのだ。Hanergy Thin Film Solar株は取引停止となり、Sunedisonの株価も最近85%の下落を記録した。両社共に業界の優良児とされ、株式を保有していたETFの価格上昇にも大きく貢献していた銘柄である。
また、推進派は、政府補助金はさして重要ではないとしているが、現実としてソーラー会社は政府の支援金削減に苦しんでいる。イギリスでは電力の買い取り額が減額されたことで中止されたプロジェクトも多くあり、その結果何百人もが解雇されている。推進派は、単純な補助打ち切りではなく、政府による業界いじめであるかのように見せたいようだが、実際のところは技術自体に競争力がないことを認めたくないということだ。
同様に日本やドイツでもソーラー事業は今後も増加させるべき成功と称賛されているが、「巧みな規制と幅広い公的支援により、意外にもドイツが世界的な再生可能エネルギーのリーダーに躍り出ることができた」といったコメントがつく。やはり規制、支援ありきなのだ。
一方、非推進派は違う見方をしている。太陽光発電は依然としてコストが高く、発電量が予測不能かつ供給量が非常に不安定なため、電力コスト高につながっているとする。電力会社からは、ソーラーパネルの所有者もコスト負担をするべきで、余剰電力の買い取りにも制限が設けられるべきだと反発が上がっている。今後、州によっては再生可能エネルギー導入の目標数値が設定されるが、ソーラー発電のシェアが上がれば、こうした圧力も強まっていくだろう。
現実が明らかになる中、徐々にその影響があらわれ始めている。例えば、イギリスのソーラー事業者Mark Groupが破たん、アメリカのSolarCityの株価も低迷している。また、高度な金融手法を利用してソーラー発電を発展させるために創られたイルドコ(再生可能エネルギーの長期売電収入を収益の源泉とした投資有価証券)の市場価格も大きく下落している。
たった二年前には「最も新しくてホットな領域」とされていたことを考えるとクリーンテック業界(少なくともその一部は)は、実質的な根拠のない状態で市場価値を過大に評価され、バブルに陥っていたのだろう。ソーラー発電業界は他のどの産業よりも政府のサポートに牽引されているのが現実で、安く、信頼性の高い電力供給が実現できずにいるために、その支援も先細りとなってきているのだ。アメリカのシェールオイルやシェールガスが世界的なガスの価格を押し下げる中で、ソーラー発電の競争力はますます低下していくだろう。
つまるところ、太陽光による発電はコストが高いままで、限定されたニッチなマーケットでしか有効に使えないにも関わらず、メリットばかりが過大にアピールされてしまったため業界内の企業の株式が高騰しすぎてしまったのだ。コストとリターンの分析を行った政府が、もっと地に足のついた政策立案を行えば、補助金や買い取り価格は減額された上に導入目標も削減され、結果として業界全体が縮小することになるだろう。
ビジネスの新しいパラダイムへの進化により、株価を以前の標準的な算定方法で評価することができなくなったのではないか、という期待がかつてのITバブル膨張させてしまった。後に、この理論が投資家を混乱させ、間違った方向へ導き、適切な株価から乖離させてしまったことがわかった。クリーンテックの世界では、エコな取り組みの進化という無形価値と、経済を理解していない人々や経済に興味のない人々が推進派となったことが相まって投資家を混乱させ、間違った方向へ導いてしまったのだ。
2015年11月26日 朝日新聞
政府は、エネルギーを多く消費する白熱灯と蛍光灯について、国内での製造と国外からの輸入を、2020年度をめどに実質的に禁止する方針を固めた。省エネ性能が高い発光ダイオード(LED)への置き換えを促す狙いだ。
