真の QUALITY OF LIFE 

真の QUALITY OF LIFE にむかって

★不景気を嘆くなかれ
 いよいよ不景気が深刻になってくると、調整インフレというインフレ期待感が台頭す
る。すなわち、資産の価格上昇によって国民の『富裕感』が高まれば、金融の信用回復につ
ながり景気回復に結びつくという考えである。  だがこれは、バブル経済の考え方そのもの
にほかならない。10年間続いた「年間100兆円の資産デフレ」が、なぜ、生じているの
かについての正しい理解がなければ、この考え方を戒めることはできない。
 また、こうもいう人がある。
 「資本主義経済において経済成長を持続させる為には、緩やかな資産インフレは必要不可
欠ではないか。資産価格が永久に下落するならば、誰も『所有』に価値を置かなくなる。憲法
が個人の所有権を認めても、その権利を行使する者がいなくなる。企業経営者は、融資を受け
ての事業拡大を躊躇してしまう(評価損の増大リスクを恐れて)。果たして、それで良いも
のであろうか。」
 この考え方は、一面的には正しい。だが、これを正解とすれば、経済は経済変動を伴わ
ない常に右肩上がりの経済となり、破滅的な膨張主義を認めるだけであって経済学など必
要がなくなる。この人たちにとって、資産とは、住宅・土地そのものを指しているのであ
ろうが、いささか旧聞に属する。
  日本経済のありようを考える場合、たしかに資産の代表格である「土地」が果たしてき
た信用力を抜きに考えることはできない。つまり、土地資本主義という単純で明快な発想
で右肩上がりの内は経済がうまく機能したのである。だが、人が本来の生活をするための
住宅地についても、単純な市場経済に任せきりにしたため、土地バブルが加速し過ぎ、制
御不能な事態に陥ったのである。その結果が銀行の不良債権の山だ。世の中、規制はあま
た存在するものの、住宅土地に関する価格規制を含めた規制は殆どない。したがって、住
民がこぞって反対している住宅地に、地上げによって得た狭小な土地に高層マンションを
建て、70-80平米の住環境を数千万円で売るなどということがまだ繰り返されてい
る。建築確認申請と許可は経ている、建坪率、容積率も合法的であるとのことで、事業者
は建築を強行しているというような構図が未だ東京のあちこちで起きている。毎年発表さ
れる路線価なるものも、価格の下支え効果に利用されている節がある。賢い消費者に徹す
ることができるかどうかで住宅地の値段は更に下がり続ける。なぜ、プロの不動産屋から
住宅地を買う必要があるか、なぜ、マンションの、土地の値下がりを嘆くのか。とどのつ
まり、そこには不労所得を認めるという発想が根底にあるからだ。こういった考えが続く
とすれば、インターネットを通じた、業者抜きの地域に密着したコミュニティー開発型の
異端の土地取引システムが今後は出て来てもおかしくはない。マクドナルドのハンバーガ
ーが本家のアメリカより安くなる時代だ。すべての物価は、グローバルプライスシフトに
向かっていく傾向をはらんでいるといえる。
 土地業者は典型的な守旧派発想の業種と思うが、生き残りのためにあの手この手の妙案
を考え出している。ちなみに、2000年11月30日からは不動産投資信託が設定可能
になっているが、2001年の春には証券取引所に上場される予定とされた不動産投信は
どうなったか。今年の秋頃から販売を開始するそうである。株式投信と違い、組み入れ資
産の土地自体が売却される訳ではないので『価格の安定性は高い』そうだが、こういった
ものは、土地の所有権ではなく使用権を重視していくという考え方、すなわち、定期借地
権(それも50年間以上の長いもの)が所有権に代わって一般化しない限り無理がある。
制度を作りはしたが、不動産投信が置かれている基礎的枠組みを無視したやり方だと成功
しない。むしろ、国がそういった矛盾を率先して明らかにしない限り、ババ抜きに会う
人、売り逃げに走る人の構図は変わらない。住宅ローン減税などという制度は、本体の土
地問題が解決の方向を向いていない限り、その場しのぎの策であって、踊らされる国民は
いい迷惑である。住宅地以外の商業地には収益還元法による所有権方式価格、住宅地につ
いては定期借地権方式による50年-100年の定借価格によるマーケットの醸成をはか
るなど政策を行うことが本筋で、そのようなレールが敷かれたときに新たな成長が始まる
のだ。土地資本主義からの脱却過程では、土地を持っている者のなかで住宅地の資産デフ
レが引き起こされる場合があるが、これは、悪いことばかりではない。なぜなら、資産デ
フレとなれば、固定資産税の低下、贈与税の減免、免除といったことが容易に想定され、
むしろ暮らしやすい世の中になるはずだ。若者の少子化も改善され、若者に希望を与える
ことになる。問題は、社会主義国家化した大きな政府を小さな政府に変えることが前提と
なる。このため、余程の政治的リーダーシップが必要になる。

