平成の大合併の余波

出所:「平成の大合併」 財政の特例措置の総額は18兆5000億円に

合併自身は良いことだが、この間に議員歳費などが吸収先自治体に合わされ、自治体の運営コストはバブル化をしているのではないか。円高ドル安で企業は経済競争力を失い、国民はチャレンジする心理的機会を失った今、先進国という神話から抜け出す機会ではないだろうか。割の良い地方議員の歳費を求めて働かない、職業議員化した現状は不健全。行政のスリム化が歳費・予算の大盤振る舞いを招いている現状解決には、ここで書かれているように住民の気づきにあるのだが、なかなかそれが難しい課題でもある。


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賃金水準 貧者のサイクル

賃金水準、世界に劣後 脱せるか「貧者のサイクル」

情報元 日本経済新聞 電子版 2019/3/19

統計のマジックが問題になっているが、そもそも、偽りの統計から真っ当な議論が出来るステージアップに繫がる資料として貴重な記事かと思う。


日本の賃金が世界で大きく取り残されている。ここ数年は一律のベースアップが復活しているとはいえ、過去20年間の時給をみると日本は9%減り、主要国で唯一のマイナス。国際競争力の維持を理由に賃金を抑えてきたため、欧米に劣後した。低賃金を温存するから生産性の低い仕事の効率化が進まない。付加価値の高い仕事への転換も遅れ、賃金が上がらない。「貧者のサイクル」を抜け出せるか。

「頑張った人、成長し続ける人に報いたい」。トヨタ自動車は2019年の春季労使交渉で、ベア見直しを含めた賃金体系の再考を提案した。労使で協議を続ける。

新卒を一括採用し、終身雇用と年功序列で、昇進や昇格に極端な違いを出さない。トヨタはこんな日本的な人事・賃金の先導役になってきた。

ところが、電気自動車や自動運転技術などで米IT(情報技術)巨人がライバルとなり、競争環境は激変した。人工知能(AI)といった先端分野は人材の争奪戦になった。「生きるか死ぬかの戦いだ」(豊田章男社長)。危機感がトヨタを「脱ベア」に突き動かす。

デフレ不況と円高、過剰な設備と人――。1990年代後半から、製造業などは賃下げを含めた賃金抑制に動き、気がつけば日本の賃金は世界から大きく取り残された。

経済協力開発機構(OECD)は残業代を含めた民間部門の総収入について、働き手1人の1時間あたりの金額をはじいた。国際比較が可能な17年と97年と比べると20年間で日本は9%下落した。主要国で唯一のマイナスだ。英国は87%、米国は76%、フランスは66%、ドイツは55%も増えた。韓国は2.5倍。日本の平均年収は米国を3割も下回っている。

日本は金融危機に直面した97年をピークに減り始め、12年までに12%減。大企業は定期昇給などで1%台の賃上げを続けたが、非正規社員も増え、1人あたりの時給は減った。時給の最低水準を定めた「最低賃金」(最賃)はこの3年間で3%台の上げが続く。ただ、対象はパート労働者ら一部にとどまり、全体を押し上げるには至らない。

その背景には労働生産性(付加価値)の低迷がある。1人の働き手による1時間当たりの成果を示す生産性の上昇が賃上げには必要とされる。

長時間労働がはびこった日本はこの半世紀、先進7カ国のなかで最下位。OECDによると17年は47.5ドルと前年から1%程増えたが、加盟国36カ国で20位という低位置は変わらない。米国(72ドル)、ドイツ(69ドル)に水をあけられている。

なぜ生産性が上がらないのか。逆説的だが、日本の企業が賃上げに慎重な姿勢を続けてきたことが生産性の低迷を招いたとの見方がある。

「賃上げショックで生産性を一気に引き上げるべきだ」。国宝・重要文化財の修復を手がける小西美術工芸社のデービッド・アトキンソン社長はこう訴えている。

ゴールドマン・サックスの名物アナリストだった同氏による主張の根拠はこうだ。低賃金を温存するから生産性の低い仕事の自動化・効率化が実施されず、付加価値の高い仕事へのシフトが進まない。その結果、生産性が上がらずに賃金も上がらない。いわば貧者のサイクルに日本は陥っているというわけだ。

アトキンソン氏は最賃の毎年の上げ率を現在の3%台から5%台に加速させるべきだという。低生産性の象徴とされる中小企業に、省力化の設備投資や事業の変革を迫る起爆剤になるとみる。英国は99年に最賃を復活させて18年までに2倍超に上げた。低い失業率のまま生産性が高まった。

最賃の形で賃金を強制的に上げることが正しいかは議論が分かれる。ただ、世界的にみて劣る日本の生産性を上げていかないと国際競争に勝ち残れないのは間違いない。

賃金の変革に動き出す企業も出てきた。

フリマアプリのメルカリ。16年からエンジニアらの新卒採用を本格的に始めた。面接で候補者のインターン経験や学術論文などを含めて能力・技能を見極める。具体的な金額を役員に諮り、初任給を決める。最大で数百万円の差がつく。18年は70人あまりが入社した。

「賃上げなくして成長はない。ただしもうかるビジネスモデルがあってこそだ」。「いきなり!ステーキ」を展開するペッパーフードサービスの一瀬邦夫社長は断言する。1月にベアと定昇で平均6.18%を賃上げした。18年は230店を純増。賃上げで事業を拡大する好循環につなげる。

働き手の意欲を高め、優れた人材を引きつける賃金の変革をテコに、付加価値の高い仕事にシフトしていく潮流をつくり出すことが不可欠だ。

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リース取引、資産計上へ 会計を国際基準に

2019/3/8付情報元日本経済新聞 朝刊

機械や設備を購入せずに借りて利用する「リース取引」に関する会計基準が変わる。今までは企業の財務状態を表す貸借対照表(バランスシート)に記載する必要はなかったが、ルールが変わればリースの金額を明記する必要が生じる。上場企業全体を表す「日本株式会社」の資産は17兆円増える計算。リース離れの懸念に加え、資産効率を表す指標は数値上悪化するが、国際標準並みに財務の透明性を高める。