安倍晋三首相が26日に財界幹部を集めて官邸で開く「官民対話」で、省エネ対策の一環として表明する。今月末にパリで始まる国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP21)に向けて、日本の温室効果ガス削減への取り組みを具体化する狙いもあるとみられる。
政府はLEDと蛍光灯それぞれについて、品目ごとに省エネ性能が最も優れた製品の基準を満たさないと製造や輸入をできなくする「トップランナー制度」で規制してきた。来夏をめどにつくる省エネ行動計画に、照明についての品目を一つにまとめることを盛り込む。LED並みの省エネを達成するのが困難な白熱灯と蛍光灯は、事実上、製造や輸入ができなくなる見通しだ。来年度にも省エネ法の政令を改める方針。
電球で比べると、LED電球の消費電力は、60ワット形相当で白熱電球の約8分の1で、電球型の蛍光ランプよりも約3割低い。政府は、30年度の温室効果ガス排出量を「13年度比26%減」とする削減目標の前提として、家庭などで使われている照明のほぼ100%を、30年度までにLEDにする目標を掲げるが、割高な価格がネックとなってLEDの比率は12年度で9%にとどまった。
白熱灯と蛍光灯の製造と輸入ができなくなれば、国内市場で在庫がなくなった時点で、LEDへの置き換えが急速に進み、量産効果でコストが下がることも期待される。ただ、割安な電灯を買う選択肢がなくなることになり、LEDの価格が下がらなければ、家計や企業の重荷になる可能性もある。
電球型のLEDが登場したのは09年前後。11年の東日本大震災後に省エネ意識が高まって一気に普及した。日本の大手電機メーカーでは、東芝ライテック、パナソニック、日立アプライアンスが一般的な白熱電球の生産をすでに終えている。電球型の蛍光ランプも、東芝ライテックが今年3月に生産をやめるなど、LED電球への切り替えが進んでいる。東芝ライテックによると、一般的なLED電球の希望小売価格は、09年の発売時に約1万円だったが、いまは2千~3千円台まで下がり、「店頭の販売価格はもっと安いだろう」(広報担当者)という。
蛍光灯が中心だった天井用照明でも、10年ごろからLEDが売り出されている。ただ、照明器具そのものをLED対応に切り替える必要があることから、電球ほどはLED化が進んでいない。LEDへの移行を後押しする支援策を求める声が出る可能性もある。(高木真也、南日慶子)
朝日新聞から2015年10月25日05時00分
原発事故後の電力不足や地球温暖化への対策として再生可能エネルギーの導入が進んでいる。しかし、主力である太陽光発電や風力発電は、どうしても気象条件に左右されてしまう。新しい蓄電技術で再エネの電気をためて有効活用しようという技術開発が進んでいる。
山梨県のほぼ中央部にある米倉山太陽光発電所は、敷地面積12・5ヘクタール、出力1万キロワットのメガソーラーだ。ここに9月、電気をためる新しい蓄電設備「超電導フライホイール」がつながった。
フライホイール(弾み車)とは、コマのように回転軸に重い円盤を取り付け、高速回転を安定して続ける装置。余った電気でモーターを回して回転を加速し、電気が必要な時はその回転力で発電する。電気を運動エネルギーとしてためる原理だ。短い時間での電気の出し入れが得意で、何度でも充放電できる。
超電導リニアの技術を持つ鉄道総合技術研究所などが開発。高温超電導の軸受けで回転軸を浮かせて、摩擦によるエネルギーのロスをなくし、耐久性をあげた。出力300キロワット、蓄電容量100キロワット時。弾み車は約4トンもある。
温室効果ガスを出さない再エネの電気は最大限活用したい。ただ、風力や太陽光は風況や日照によって出力が秒・分単位で小刻みに変わる。送電網にそのまま大量に入り込むと、電気の周波数が乱れて停電に陥る恐れがある。そこで、いったん電気をためて、出力をなめらかにする「しわ取り」が必要になる。
米倉山の設備では、年度末まで送電網につないで実証試験を行う。鉄道総研の長嶋賢部長は「1日数百回の充放電が必要な『しわ取り』には、蓄電池より向いている」と話す。電車のブレーキで生まれる回生電力をためるのにも活用できるという。