★中年借金族を再生させる法
 1990年代、米国株式の時価総額は、毎年約100兆円の規模で増大し、米国の消費と投
資を牽引した。その一方、日本の不動産価値は、1990年代に1,000兆円を超える大暴
落(約2,200兆円から約1,200兆円へ)を見た(正常の状態にほぼ戻って来つつ
あると考える)。一年に約100兆円の規模で資産価値が減少した事になる。
 しかし、1990年代の10年間に国民金融資産は979兆円(1990年度)から2
000年度の1,385兆円へと41%ほど増加している(年3-4%位の貯金をこの1
0年間、国民はしっかりやってきたという計算になる)。国民金融資産をみる限り決して
資産デフレに陥っているわけではない。要するに不動産業界を中心とした産業界という法
人がバブルに踊り、バブルに負けたということだ。
 国民金融資産は低下する株価の影響を受けて、1999年度末の1,389兆円(現
金・預金752兆円(53.4%)、株式132兆円(9.4%)その他)からは約5兆円減少してい
る。
 現状、悲しいことは国民金融資産1385兆円のうち、755兆円が銀行預金という運
用能力のない部門へ向かっていることであり、株式などの民間投資に回っている率は89
兆円で6%に過ぎない。昔から資産3分割法というのがあるが、現金預金に半分以上、極
端に偏る今の状況はきわめて異常だ。
 ちなみに2000年度末の日米の金融資産構成の違いでもっとも顕著な点は、日/米で
現金預金で54%/11%、債権で4%/9%、投信で2%/12%、株式で6%/3
5%と、構造的に大きな違いがある。
 一流大学を出た、官僚上がりで英語ができるというふれこみで、決して頭が良いわけで
もないが、首相も経験した、その後小渕、森内閣で大蔵大臣もやったというあの好々爺風
の御仁が、臆することもなく日本経済の「破局」という言葉を使ったように、財政の専門
家も国全体の借金の総額を1000兆円を超えると見ている。755兆円の預金は、ある
意味で行き場を失った国民の死に金であり、銀行に預けているから安心だ、郵便局に預け
ているから安心だと思っている内に、財投ほかの資金に使われて食い散らかされている。
そんな構図が見えてくる。郵政事業民営化も裏を返せば、ペイオフ実施に合わせて民営化
しなければ、民業の圧迫、一層の財政悪化の繰り返しとなるため、苦肉の策という以外の
何ものでもない。田中大臣の『100兆円で株を上げてオダブツ』発言は、10年前から
の行革の失敗を集大成した、小渕政権に至る歴代自民党政権による経済政策の誤りを簡単
明瞭に説明している。国家財政を破局に導く程の膨大な借金を積み上げて、一時的に日経
平均を2万円に上げることはやったが、文字通り日本経済もオダブツになりかかっている
わけだ。
 一方、国民金融資産の2/3以上の900兆円は、65歳以上が保有していると考えられ
ており、パラサイトシングルが増えているという問題と無関係ともいえない。また、国民金
融負債は約390兆円あるが大半が30台からの中年層の住宅ローンである。日本の消費が
低迷する構造的要因の一つが、資産が高齢者に集中し、借金が中年層に集中するという状況
にある。高齢者はバブルの影響を受けず、中年者は土地、住宅・マンションというバブルに
踊ったためである。
 デフレが進行し失業者が増えると、この中年層の重荷になっている住宅ローンは破綻
し、競売市場の広がりという、従来あまり表に出なかった市場が栄えてくる。市場経済と
はそういうものだ。失業を契機に、住宅ローンまで国がセーフティーネットを張ることは
考えられないので、あり余っている公団住宅の売れ残りを住宅ローン破綻者に自分の住宅
を安くても売らせ(競売で半分以下の値段になり、しかもプロの土地住宅業者にもてあそ
ばれるよりはましであろう)、代わりに、時限的に(10年間とかの長期)公営賃貸住宅
として安く提供するなどして、新しい労働市場経済に変えていく必要がある。
 個人の側からいえば、従来、労働者の頭の中は終身雇用であったが、今は180度変わ
ってしまっている。およそ、これからの時代では、10年間もある会社に継続的に勤める
ことができたとした場合、「奇跡的でしたね」といわれる時代になったということではな
いかと思う。
 そんな状況の中で、繰り返しになるが不動産関連諸税、贈与税の制度的見直し等の、要
するに国がいかに国民から税金を取らない仕組みを作り上げるかが経済再生の要諦であ
る。いつまでも、働きのない公務員や国会議員が税金で食べさせてもらえる時代は続けら
れない。そういった意味では、自己防衛を国民は真剣に考え、行財政改革をしっかりと監
視し、誰が本当に改革者なのかを見極めていく必要がある。加えて、時間はかかろうが、
我が国における議員内閣制の制度疲労を根本的に補うものとして、21世紀の早い段階で
大統領制=憲法改正を計る必要がある。自民党を変えるという小泉さんの意欲には敬意を
表するものの、今のままのシステムでは無理がある。今のシステムでやるというのである
なら、徹底したポピュリズムで守旧派を引きずり回すしかあるまい。つい最近起きた、米
軍沖縄基地の米兵問題で米国との地位協定の見直しを求めないというスタンスは、あまり
に親米、自民党的な発想であり、改革、改革といっている割には、腰が折れている印象を
国民に与えたのではなかろうか。そういった意味で、大統領に強大な権力を持たせ、国の
進路を明確にし、長期にわたって責任ある行政を行っていくためにも、大統領制は避けて
通れない道であると考える。戦後50年以上が経過し、議員内閣制の下での政治は、一言
でいって無責任政治の温床ということだ。弱体化した野党に2大政党に基づく英国風の議
員内閣制などは到底、想像できない。それとも、小泉マジックがこの国を変えてくれるだ
ろうか。参議院議員選挙後は、むしろ政局の流れが変わるように思う。