日本の会計基準を作る企業会計基準委員会(ASBJ)が8日に開く会合で見直し議論に着手、月内の合意を目指す。慎重論も残り、実際の導入までは草案作りや意見募集などで2~3年かかる可能性がある。

国際会計基準(IFRS)は2019年1月、米国会計基準は18年12月から始まる会計年度でこれまで簿外だったリース資産も全て計上するルールを導入済み。会計基準の国際化(総合2面きょうのことば)上、日本基準の遅れが課題だった。

リースは2種類に大別される。購入に近い「ファイナンスリース」と、賃貸借である「オペレーティングリース(オペリース)」だ。事務機やパソコンなどに多いファイナンスリースは既にバランスシートに計上していたが、今回対象になるオペリースが残っていた。船舶や飛行機、倉庫など耐用年数の長いものが多い。

影響は不動産や小売業、物流、海運など多方面に及ぶ。海運では船舶、空運では航空機材でリースを多く活用する。物流の倉庫もリース物件が多い。賃貸物件をオーナーから借り上げ、賃料保証するビジネスモデルのレオパレス21や大東建託では新たに多額の資産と負債の計上が必要になる。

あくまで会計処理上の問題だが、経営目標として総資産利益率(ROA)などを掲げる企業の数値悪化が投資家の判断に影響する可能性はある。財務基盤の弱い会社にとって有利子負債額の増加は重荷だ。

現行の日本基準で支払いリース料は損益計算書上の費用だが、バランスシートには記載せず有価証券報告書に注記の形で載せている。日本経済新聞社が約1250社の注記を集計した結果、合計額は約17兆円に達した。既に計上が決まったIFRSや米国基準を使う企業分も含めると計25兆円弱。日本の上場企業の資産が2%膨らむ規模だ。

リース業界への影響も大きい。代金を経費に計上するだけの簡便な会計処理は手軽なリースのメリットの一つだった。購入に比べ初期費用を抑えられるメリットは変わらないが、資産計上して毎年減価償却の処理をする手間が生じる。「オフバランスという利点が薄まれば、リース設備を利用して企業が投資する意欲が弱まる」との声もくすぶる。

税務上、損金算入できる利点については「特に大きく変わらないのではないか」(大手監査法人)との見方が多いが決まっておらず、将来税務上の取り扱いを巡り議論になる可能性もある。

ASBJも産業界の声に鑑み、リース会計の見直しに慎重姿勢をとってきた。だが、IFRSや米国基準が次々新ルールを導入する中、これ以上遅れれば投資家から日本の財務諸表の信頼性を疑う声が出かねないとの懸念が出ていた。

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事業用太陽光、買い取り価格22%下げ

19年度14円、値下げ圧力一段と

2019/1/9付 情報元 日本経済新聞 朝刊

経済産業省は再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度(FIT)で、2019年度の太陽光発電(事業用)の価格を1キロワット時あたり14円とし、現在の18円から22%下げる。安い価格で発電する事業者から順番に買い入れる「入札制」の対象も出力500キロワット以上と、従来の2千キロワット以上から広げる。コスト重視を徹底するが、普及との両立が課題になる。

FITでは再生エネで作った電気を大手電力が一定期間、同じ価格で買い取る。費用は消費者の電気料金などに上乗せされる。事業用の場合、20年にわたり決まった価格で買い取る。東日本大震災や原子力発電所の事故を受けて12年に始め、当初は1キロワット時あたり40円だった。19年度は3分の1程度まで下がる。

買い取り価格を下げるのは、消費者や企業の負担が重いためだ。18年度の電気代への上乗せは2.4兆円にのぼる。経産省によると世界では太陽光の発電コストが17年上半期で1キロワット時あたり9.1円。ドイツでは18年の買い取り価格が1キロワット時あたり8.3円だ。

価格を下げるため、買い取り枠を設けた上で安い電力を提示する事業者から順番に買い入れる「入札」の対象も広げる。対象の事業者は価格競争を迫られる。

日本でも太陽光発電が普及しパネルの設置費用は下がった。低金利もあり、経産省は投資コストを低く見積もっている。

ただ、2割超の下げは大きい。18年度には上限価格の15.5円を非公開にして2千キロワット以上のメガソーラーから入札を募ったところ、入札価格がいずれも上限を上回り、成立しないという事態があった。14円は大規模な事業者でも厳しい水準で、小規模な発電を計画する事業者は淘汰される可能性がある。

再生エネは普及への目配りもいる。政府はエネルギー基本計画で再生エネを「主力電源」と位置づけ、電源に占める割合を現状の16%から30年度に22~24%まで上げる目標を掲げる。太陽光は現状が5%で、30年度は7%分を目指す。

一方で18年秋には、九州電力管内で太陽光発電が一時的に余り、電力会社が買い取り切れないということもあった。太陽光をうまく使うインフラ作りも課題になる。

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「太陽光バブル」の後始末 価格引き下げで官民紛糾

「太陽光バブル」の後始末 価格引き下げで官民紛糾    日本経済新聞

太陽光発電の固定価格買い取り制度(FIT)の見直し方針が波紋を広げている。政府は2012~14年度に認定を受けたまま発電を始めていない案件で買い取り価格を減額する方針だが、過去の計画に遡って条件を変更することに一部の発電事業者から異論が出ている。発電しない事業者を淘汰し国民負担を軽減するという大義名分はあるものの、制度への不信感が広がれば再生可能エネルギーの普及に向け禍根を残しかねない。

FITを導入した12年以降、メガソーラーの開発が急速に進んだ(JRE土浦太陽光発電所)

FITを導入した12年以降、メガソーラーの開発が急速に進んだ(JRE土浦太陽光発電所)

■買い取り価格半額に

買い取り価格を21円に引き下げる――。経済産業省が10月22日に提示した省令の見直し案は未稼働案件に厳しい条件を突き付けた。

メガソーラーなど事業用の太陽光発電施設では、つくった電気を固定価格で大手電力会社に売っている。FIT導入直後の12年度の買い取り価格は1キロワット時あたり40円。13年度に36円、14年度は32円と徐々に減額されたが、18年度(18円)に比べると高い。この12~14年度認定の未稼働案件について、送電網に電線をつなぐ工事の着工申し込みを電力会社が19年3月までに受領しなければ買い取り価格を大幅に引き下げる。