太陽光買い取りに入札導入へ 政府、再生エネ制度を抜本見直し …
2015/05/17
政府が再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度を抜本的に見直すことが16日、分かった。太陽光発電の買い取りについて、コストの安い事業者を優先する入札制度を新たに設けることなどが柱となる。経済産業省の有識者委員会で6月にも制度改革の本格的な検討を始め、今夏までに意見を集約。来年の国会で再生可能エネルギー特別措置法の改正を図る方向だ。
現行制度の下では、太陽光発電の急拡大が電気料金の上昇を招いており、制度の見直しで国民負担の軽減に取り組む。
入札制度では、事業者の利益を考慮して現在は高めに設定されている買い取り価格に競争原理を導入し、コスト削減を促す。また、太陽光の導入量に上限を設ける案も浮上している。
こうした制度変更は、再生エネ普及の先駆けとなったドイツやスペインが電気料金の上昇を抑制するため進めている。政府は海外の先行事例を参考にしつつ、改革案を詰める構えだ。
制度の根拠となる特措法は、開始後3年間は買い取り価格を優遇するよう定めた。普及の起爆剤と期待された太陽光には他の再生エネと比べても高い価格が設定され、参入事業者が殺到。制度が平成24年7月に始まってから認定を受けた設備容量は太陽光が95・4%(26年12月末)と大半を占める。
2011年3.11東日本大震災以降天延ガスの価格は長期低下傾向、原油は100ドル台の高値が昨年夏まで続いていたが、それ以降は50ドルを切っている。当面はこの傾向が続くものと思われるが、電力需要の低下傾向も影響しているか。来年の電力自由化を控え、需要面での大きな変化はないものと思われる。2015年上半期の10電力会社合計の需要速報によれば、猛暑にもかかわらず、販売電力合計は395,844百万kWhで前縁同期比98.1%となっている。西日本の原発再稼働に関していえば、地元歓迎、域外は批判的となっている。再稼働が天然ガス・原油の輸入コスト圧縮という点で限界コストの低下に寄与する。
天然ガス(Henry Hub)先物(NYMEX)月足
北海道北部の日本海側で風力発電のための送電網整備を手掛けてきた通信大手ソフトバンクグループ系の会社が、事業の凍結を検討していることが7日、分かった。経済産業省がこの会社から、採算性が不透明で計画通りに事業を進めるのは難しいとの報告を受けた。
凍結を検討しているのは、ソフトバンクグループの子会社「SBエナジー」と大手商社の三井物産、丸紅が出資している特定目的会社の「日本送電」。風力発電の適地とされる北海道増毛町などを通る送電網の建設を想定していた。
経産省は送電網整備の実証事業として同社などに2013~15年度で計505億円の補助金を交付し、後押ししている。
国内風力発電が2千基を突破 補助金打ち切り後の伸び悩み脱し、ようやく“順風”へ東電、静岡で大規模風力発電の運転開始 1万世帯分を供給
日立が洋上風力発電の送電システムを開発へ NEDOが委託先に選定
NEDOでは、国内の風力発電導入状況を把握するため、日本国内における風力発電設備の導入・撤去に関して、電力会社からの聞き取り調査による情報を集計し、国内にある単機出力10kW以上の系統連系されている全ての風力発電設備を対象として、年に一度、導入実績調査を行っています。
今般、2015年3月末時点の調査結果の集計を完了し、「日本における風力発電設備・導入実績」を公表しました。 2015年3月末時点の総設備容量は約293万kW、総設置基数は2,034基となっています(図1)。また、2014年度単年度においては、設置基数113基、設備容量で約24万kWの風力発電設備が導入されました(図2)。