備考:
国民金融資産は日銀が統計データとして捉えているデータで、インターネット上で入手で
きる。現金預金、株式、証券、保険年金準備金、その他投資の合計であり、土地・住宅の
評価額を含まない。2000年度末で、それぞれ順に55%,6%,7%,28%、3%
となっている。同様に国民金融負債は日銀が統計データとして捉えているデータで、イン
ターネット上で入手でき、民間と公的金融機関の貸出額であり、2000年度末で390
兆円ある。その内、住宅ローンが47%を占めている。

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構造改革で社会保険庁はどうする

構造改革で社会保険庁はどうする

★  国民年金の保険料未納者が265万人に
 2001年5月12日に発表された社会保険庁の「99年国民年金被保険者実態調査」
によると、自営業者や学生が加入する国民年金の保険料未納者が、99年3月末時点で2
65万人に上っている。96年実施の前回調査に比べ92万人増え、3人に1人といわれ
てきた国民年金の「空洞化」がさらに進行していることが明らかになった。調査結果を重
く見た厚生労働省は未納者に制度への理解を求めるための対策に乗り出すことにしたそう
だ。いつものパターンだ。具体的にどうしたという話は半月経っても聞こえてこない。
 調査対象者は自営業者等のほかパートタイマーも含む1,652万人で、加入者全体か
ら住所不明者は除いている。対象者は96年調査より86万人増えた。未納者は99年3
月から過去2年間、保険料を1度も納付していない人と定義している。
 調査で判明した未納者265万人と、未加入者99万人、免除者400万人を加えると
計764万人。こうした保険料を負担していない人が、国民年金の全対象者2110万人
に占める割合を「空洞化率」とすれば、36.2%となる。96年調査時は32.4%だ
った。何かこの数値を見ていると、NHKの視聴料とパターンが似ている。景気が悪いか
らといえばそれまでだが、本来、徴収と給付を伴う事業としては破綻をしているのである
から、会社更生法の適用を行って(この場合民間ではないのでできないが)、再建をする
などの策をとるなら意味があろうが、厚生労働省の無責任な体制が問題を年々、悪化させ
てきている。
★ 未納者増加と未納の理由
 未納者増加の理由について社会保険庁は、
(1)未届けの人に年金手帳を送って加入者を増やしたため(そのようなやり方はまさに
社会主義的方式で、自由主義国家にはそぐわない)未加入者は減ったが、保険料納付には
結びつかなかったことが大きい、
(2)リストラなど近年の不況の影響があるとしている。
 未加入者は96年調査時の158万人から、今回調査時点では99万人に減っている
が、その結果、収入が上がったかというと、上がってはいない。つまりは、お役人の自己
満足だけで、ペーパー上の加入者を増やし、多くの経費を使い、国税を食い散らかし続け
ているに等しい。
 未納の理由は「保険料が高く、経済的に支払うのが困難」が62.4%と最も多く、未
納者のうち52.1%が民間の生命保険、12.7%が個人年金に加入しており、両方に
加入している人も11%いる。同庁は年金の空洞化は負担能力よりも、加入者の意識の問
題としている。だとすれば、意識のずれた商品を売らなければよいと思うが、そこが利権
やらなにやらが絡んでやめられないのだろう。国民年金制度は徴収業務の手間+給付VS
収入で、すでに採算がとれていないのであるから廃止すべきである。自己責任の原則で今