当初、FITで買い取り価格を高く設定したのは、東日本大震災後の電力不足を補い、太陽光発電の普及を促すため。その狙い通り、建設会社や投資会社、外国企業などさまざまなプレーヤーが参入した。国際再生可能エネルギー機関(IRENA)によると、国内の太陽光発電の導入量は15年に996万キロワットと5年で約10倍に増えた。

ただFITには当初、発電開始の期限がないという制度上の「穴」もあった。そのため太陽光パネルの価格下落を待って投資を抑えて利益を増やそうと考える事業者が続出。買い取り価格が高い認定名義を転売するブローカーも出るなど、エネルギー需給の実態とかけ離れた「太陽光バブル」とも呼べる様相を呈した。

■経産省は国民負担軽減を優先

経産省は今回の制度見直しについて、「再エネの主力電源化に向けて国民負担軽減は待ったなし」との立場だ。

12~14年度に認定された未稼働案件は2352万キロワットと、17年度までに認定された事業用太陽光の約3分の1に相当する。再エネの買い取り費用の一部を電力価格に上乗せして家庭や企業に転嫁している賦課金は既に約2兆4000億円で消費税1%分。見直し対象の未稼働案件が動き出せば約7000億円が上乗せされるとみられ、「30年度に3兆1000億円」としていた当初水準に大幅に前倒しで到達しかねない。

副作用はほかにもある。電力会社は認定された太陽光のために送電線を空けている。未稼働案件が送電線が抑える状況が続けば、風力や地熱など他の再エネの開発計画が頓挫する恐れもある。

ただ過去の案件に遡及して価格引き下げを適用することに異論も出ている。

「一律に買い取り価格を変えるのは理不尽」。米ゴールドマン・サックス系の再エネ発電会社、ジャパン・リニューアブル・エナジー(東京・港、JRE)の竹内一弘社長は異論を唱える。JREは全国37カ所で約9万世帯分を賄う太陽光発電施設を運営する。14年に土地の利用権などを取得したものの、環境影響評価(アセスメント)に3年かかり22年に運転を開始する予定の案件では減額される可能性がある。

12年度に認定を受け、九電工京セラなどが長崎県佐世保市の宇久島で計画している国内最大のメガソーラーも買い取り価格が下がりかねず、関係者の間では実現性が危ぶまれている。

発電施設向けの融資契約を手がけるベーカー&マッケンジー法律事務所の江口直明弁護士は「事業者によっては土地の賃借契約の解除や融資の停止なども余儀なくされる」と指摘する。同弁護士は制度変更の対象となる案件の投資額は合計で1兆円を超えるとみる。

過去に遡及して条件を変更する前例が作られることについて、ある上場企業の発電事業担当者は「政府が約束を覆すとは法治国家とは思えない」との声も上がる。見直し案について21日まで募集しているパブリックコメントで、8日時点で経産省に寄せられたコメントのうち9割は反対意見という。

海外では中国が5月に太陽光のFIT価格を引き下げた。買い取りコストが膨らむのを抑える狙いとみられる。太陽光は風力や水力など他の再エネと比較しても設置や運転が容易なため一気に普及が進む半面、副作用が出やすい。各国の引き締め策で18年は太陽光パネルの世界市場は初めて縮小する可能性がある。

もっとも異例の制度見直しには訴訟リスクも伴う。稼働済みの案件も含めて買い取り条件を見直したスペインでは訴訟が相次ぎ、政府が損害賠償を命じられた。

■長期視点不可欠に

外部の専門家の見方はさまざまだ。エネルギー政策に詳しいみずほ情報総研の蓮見知弘チーフコンサルタントは「短期的な利益を求める事業者が退出しても、中長期の視点で電源を開発する事業者は残るだろう。今後は地道に取り組む企業を後押しする政策にカジを切るべきだ」とみる。

東京大学の高村ゆかり教授は「企業の投資意欲が低下するため、過去に遡っての変更はよほどの理由に限られるべきだ。今回も申し込みの受領期限を延ばすなどの措置が考えられる」と指摘する。

政府は臨時国会で洋上風力の開発を促す法案の成立を目指している。多様な再エネへの投資熱を冷まさないためにも、企業が腰を落ち着けて取り組める環境づくりが不可欠だ。(花田幸典)

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未稼働の太陽光にメス

未稼働の太陽光にメス 日本経済新聞 朝刊
(経産省、電力買い取り減額検討 割高既得権の業者に照準 2018/10/5付   

経済産業省は太陽光発電の固定価格買い取り制度(FIT)の見直しを加速させる。2012年に制度を始めたばかりの頃に認定を受けたまま発電を始めていない案件について、買い取り価格を減額する方向で検討する。価格が高い未稼働案件が稼働し始めれば、企業や家庭の負担は増えるため対策を急ぐ。事業者の反発も予想され、調整は難航する可能性がある。

太陽光の普及を急ぐため、買い取り価格を先行する海外よりも高く設定していた(熊本県内の太陽光パネル)

太陽光の普及を急ぐため、買い取り価格を先行する海外よりも高く設定していた(熊本県内の太陽光パネル)

FITは11年の東日本大震災や原子力発電所の事故を受けて12年から始まった。経産省が個人や企業を再生可能エネルギーの「発電事業者」と認定し、つくった電力を長期間、固定価格で買い取ることを電力会社に義務付ける。電力会社は買い取り費用を電気料金に上乗せする。原発や火力などに依存した電源構成を見直し、再生エネを普及させる狙いがあった。

太陽光でつくった電力の買い取り価格はFITを始めた当初の12~14年度に、事業用で1キロワット時あたり32~40円だった。現在の18円を大きく上回る。海外よりも高く設定し、普及を促した。

高値の時に認定を受けておけば、発電開始が何年後でも認定時の条件で高く売電できる。制度の発足当初は発電パネルの価格も高かった。増産効果で安くなった海外産の登場を待って発電を始めれば、事業者は利益を増やせる。

実際、こうした制度の穴をついた事業者は多い。特に買い取り価格が高値だった12~14年度の3年間に認定された案件で、未稼働分は約2400万キロワットにのぼる。同期間に認定された全容量の4割強を占めている。