これらの調査データは、風力発電事業者や地方自治体等において、最新の風力発電設備導入状況の把握等に活用されるとともに、国内外の風力発電やエネルギー業界の団体において公表される統計情報の基礎データとして利用されます。
http://www.nedo.go.jp/news/press/AA5_100449.html :出展
「空気から燃料を作る」。こんな夢のような技術の実用化が近づいてきた。地球温暖化の元凶ともいうべき二酸化炭素(CO2)を分解して燃料の原料を生成するのが特徴で、日本企業が技術面で大きくリードし始めている。資源小国・日本の救世主となるか。注目を集めそうだ。
■ゴミ焼却場の横に燃料生成プラント
2020年初頭。ゴミ焼却場の隣接地に設けられた巨大プールを眺めると、その底にはいくつもの半導体パネルが太陽に向かって設置されていた。まるで太陽光発電の装置のようだ。だが、発電するわけではない。ゴミ焼却場が排出する大量の二酸化炭素をこのパネルで取り込んで一酸化炭素を生成。自動車数百台が1日に使う燃料に作り替えた――。
この青写真が日の目をみる決め手となる技術が人工光合成だ。この技術は水と二酸化炭素からエネルギーをつくり出す光合成の原理を応用する。半導体パネルで太陽光を受け、水を酸素と水素イオンに分ける。次に触媒を使って水素イオンで二酸化炭素を分解し、メタノールなど燃料の原料になる一酸化炭素を作る。厳密に言えば空気から燃料を直接作るわけではないが、環境汚染の原因となる二酸化炭素を自動車の燃料やプラスチックの原料になるメタノールに作り変えることができる。
日本ではすでに東芝やパナソニックのほか、トヨタグループの研究開発会社である豊田中央研究所(愛知県長久手市)などが重要分野の一つとして研究開発に取り組む。実現のポイントとなるのが、地表に届く太陽光エネルギーのうち生成できるエネルギーの割合を示す「エネルギー変換効率」だ。この数値が高ければ高いほど実用化に近づく。採算ラインの目安は10%だ。
もちろん、欧米やアジアなどのメーカーも夢の技術を手に入れようと懸命に研究を進めている。だが、ここにきて日本企業がエネルギー変換効率の上昇に成功。主導権を握る可能性が出てきた。
今年11月。東芝は国際学会で変換効率を1.5%に高めることに成功したことを明らかにした。それまではパナソニックの0.3%が世界最高とされていた。植物の光合成の変換効率は一般的に0.2%と言われる。各社の技術は条件がそれぞれ異なるため単純比較できないが、東芝の水準は植物で最も効率の高い藻類の光合成の効率に匹敵するという。
なぜ東芝は1桁も効率を高めることができたのか。その秘密は太陽エネルギーの使い方にあった。従来の研究では、水と酸素を分けるために使用する半導体には酸化チタンやインジウムリン、窒化ガリウムなどを使っていた。これらの素材は太陽光エネルギーの3%しかない紫外光しか利用できない。窒化ガリウムなどは価格も高く「実用化には向かない」(東芝研究開発センターの小野昭彦主任研究員)。
「紫外光以外の太陽光を活用したら効率が上がるのではないか」
太陽光エネルギーには紫外光のほかに、可視光と赤外光がある。そこで小野さんは太陽光のうち54%を占める可視光に着目。可視光を吸収できる素材を探し始めた。試行錯誤の末、シリコンやゲルマニウムが可視光を効率的に吸収できることを突き止めた。これらを重ね合わせることで独自の半導体を完成。価格も「従来の方法より比べものにならないくらい安くできる」(小野さん)。
さらに水素イオンで二酸化炭素を分解する過程も見直した。触媒にはナノサイズの金を利用。二酸化炭素を分解するためにかける電圧が小さくて済む。
例えば、ごみ処理工場の隣接地に人工光合成プラントを建設したとする。1万平方メートルのプールに半導体パネルを沈めて、ごみ処理工場から排出した二酸化炭素を1日に30トン反応させる。これにより生成した一酸化炭素を水素と結びつける。仮にエネルギー変換効率が10%に達していれば「1日に3700リットルのメタノールに変換することが可能だ」と小野さんは説明する。東芝は火力発電所などから出る排ガスから二酸化炭素を分離・回収・貯蔵する技術開発を進めており、こうした技術と組み合わせて提供する考えだ。