後の国家運営を考えたとき、国民皆保険という考え方は既に古い化石的社会主義国家的発
想に属するといってよい。
 「国民年金をあてにしていない」人は全体では12.2%だそうだが、25~29歳、
30~34歳ではそれぞれ17%台に上るとのこと。また大都市に住む20~29歳では
30.4%が保険料を納めていないということだ。だから若者が悪いのではない。そのよ
うなシステムを維持しようとする厚生労働省が悪いのである。
 構造改革を進めるということは、理屈に合わない古いシステムを壊し新しいものを創る
ということだ。社会保険事務所ののんびり仕事を日頃見るにつけ、個人的には厚生年金
も、国民年金も余計なことをしてくれるなという気持ちの方が強い。つまり、社会保険庁
解体である。個人であるいは会社単位で民間の保険会社の保険に入った方がより合理的な
のである。この国では、国の事業が民業を圧迫しているといわれ続けて久しいが、社会主
義国家の発想を根本から官僚の頭の中から取り除くことができないかぎり、いつまで経っ
ても経済不合理性は取り除けない。行政改革もできない。とにかく一つでも二つでも役所
を解体するくらいのエネルギーがないと、この国の再生はまことに危うい。そろそろ、国
会議員の歳費・人員のカットを隗より始めよと言いたい。

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核家族はどこへ行く

核家族はどこへ行く

★アメリカでは
May15,2001のニューヨークタイムスの記事によると、米国で、初めて核家族
の全世帯に占める比率が25%を切ったとある。データは2000年の国勢調査の結果に
基づいている。
核家族(結婚している世帯で18歳以下の子供を持っている世帯)は、1960年には
45%であった。また、1990年には全世帯の中で25.6%あったが、2000年に
は23.5%に低下をした。この半世紀の間に、アメリカにおいても家族の仕組みは大き
く変化をしていることがわかる。
こういった傾向は、多くの男女の晩婚化と子供を産むのを遅らせていること、子供が巣
立った後の夫婦の寿命が伸びていること、そして独身親(シングルマザー、シングルファ
ーザー)家族が結婚するカップルと比べて急速に増えてきていることが大きいと指摘され
ている。
実際、典型的なシングルマザーの世帯は結婚世帯に比べて経済的には恵まれないもの
の、1990年代の10年間には結婚した世帯家族と比べて約5倍もの伸長率を示してい
る。
人口統計学者の驚愕は、正式に結婚していないカップルが1990年代初頭の320万人
から550万人まで増加しており、しかも子供までいる「世帯」まであることにある。
保守的な考えを持った多くの人たちは、シングル親の増加を根深い社会問題のトラブル
指数と指摘し始めている。また専門家から見ると、核家族世帯が低減化してきている根本
の原因は、離婚の日常化と結婚に拘束されないシングル親の増加傾向によるという。特筆
すべきは、全世帯の26%が独身世帯で核家族の23.5%を抜いているという点だ。核
家族の総数は1990年代の10年間に6%の増加をしたが、シングルマザーの家庭は全
世帯の7%をも占めることになり、1990年代の10年間に25%も増加している。1
990年と1998年の比較で云うと、男性の女性に対する比率は女性100に対し、9
5.1から96.3に若干増えている。また、女性の平均寿命は1990年の78.8歳
から79.5歳に伸びている。男性は、1990年の71.8歳から73.8歳に伸びて
いる。