経産省が8月に開いた会議では、未稼働分の太陽光がすべて発電を始めた場合、電力会社の買い取り額は1.3兆円も膨らむとの推計が出された。再生エネの買い取り価格を電気料金に転嫁した額は18年度に2.4兆円。さらに膨らみ続けると、個人の負担増に加え、企業の産業競争力も損なうと懸念される。太陽光の買い取り額ばかりが膨らむと他の再生エネの普及も阻みかねない。

こんな状況を是正するため、経産省は未稼働の太陽光対策を加速させることにした。過去の未稼働案件について買い取り価格を認定時より減額することが軸になる。事業者の権利を取り消す厳しい措置を検討すべきだとの声もある。10月中に審議会を開いて、具体的な議論を始める。

これまでも17年施行の改正FIT法で、未稼働案件のうち電力会社との契約がないものを失効させる措置を始めた。それでも電力会社と売電契約を結びながら稼働していない案件は多く、規制を強める必要があると判断した。

経産省幹部によれば、買い取り価格が高値の時に再生エネ事業の権利を手にし、そのまま寝かせておいた業者は外国資本に多いという。第三者に権利を転売する業者もあり、未稼働の多くはこうした「空おさえ」と呼ばれる案件。規制強化の主な対象として想定される。一方、地元自治体や近隣との調整など、太陽光発電を稼働させる意志はあるのに動かせない例も一部にあるとみられる。

そもそもFIT制度に穴を残したのは政府の責任ともいえ、正当な理由もなく権利を取り上げられれば、訴訟が頻発しかねない。未稼働案件の中で、買い取りを減額する対象をどう線引きするのか課題は残る。

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太陽光の自家消費支援

太陽光の自家消費支援  の記事が目についた。設置先企業は自家消費した電力量に応じて費用を京セラに支払う仕組み。契約期間は工場用の高圧電力契約を元にしたものとみられるが、業務用電力契約の場合、その相対的価格が高いこと考えれば、期間は10年以下の契約を設定できるかどうかが普及の要では無いだろうか。基本的にオペレーティングリース方式ということで運用ということになるであろうが、今までは少なかったのでしょうか。普及を期待したい。

2018/7/29付 情報元 日本経済新聞 朝刊

京セラや太陽光発電(総合2面きょうのことば)施工大手のウエストホールディングス(HD)は、企業の自家消費用の太陽光設備導入を支援する事業に乗り出す。固定価格買い取り制度(FIT)で売電する企業が多かったが、買い取り価格下落で自家消費に転換する動きが広がる。中国のパネルメーカーが安値攻勢を強める中、単品売りを脱してサービス収入を得る事業を拡大して生き残りをめざす。

太陽光の発電コストの大部分はパネルの設置など初期費用が占める。パネルの価格下落で発電コストが下がったのに加え、環境などに配慮した企業を評価する「ESG投資」の広がりで、再生可能エネルギーを自家消費して二酸化炭素(CO2)排出量を抑えたい企業が増えている。

京セラは東京センチュリーと組み、太陽光発電システムを初期費用ゼロで導入できるサービスを年内に始める。工場やオフィスなどの屋根に太陽光パネルや架台を設け、発電した電力は設置先企業に供給する。設置先企業は自家消費した電力量に応じて費用を京セラに支払う仕組み。費用は大手電力から買電した場合と同程度になる見込み。

企業は初期費用がかからないのに加え、月々の電気代を増やさず太陽光発電を導入できる。機器の保守は京セラが請け負う。契約は15~20年で、終了後は機器の買い取りや返却、契約延長を選べる。

ウエストHDも8月から、スーパーや工場向けに一定金額で太陽光パネルを貸与するサービスを始める。設置から12~15年たつと、設備は設置先企業に無償譲渡される。

▽…太陽光が当たると発電する太陽光パネルを使った発電方式。石油や石炭などの化石燃料と異なり、発電時に二酸化炭素(CO2)を排出しない。また保守を除けばランニングコストはほぼかからない。風力や地熱発電のように設置場所の選定や保守が難しくないため、導入しやすい再生可能エネルギーとして注目されている。

▽…普及のきっかけとなったのが、政府が一定の価格で再生エネを買い取る制度(FIT)だ。日本が2012年に始めるなど、世界各国で導入され、大規模太陽光発電施設(メガソーラー)に投資が集中した。国際再生可能エネルギー機関(IRENA)の調べでは、17年末の太陽光の発電容量は3億8567万キロワットと、5年で約4倍に増えた。
▽…需要増加を受け、中国の太陽光パネルメーカーが積極的に増産し、パネルの価格は12年から約6割下落。日本では太陽光の発電コストが高圧の電気料金(1キロワット時あたり15円前後)を下回る「グリッドパリティ」になるケースが増えている。FITでの買い取り価格が年々引き下げられた影響もあり、太陽光を自家消費に回す企業が増えている。雨が少なく日差しの強い中東では1キロワット時あたり2セント(2円)前後まで発電コストが下がっている。
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家庭の太陽光に「19年問題」160万世帯分が宙に

2018/5/6 情報元日本経済新聞

家庭の太陽光発電が2019年、試練を迎える。余った電気を高く買ってもらえる10年間の期限が切れ始め、23年までに160万世帯が発電する大量の電力が買い手を失う恐れがある。政府は再生可能エネルギーを国の主力電源に育てる方針だが、家庭が太陽光パネルを維持するインセンティブは減退する。「2019年問題」とも呼ばれるこの課題。ドイツなど再エネ先進国にならい、「窮地」を「商機」に変える試みも広がる。

 「買い取りが終わると聞いて驚いた」。千葉市の男性(75)は99年に200万円以上をかけて太陽光パネルを設置。09年に高額買い取りが始まると発電量の半分を自宅で使い、残りを売電し月1万円前後の収入を得ていた。19年以降は売電収入が大きく減る見通しだ。

政府は09年、家庭の太陽光パネルでつくった電気の余剰分を10年間にわたり一定価格で買い取る制度を始めた。東日本大震災を経て拡張された制度は「固定価格買い取り制度(FIT)」と呼ばれる。