■世界のエネルギー情勢一変も
一酸化炭素はメタノールなど様々な燃料のほか、医薬品やペットボトル、接着剤などの原料にもなる。世界のメタノールの需要は年々増えており、23年には13年に比べ1.7倍の1億トンに達する見通し。商機は大きい。
経済産業省は今年8月に公表した「エネルギー関係技術開発ロードマップ」に人工光合成の実用化に向けた実証実験を22年度に始めるとの計画を盛り込んだ。官民挙げての研究開発がこれから本格化する。
環境省によると、13年度の日本の温室効果ガス(二酸化炭素換算、速報値)の総排出量は13億9500万トン。05年に比べて1.3%増えている。人工光合成に詳しい首都大学東京大学院の井上晴夫特任教授は「二酸化炭素は人間が出すのはもちろん、自動車のほか、火力発電所や化学工場など幅広い場所で出る。実用化できれば効果は大きい」と分析する。
人工光合成の技術の実証に世界で初めて成功したのは豊田中央研究所だ。今から3年前のことだ。そのときの変換効率はわずか0.03~0.04%。それから3年余りでエネルギー変換効率は約40倍に高まった。人工光合成は空気中の二酸化炭素を減らしながら、燃料まで生み出せる一石二鳥の技術といえる。資源の確保に四苦八苦してきた日本が世界のエネルギー情勢を一変させる日が来るかもしれない。
(電子整理部 鈴木洋介)
2014/11/23 2:01情報元日本経済新聞 電子版
大手電力5社は停止している再生可能エネルギーの買い取り手続きを再開する方針だ。太陽光発電設備からの送電を中断する制度の拡大など供給制限の仕組みを入れることを条件とする。まず九州電力が年内にも受け入れ再開の方針を表明する。再開で再生エネ事業者は新規参入の道が開くが、参入条件はこれまでより厳しくなる。
九州電力は政府が認定した5万件超の再生エネルギーの発電設備に対する買い取り手続きを9月下旬から保留している。供給制限策の導入が決まれば再開を表明し、早ければ年内に再開する。同様に手続きを保留している九電以外の4電力(北海道、東北、四国、沖縄)も受け入れ再開を検討する。
大手電力が手続きを保留している再エネ設備の大半は太陽光だ。固定価格買い取り制度では全ての再生エネ設備から電気を全量、買い取る義務がある。だが発電量が天候次第で変わる太陽光は送電網の受け入れ容量を超えて停電するリスクがあり、全設備から買い取るのは困難と電力各社は主張している。
経済産業省は再生エネの手続き再開に向け2つの対策をとる。認定後も長く発電を始めない事業者の排除と発電量の制限だ。
まず、買い取り決定後も長期間稼働していない再エネ設備の認定を取り消す。発電を棚上げしている事業者を排除し、新規参入の余地を増やす。
九電など大手電力が太陽光の事業者の発電量を制限できる制度も拡大する。現在は制限できるのは年間30日までで、30日を超えると補償金を支払う必要がある。補償金を払わずに制限できる期間を延ばす。
大手電力は買い取る電力量を調整しやすくなるため買い取り手続きを再開できるとみている。再生エネ事業者は頻繁に発電量を制限されると採算が合わなくなり、新規参入リスクが大きくなる。
これとは別に九電は受け入れる再エネ設備数を減らし、受け入れ負担を軽くする。現在、手続きを保留している設備の大半は大規模設備を分割した小規模設備だ。技術者の配置義務などが大規模設備より軽くなるため昨年度末に申し込みが殺到し、九電側の事務負担とコストが膨らんだ。分割した小規模設備は1つの大規模設備と見なす。
経産省は電力各社側の再エネの受け入れ容量を増やす対策もとる。蓄電池の設置への補助や、電力会社間で送電網を相互利用する際のルールも検討している。