★日本では
65歳以上の高齢者を中心にした「高齢者世帯」が2000年6月時点で626万世帯
と、初めて600万世帯を超えたことが17日、厚生労働省の国民生活基礎調査でわかっ
た。この25年間で6倍近くに増え、高齢者のいる世帯は3分の1を超えた。
一方、18歳未満の子どもがいる世帯(要するに核家族)は25年間でほぼ半減(28.
7%)で、急速に進む少子高齢化の実態が明らかになった。アメリカが40年で半分にな
っているのと比べると猛烈なスピードである。土地資本主義と資本効率優先のもとに高度
経済成長以降に確たる策を無しに国家の崩壊過程をひた走りに走る側面が見てとれる。
若者は、家族を捨て親を敬わず、目的意識も上昇志向もなしにただ流されていく、そんな
積み重ねが今日の、あらゆる社会、経済、教育、財政、、、、の問題を引き起こしてい
る。
世帯調査は2000年6月に実施、全国4万8600世帯から回答を得た。所得につい
ては2000年7月、その中の8000世帯から回答を得て推計した。全国の世帯総数は
4554万5000世帯で、平均世帯人員は2.76人だった。
65歳以上の高齢者のみと、これに18歳未満の未婚の子どもが同居している場合を合
わせた「高齢者世帯」は前年より47万世帯増え、全体の13.7%にあたる。75年と
比べると全世帯が1.39倍に増えたのに対し、高齢者世帯は5.75倍とその急増ぶり
が目立つ。
子どものいる世帯は過去最低の28.7%で、前年に続き3割を下回った。高齢者がい
る世帯は34.4%で3分の1を超えた。97年に逆転して以来、この差は開き続けてい
る。夫婦のみの世帯は20.7%と80年に比べ8%近く増えたのに対し、夫婦と未婚の
子のみの世帯は32.8%と、10%以上減少している。
世帯主の年齢別に1人あたりの可処分所得を比べると、65歳以上は183万4000
円で、30~39歳(154万8000円)、40~49歳(165万5000円)より
多い。高齢者世帯の過半数が、生活に「ゆとりがある」「普通」と回答した。65歳以上
の夫婦で、夫婦とも公的年金・恩給を受給している割合は90%以上だった。
これとは反対に子どもがいる世帯は「大変苦しい」「やや苦しい」が合わせて56.
1%と半数を超えた。調査を始めた89年の39.9%からこの割合は上昇傾向にある。

同じ少子高齢化と独身世帯の増加傾向の中で、片や景気よし、片や長期デフレと明暗を分
けた形であるが、いまこそ、有効な住宅土地政策を布き、核家族には一家で2台は車のお
ける土地を確保する、そのことによって、産業経済の成長力を高める乗数効果を目指すく
らいの大がかりなことを考えないと、小手先の経済論や、不良債権の早期償却論程度のも
のでは何にもならない。なると思えば、それは幻想に過ぎないと考えるからである。今後
の10年間の日本経済は、たぶん相当に、疲弊をするというのがさめた見方で正しいと考
えられる。その間に構造改革も進み、土地問題もほぼ解決し、新しい日本経済が始まって
いるということになるであろう。