家庭の消費電力は昼は少なく夜に増える。ただ太陽光は昼間しか発電できないため、余った電気を誰かが引き取る必要がある。FITでは再生エネを一気に広げようと、1キロワット時当たり48円という破格の値段で電力会社に買い取りを義務付けた。

一般的に10年前後で設置費用の元が取れる水準で、計200万世帯がパネルを設置。国の電源構成に占める再生エネの比率は震災前の10%から16年度に15%に増すなど一定の成果を収めた。

ただ、買い取り費用は家庭や企業が使う電気代に上乗せして徴収される。この国民負担を抑えるため、高額での買い取りは10年の期間限定という条件が付いていた。期限切れを迎える家庭は19年だけで約53万件、23年までに160万件に達する。一戸一戸の発電能力は微々たるものだが、総計では計約700万キロワットと大型の原子力発電所7基分の電力が宙に浮く恐れがある。

高額での買い取り期限が切れた後はどうなるのか。

まず電力会社の買い取り義務はなくなる。このため余った電気を無償で電力会社に提供せざるを得ない世帯が大量に発生する恐れがある。経済産業省を中心に対策を協議中で、新電力など電力会社が個人と相対で契約を結び電気を買い取る仕組みが有力だ。ただ買い取り価格は「10円以下と従来の5分の1になるだろう」(業界関係者)。

資源に乏しくエネルギー自給率が1割に満たない日本にとって、再生エネルギーの普及は悲願。19年以降の期限切れで買い手を失った個人の不満が広がれば、再生エネ普及の逆風になる。

だが、隘路(あいろ)の中で光明も見え始めた。カギは家計の防衛策だ。

家庭の選択肢は大きく3つある。何もせずに無償で電力会社に電気を渡すか、5分の1程度の価格で売電を続けるか。そして第3の道が、余った電力を蓄電池にため夜間に使ったり近隣で融通したりする「地産地消」の選択肢だ。

これまでは余った電気を高額で電力会社に売ればいいため、蓄電や地域間融通の機運は高まらなかった。だが19年以降、状況はがらりと変わる可能性を秘める。

パナソニックホームズは近隣世帯で電気を融通し合う「仮想発電所」(VPP)の実証に乗り出した。余った電気を地域の電線を通じて近隣世帯に安く「お裾分け」する仕組みで、電力会社から高額な電気を買う量を減らせる。太陽光発電協会の平野敦彦代表理事(ソーラーフロンティア社長)は「家庭が地域の電気生産者になる」と期待する。

京セラは自宅に蓄電池を備える個人が増えるとにらみ、電気を電気自動車(EV)のバッテリーや小型蓄電池にため、夜間に利用できる電力変換システムを開発、年内に発売する。「電気の完全消費を目指す」(幹部)

モデルケースとなるのが、先行するドイツだ。地域エネルギー公社「シュタットベルケ」が地方都市など約1千カ所に拡大。太陽光や風力を使い地元の企業や個人がつくった電気を買い取り、地域に再供給する。その収益で交通機関や生活サービスを運用し、30万人近い雇用も生んだ。

売上高は全体で15兆円に上り、国内の電力シェアは約4割と大手電力会社をしのぐ規模に発達した。地域が電力の消費者であると同時に生産者となり、持続的なエネルギー循環の仕組みを築いた形だ。

再生エネの普及には地域の実情にあった仕組み作りが欠かせない。一戸建てが多く膨大な面積の屋根を抱える日本の国土で、どう地産地消を促すのか。2019年問題を好機とし、再生エネの枠組みを一歩先に進める必要がある。(安田亜紀代、大平祐嗣)

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大東建託、電力小売りから撤退

2017/11/25 日本経済 大東建託が電力小売りから撤退する。グループの新電力会社で、販売電力量シェア第5位の大東エナジーが11月、不採算を理由に契約者に電力会社の切り替えを求める通知を送付し始めた。管理物件に安い電力を供給して契約を増やしてきたが、卸電力市場への依存により市場価格の変動への対策が甘く、採算が合わなくなった。異業種参入の契機となった電力小売り全面自由化から1年半超。企業淘汰の波が大手にも押し寄せてきた。

大東建が建てたアパート

 

大東建託は2014年に大東エナジーを設立した。同社は卸市場など外部から電力の大半を調達して小売りするビジネスモデルを展開してきた。

全国の大東建託グループの賃貸住宅の入居者を対象に、電気代が大手電力より3~5%安く、家賃と電気代をセットで支払えるサービス「いい部屋でんき」を提供。経済産業省によると、今年4月時点の家庭向け新電力販売シェアは3%。東京ガス大阪ガスなどに続く5位だった。

しかし、8月末に同サービスの受け付けを中止した。11月に入ってから、既存の顧客に対して他の電力会社へ契約切り替えを求める通知を出し始めた。18年3月までに全契約者に発送するという。

発送書類には、切り替えられる電力会社の一覧や手続き方法を記載した。発送後、1カ月以内に電力会社を切り替えるよう求めている。

東ガスやJXTGエネルギーなどは自前で大型発電所を持ち、市場価格の変動の影響が少ない。一方、発電事業者と事前に相対契約を結ぶなど、卸市場だけに頼らずに電力の調達先の多様化などリスク分散を徹底する新電力もみられる。大東建託は「市場価格の高騰に加え、賃貸住宅は入退去が激しく電力顧客管理システムの対応が追いつかなかった」と説明。電力需給が逼迫する夏場の価格上昇など、市場価格が大きく変動した際のリスク管理が不十分で採算難に陥ったもようだ。

16年4月に電力小売りが全面自由化されると、既存顧客へのサービス向上を目的にガスや通信、鉄道、不動産など異業種が相次いで小売事業に参入、新電力は約400社にふくれあがった。

しかし、16年4月に企業や自治体向けに小売りしていた日本ロジテック協同組合(東京・中央)が破産した。顧客獲得のために採算を度外視した安値販売で資金繰りが悪化したためだ。

17年10月にはオリックスが、マンション1棟単位で電力を販売する事業を関西電力に175億円で売却した。7万6千件の顧客を抱え、事業自体は黒字だったものの「今後の成長が見込めない」として譲渡を決めた。

電力事業に不慣れな異業種からの参入で、電力の調達や需給の管理がずさんな新電力は多い。電気料金の安さを売りに顧客を獲得した後、資金繰りに行き詰まる新電力が今後も出てくる可能性がささやかれている。

