消費税の税額票21年度導入 「みなし課税」残る可能性

今日の日本経済新聞から。 個人事業者にも関心は高いかもしれません。
http://www.nikkei.com/article/DGXLASFS12H5Y_S5A211C1NN1000/

自民、公明両党は12日、消費税の納税額を正確に把握するインボイス(税額票)を軽減税率導入から4年後の2021年4月に採用すると決めた。課税の公平性を高める効果が期待される。一方、中小事業者については17年4月以降、納税額を厳密に計算しなくて済む「みなし課税」の選択肢を用意する。納税すべき消費税が事業者の手元に残る「益税」問題の解消は見通せない。

自公両党は12日にまとめた合意文書に「21年4月にインボイス制度を導入する」と明記した。これまでは時期を明確に示していなかった。インボイスは商品ごとの税額を記す税額票を売り手と買い手が交わすしくみ。税額票に書いてある税額を足し上げるため、納税額を偽りにくい。

ただ年間で数千億円規模とされる益税の解消につながるとは言い切れない。軽減税率の導入から税額票採用までの4年間は益税をむしろ助長するような特例を入れる。

売上高5000万円以下の中小事業者には納税額を正確に計算しなくてもいいみなし課税を認める。現在も売り上げに占める仕入れ額の比率を推計して納税額をはじける簡易課税制度があるが、17年4月からは売り上げに占める軽減対象品目の比率も推計を認める。仕入れと販売の両面でみなし課税を認めることで、納税額の計算が現在よりもさらに不正確になる恐れがある。

軽減対象品目のみなし比率を実態よりも高く設定すれば、受け取った消費税が少ないと見なされ納税額を圧縮できる。10日間の売り上げ実績でみなし比率を決めることにはしたが、年間の売り上げ実績とかけ離れ、益税が膨らむ可能性がある。

現在、消費税の支払いが免除されている売上高1000万円以下の零細事業者は17年4月以降も免税制度がそのまま残る。

東京都内で居酒屋を経営する男性は益税を受けるため、売上高が1000万円を超えないように気をつけているという。「領収書を書いていない伝票をごみ箱に入れれば売上高を操作できる。誰もわからない」と話す。税率が8%から10%に上がるぶん、益税のうまみも増す。こうした売り上げ操作が横行し、免税事業者になろうとする動きが活発になる懸念がある。

21年4月の採用が決まった税額票についても、制度が骨抜きになったとの見方が多い。

「みなし計算はインボイス導入後なるべく早くやめないといけないが、すぐにそういう状況にならないのではないか」。自民党税制調査会の宮沢洋一会長は今月3日の記者会見でこう述べた。

その際に両党の税制調査会が示した工程表では、税額票の導入後もみなし課税が存続することを示す「点線」が伸びている。事業者に配慮し、打ち切りを決断できなかった。

税額票の採用にあわせて免税事業者を守るしくみも入れる。免税事業者は税額票を発行できず、免税事業者から物品を買うと買った相手は税額控除を受けられない。このため欧州などでは免税事業者が取引から排除されている。両党は零細事業者に配慮し、税額票の導入から6年間は免税事業者から仕入れた場合でも税額控除を受けられる特例を設けることにした。

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