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米国債はバブルか FRB、9月にも資産圧縮

 日銀を筆頭にメガバンク・生保が保有する日本国債にその影響はいかばかりか。
出口戦略の無い日本国債が売り出される時には強烈なインフレが待ち構えている。
円安が株価との連動性を失い、株価急落となれば消費税増税も再延期、いよいよ政財界に経験したことの無いショック症状が訪れる。バブル経済に慣れた果てに迎えるものはリセットしかないのではないか


市場、金利急騰を警戒  2017/8/6 12:02 情報元 日本経済新聞 電子版から

米連邦準備理事会(FRB)が秋にも米国債を含む保有資産の圧縮を始め、2008年のリーマン危機以降、中央銀行が演出してきた低金利政策が転機を迎える。金利反転リスクへの警戒も根強く、「米国債バブル」の言葉も生んだ長期緩和の出口を軟着陸させられるかは、世界経済と金融市場の安定性を左右する。

「我々はバブルを経験している。株ではない。債券だ」。グリーンスパン元FRB議長は最近、米メディアで危機感をあらわにした。「どんな尺度でみても長期金利は低すぎ、持続不能だ」

FRBの保有米国債は2.4兆ドル強(約270兆円)。09年の量的緩和前の5倍に増え、国債発行残高のおよそ16%を占める。この巨額購入のおかげで米長期金利の指標である米10年物国債の利回りは2.2~2.3%台での低空飛行が続く。

債券は価格が上昇すると金利は下がる。大量のマネーが米国債に向かい値段が急騰したことで、今の米長期金利は4~5%で推移していた08年のリーマン危機前のおよそ半分。バブル的な様相とみる声は多い。

潮目はいつ変わってもおかしくない。FRBは9月にも金融危機後の量的緩和で買い込んだ米国債などの保有残高を少しずつ減らす資産圧縮の開始を決める。米ファンドの債券運用担当者は「中銀の支えなしにこの金利水準の維持は無理。金利上昇のマグマはたまっている」という。

邦銀、含み損を懸念

米国債の発行残高は金融危機対策や社会保障費の増大を受け、危機前の6兆ドル台から15兆ドル超(約1650兆円)まで膨張。FRBを除く米国勢が7兆ドル超を保有する最大の投資家だ。金融機関と年金(3兆ドル)、投信とMMF(1.7兆ドル)が目立つ。一方、4割は米国外の投資家が持ち、日本や中国など各国の公的部門が持つ部分は4兆ドル程度。米長期金利が上昇した場合は様々な経路で悪影響が拡散する。

米国債の価値が下がるとドル建て外貨準備が目減りし、マネー流出時などに「自国通貨買い・ドル売り」という通貨防衛策の余地が狭まる。深刻なのは米国外の民間部門。保有米債が急落すると時価会計ルールで損失計上を迫られる場合もあり、経営問題になる。

トランプ政権誕生に伴う16年末の金利上昇でも邦銀は含み損を抱えた。16年9月末に計約6700億円あった3メガの外債の含み益は12月末に約3200億円の含み損に転落し、地方金融機関も軒並み財務が悪化した。

米財務省によると、米国外の民間部門の米国債保有額は1.8兆ドルだ。みずほ総合研究所が各年限の金利が1%上昇した場合の影響を試算したところ、米国債の時価評価額が1200億ドル(13兆円)目減りする結果となった。坂中弥生氏は「世界的な低金利を背景に民間資金が米国債に向かい、金利急騰リスクはたまっている」とみる。

米金利が上がらない根っこには成長期待の低下があるが、それだけでは説明できない。長期金利は理論上、将来の短期金利の見通しに、資金を長く固定するリスクに見合う上乗せ分(期間プレミアム)を足して決まる。ニューヨーク連銀によると3月以降、上乗せ分がマイナスで定着する異常事態になっている。

最近のマイナス幅は0.15~0.25%程度。00年以降の平均はプラス1.1%だ。FRBの大量保有や米国外からの資金流入で、金利が過度に押し下げられている。

もっとも中央銀行が供給した巨額の緩和マネーは有利な運用先を探しさまよう。FRBが米国債の持ち高を減らし金利上昇観測が強まればマネーの米回帰も加速し、金利が急上昇する事態は避けられる可能性も高い。

やむを得ず運用

米国債ほど流動性に厚みがあり、安全な運用先がないのも現実だ。「何を買えばよいのか」。7月、東京都内の証券会社に勤めるエコノミストは地方銀行の運用担当者に泣きつかれた。やむなく薦めたのが米国債とカナダ国債。金融庁は地銀の外資投資へ監視の目を強めるが、長期金利がゼロ近辺にへばりつき、運用担当者も「やむを得ない」と腹をくくる。

米景気が来年にも減速に転じるとの警戒が強まり、FRBも慎重な手綱さばきで臨まざるを得ず、FRBの出口に伴う金利上昇は1%を大きく下回るとの試算もある。

それでも何らかのショックで米金利急上昇のリスクは排除できない。欧州中央銀行(ECB)や英イングランド銀行も金融緩和の出口を探る。

「世界債券市場のクラッシュ」。バンクオブアメリカ・メリルリンチの7月の機関投資家調査で、最も多い3割近くの投資家が「最大のテール・リスク(確率は低い半面、起こると影響が甚大なリスク)」に選び、割合は6月の2割弱から大きく上昇した。

米国債の値段が下がり金利が急騰すれば日本の長期金利上昇などに波及する可能性が高い。リーマン危機時のように金融機関が米国債の損失を埋めるために株式や他の債券を売って含み益を吐き出す悪循環に陥る展開も予想される。米国債バブルが崩れたときの負のインパクトにどう対処するか。国際金融市場が直面する最大の課題だ。

(ニューヨーク=大塚節雄、高見浩輔)

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バイオマス発電、いつか来た道?

バイオマス発電、いつか来た道?
価格下げ前、駆け込み申請 電気代2兆円、家計に上乗せも  2017/7/31付 情報元 日本経済新聞 朝刊

太陽光発電に続く「第2の再生可能エネルギーバブル」が発生しつつある。輸入した木質チップなどを燃やして発電するバイオマス発電に事業者が殺到。年に2兆円が電気代に上乗せされるかもしれないうえに、永続的な再生エネルギーの普及につながるかも不透明だ。太陽光発電で“いつか来た道”に迷い込んでしまうのか。(川手伊織)

再生エネでは発電した電気を電力会社が一定期間、固定の価格で買い取る制度がある。バイオマスの買い取り期間は原則として20年。今は1キロワット時あたり24円で買い取ってくれる。

例えば工場にある石炭を使う自家発電設備に木質チップを混ぜると、電力が買い取り対象になる。初期投資がないため、事業者にとって24円は魅力ある水準とされる。

しかし、間伐材以外の木質チップを燃やす2万キロワット以上の大規模発電の買い取り価格は10月から1キロワット時あたり21円に下がる。同24円の適用を求め3月までに新規の申請が相次いだのだ。「太陽光発電の時と同じだ」。政府関係者は3月を振り返ってため息をつく。

太陽光魅力薄れ

 買い取り価格の引き下げ前に事業者が殺到して計画が膨張する。この構図は太陽光発電をほうふつとさせる。

2012年に政府が買い取り制度を導入した当初、大規模太陽光発電の買い取り価格は同40円と高く、関心を集めた。その後徐々に下げられ、太陽光発電の価格は5年で半値になった。価格下落の前に早めに枠を確保しようと駆け込みが相次ぎ、再生エネで太陽光ばかりが膨張。高額で電気を買い取ってもらえる権利を持ちつつ事業に乗り出さない事業者も増え、4月に合計2800万キロワットの発電計画が失効した。

バイオマスの発電量は2月までの稼働・認定分と合わせ、認定済みの計画がすべて稼働すれば1500万キロワットにのぼる。政府が30年時点に想定する量の2倍以上だ。認定したが未稼働の分の買い取り価格は20年間で計38兆円。年間では2兆円が電気代に上乗せされる。

総務省によると6月の2人以上世帯の電気代は8233円と前年より3.3%上がった。17年度の再生エネの賦課金は月々の電力使用量が260キロワット時の標準家庭で月686円。認可されたバイオマスがすべて稼働すれば約440円上乗せされる。東京電力管内では電気代の15%前後になる。

燃料は輸入頼み

 政府は水力や風力など様々な再生エネの普及を求めているが、事業者は買い取り価格の多寡によって特定の発電方法に集中してしまう。初期投資の負担を抑え、事業を早く黒字にできるよう促す事実上の補助金が、裏目に出ている面もある。

そもそもバイオマスは優良な再生エネかという指摘もある。駆け込みで申請した1100万キロワットのほとんどが燃料を輸入材に頼っているためだ。

パームヤシ殻など安価な原料を使っても、バイオマスは加工・運搬を含めた燃料費が発電コストの7割を占める。資源エネルギー庁の研究会は「バイオマスのコスト削減の方法論の精査が必要」と指摘する。

大手電力会社は既存の石炭火力発電所で、石炭に木質チップをまぜて燃やすバイオマス発電を計画している。だが「買い取り制度が終わり、燃料を石炭に戻したら再生エネの普及につながらない」(自然エネルギー財団の大林ミカ事業局長)との指摘もある。

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太陽光発電の倒産2.2倍に 1~6月、買い取り価格低下で

2017/7/10 22:41 日本経済新聞

太陽光発電事業で関連企業の倒産が急増している。帝国データバンクが10日発表した調査によると、2017年1~6月の倒産件数は前年同期比2.2倍の50件となった。買い取り価格の引き下げが続いており、事業環境の悪化が止まらない。 太陽光発電やシステム販売、施工を手掛ける企業を対象に調査した。負債総額は203億円で前年同期比で3.4%増にとどまったが、前年は1件で負債額が162億円に上った大型倒産が発生したためこの影響を除けば大幅に増加している。

太陽光発電では12年に固定価格買い取り制度(FIT)が導入された。だが年々価格が引き下げられ、17年度は当初の半額近くになり、市場の縮小が続いている。従来は販売や施工業者の倒産が多かったが、発電パネルの製造や周辺機器メーカーにも広がっている。

今年の4月には電力会社と契約していない発電事業者の認定が大量に失効する改正FIT法が施行されたため、倒産のペースが加速している。帝国データバンクは「17年の通年では100件を超える可能性がある」とみている。

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電力自由化-ガス自由化と流れてきたが

まだこんなのがあるようです。これでは否認しても意味はない。

新電力では基本的に10電力の料金から1円マイナスの料金となっており、緊急時の駆けつけサービスに関して、出張費がかかるなどのことも選択要因として考えておかなければならない。競争の原理が機能するするかどうかはこれからだろうが、原発事故の処理も関係して電力・ガスの統合再編も視野に入って来ているかも知れない。

電気料が3割安に…違反「節電変圧器」を関電管内460軒に設置 大阪府警、東京の業者を送検、業務用電力を流用
2017.1.10 産経新聞から

電気契約に違反する変圧器を飲食店に設置し電気代を不当に下げ、関西電力の料金徴収を妨げたとして、大阪府警捜査1課は10日、偽計業務妨害容疑などで東京都渋谷区の電気工事会社「アークインターナショナル」の男性社長(54)ら5人を書類送検した。社長は「客が損をしないよう節電事業をしただけ」と容疑を否認している。

書類送検容疑は昨年5月中旬~翌6月下旬、大阪市天王寺区の飲食店に関電との契約に違反する変圧器を取り付けて電気料金を安くし、関電の料金徴収を妨害したなどとしている。

同課によると、ア社の大阪支社では平成27年7月以降の1年間で、個人経営の飲食店を中心に約460軒と契約。設置工事費が十数万円、レンタル代も月約7千円かかるが、本来は冷蔵庫やエアコンなどに使用が認められている業務用の割安な電力をほかの小型機器にも流用するため、料金が2~3割安くなるという。

関電が昨年6月、ア社を府警に告訴していた。関電によると、契約違反の変圧器を設置すると、免れた分の3倍の違約金を請求される場合がある。

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太陽光発電、宴のあと 未稼働560万世帯分失効

情報元 日本経済新聞 電子版   2017/5/13 2:00

東日本大震災後に急拡大した太陽光発電が岐路に立っている。高額で売電できる権利を保有するだけで、ビジネスを手掛けない事業者を排除する法改正が4月に施行。合計2800万キロワットの発電計画が失効した。一般家庭の約1割、560万世帯の消費電力分に相当する。宴(うたげ)の終わりと、再生可能エネルギー普及の難しさが改めて浮き彫りになった。

太陽光発電会社、エンブルー(東京・千代田)はこのほど群馬県でのメガソーラー(大規模太陽光発電所)建設を断念した。1キロワット時36円という高価格の売電権利を持っていたA社から、土地代合わせて1億円でその権利を買う予定だった。

経緯の詳細は不明だが、実際に家庭へ届ける東京電力ホールディングス系送配電会社と、A社はつくった電気を売る契約を結べなかった。A社の売電権利は失効。山間部にあって造成費用などがかかり36円でないと「事業は無理」(エンブルーの三浦洋之社長)という。

競争の激しい太陽光発電市場では有望スペースは少なくなっている。メガソーラー以外の用途を見いだすのが難しい立地は多く、大量失効発生で土地塩漬けが続出する懸念は拭えない。

再生可能エネの電気を一定期間決まった価格で電力会社に売れる固定価格買い取り制度(FIT)は2012年に始まった。原子力発電所事故を機にクリーンエネに注目が集まり、中でも太陽光発電は設備設置が比較的容易、当初は40円という買い取り価格――。売電収入は株式や債券と比べて高い利回りが期待でき、申請が膨れ上がった。太陽光バブルだ。

まず権利だけ取って建設は後回しというケースも続出、副業として参入した企業も多かった。ドイツの2倍超と世界的にも高水準の価格の売電権利を、はなから転売する目的で申請したケースもあった。

収益性を高めようと発電装置の価格下落をひたすら待つ企業もあった。実際、太陽光パネルは5年で半値近くになり事業環境は悪くないようにみえる。しかし認定案件のうち稼働率は4割。背景の一つに発電以外のコストがかさむ点がある。

例えば九州など太陽光発電の密集地域では電力会社の送電網につなぐ接続工事費が高騰。建設費2億円のメガソーラーに対して「同額となることも」(太陽光発電事業者)。蓄電池設置を義務付ける地域もある。

再生エネの受け入れ側の立場も複雑だった。電力会社にとって天候などに左右される電気は、送電線に負荷がかかったり火力発電所を予備電源として確保したりと、需給調整は簡単でない。14年には九州電力などが受け入れを一時保留したこともあったほどだ。

買い取り費用の一部は国民が電気代と一緒に賦課金として払っている。平均的な家庭で月700円。メガソーラーがどんどん増えると国民負担が増える事情があり、政府が矢面に立つことになりかねない。クリーンエネ普及は各論では様々な思惑が交錯する。

いびつな現実を前に政府はFIT法を改正。買い取り価格は21円となった。経済産業省は約46万件が失効した可能性があると試算する。稼働中の産業用太陽光発電所と同水準の出力分が失われたことは、メガソーラー新設ラッシュが再び来ないことを示し、太陽光パネルなど関連メーカーに暗い影を落とす。

京セラは三重県の組み立て工場を今春休止した。昭和シェル石油子会社のソーラーフロンティアは昨年までフル稼働だった国内の生産を3割減らした。パナソニックも昨年2月以降、大阪府内の主力工場の稼働を停止したことで国内外合わせた工場稼働率は現在半分程度にとどまっている。

競争環境が厳しくなることで再編は不可避だ。保守ノウハウなどスケールメリットが一段と求められ、事業継続を断念するケースも出てくる。ソフトバンクグループのSBエナジー(東京・港)の藤井宏明副社長は「今後は中古案件の買収も積極的に」と宣言する。

政府は再生エネの割合を30年度に22~24%へ高める計画。うち太陽光は7%で、今より4千万キロワットの上乗せが必要になる。日本の電力総需要の約3%に相当する2800万キロワットの失効は決して小さくない。現在のエネ事情は引き続き化石燃料に頼る。工場など自家消費を増やしていかないと再生エネ普及は遠のく。(榊原健)

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東電、家庭用ガス自由化参入の勝算は 

 東電、東ガスより家庭用ガス8%安 電気とセットで 2017/5/9 2:01 日本経済新聞 ということだが、大手電力会社と大手ガス会社の参入に留まるか。


東京電力ホールディングス(HD)は7月に参入する家庭向けの都市ガス料金を、競合する東京ガスに比べて当面は8%安い水準に設定する。事前の申し込みを近く受け付け、家電製品の無償修理サービスも始める。電力やガスの供給と多様なサービスを組み合わせることで、自由化市場での競争力を高める。

家庭向けガス販売は4月に自由化されており、すでに関西電力や中部電力が参入している。関東圏に2000万世帯の顧客を持つ東電がガス販売に参入することで、ガス自由化競争が本格的に始まる。

東電傘下の小売事業会社、東京電力エナジーパートナーがガス販売を手掛ける。東電と電力使用の契約をする世帯が8%値引きの対象となる。このうち5%分は期間限定の値下げとなる。

すでに2016年4月に電力小売りは全面自由化され、東電は東ガスに70万件以上の顧客を奪われている。東電は価格の割安感をアピールすることで巻き返す。

東電は福島第1原子力発電所事故の処理に巨額の資金が必要だ。3月下旬に発表した新たな再建計画の骨子では、家庭向けガス販売など新規事業の売上高を19年度に4500億円とする目標を掲げた。コスト削減や原発再稼働などと合わせて収益力を高める柱の1つと位置づける。

ただ、家庭向けガス販売の初年度の顧客獲得目標は4万件と控えめだ。都市ガス原料である液化天然ガス(LNG)は火力発電燃料として大量に持つが、都市ガスへの加工は東ガスに委託しており供給量が制約されているためだ。事業の本格化は自前の加工設備が完成する18年度以降になる。

電力小売りには400社近くが参入した一方で、ガスはこれまでのところ十数社のみ。3月末までの事前申し込みでガス会社を切り替えた消費者は全体の1%未満にとどまっている。

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