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若者よ、景気に踊らされることなかれ

若者よ、景気に踊らされることなかれ

 総務庁の1999年全国消費実態調査によると、世帯主が30歳代の世帯で、1世帯当
たりの負債が貯蓄を上回っていることがわかった。30歳代で負債超過となったのは19
59年の調査開始以来初めてで、負債内訳の殆どを占めるのが住宅ローンとか。
 調査によると、1世帯当たりの貯蓄額は前回調査(1994年)に比べて8.9%増の
1,485万円で、負債額は16.6%増の567万円。差し引き純資産で918万円と
いうことだ。単純に3,200万世帯と掛け合わせると、国民金融資産は300兆円とい
うことで、ひと頃話題となった国民金融資産1,200兆円に遙かに及ばない。
 世帯主の年齢層別にみると、貯蓄額は年齢が高くなるほど多く、70歳以上が2,26
8万円で最多となり、30歳未満が372万円で最小だった。一方、負債額は40歳代が
最多の844万9000円。最も少なかったのは70歳以上の173万円だった。このう
ち30歳代では貯蓄が718万円にとどまる一方、負債は780万円に達した。要するに
若さという赤字国債を発行しての借金体質だが、地価の下落で資産価値が保証されない
中、超低金利で借りやすいことから、住宅を初めて購入する1次取得者層が無理を承知で
買い求めていることが背景にある。1999年位の段階では、いづれ景気もよくなるだろ
うし、住宅減税もあるしといった見通しで住宅購入に向かった層が今後、産業構造の変化
の中で右肩上がりでないまでも安定的に所得増を維持できるかが問題となる。
 国家のお金の面で血流を担う金融においても、大きな変革が始まっている。昔のような
護送船団方式の金融は、太平洋戦争に負けた時と同じように、身の程を知らされるときを
迎えている。金融4大グループとあさひ、大和などの大手銀行16行の平成13年3月期
決算で、不良債権処理額が計4兆円を上回り、昨年11月の中間決算時の予想より1.5
倍以上に膨らんでいるようだ。16行は昨年3月期で総額4.5兆円を処理したが、2年
連続でほぼ同水準の処理となる。
 本業の業務純益は16行で総額3兆円にとどまるから、不良債権処理額を約1兆円下回
る。この結果、三和、東海、東洋信託のUFJグループとあさひ、大和、東京三菱の6行
が赤字決算への業績修正を発表している。
 合併で三井住友銀行となった旧住友は、最終黒字を確保しつつ、前回予想比57%増の
5千5百億円を処理した。旧さくらも、同20%増の2千6百億円程度を処理した。みず
ほフィナンシャルグループの第一勧業、富士、日本興業の3行は、当初予想の計4千3百
億円から6千5百億円程度に処理額を増やす方向だ。
 一方、UFJグループは三行で計1兆1,280億円の不良債権を処理し、計2,23
0億円の最終赤字を計上するほか、三菱東京フィナンシャル・グループも東京三菱など3
行で計7,410億円の処理を決めている。
 また、2千億円の不良債権処理額を3千百億円に上積みし、赤字決算に陥るあさひは海
外業務から撤退、抜本リストラを実施する計画だ。
 巨額処理にもかかわらず、銀行の不良債権残高は依然として増加傾向を示しており、
「最終処理」を進める過程で大きな膿も出ようし、経済の回復も遅れよう。
 ただ、押さえておかなければいけないことは、デフレ経済の中でいかに早く、我々のも
のの考え方を拡大から調和をベースとした構造改革をはかっていくかと云う点にある。そ
の中で、教育論、家庭、家、土地、住宅、税、福祉等の基本的人権に関わる問題を避けず
に考えていくということが必要である。政治は、そういった思考の上に成り立つものであ
って、地価が安定してくれないと景気も上がらないなどと云う、過去思考は何の生産性を
も涵養することがない。少なくとも、このデフレ傾向は相当の長期にわたって、日本経済
を支配するという見方が大切であり、それをいかに利用し、あなたのそして国の国際競争
力を高めるかということを考えることである。

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自民党総裁選

自民党総裁選

 自民党総裁選で小泉純一郎氏が新総裁に選ばれることが確実な情勢となった。
4月22日16時40分現在の自民党総裁選の地方票(予備選)の獲得票は、麻生氏0 
橋本氏7 亀井氏3 小泉氏50ということで、小泉総裁が予備選で圧勝の勢いである。
この流れからいって勝負あったということだ。
 小泉氏は、党三役人事と新内閣の組閣で、橋本、江藤・亀井両派や公明党が唱える「挙
党態勢、総主流派体制」論にどう対応するだろうか。
 小泉氏が山崎拓、加藤紘一両氏らとの「YKK」に偏らず、「総主流派体制」を作るこ
とになるのかがポイントとなる。
 それぞれの候補陣営の話を総合すると、主流派体制への舞台裏でのけん制が進んできて
いるようだ。具体的発言をピックアップしてみるとよく解る。
 麻生太郎経済財政担当相は22日午前、自民党総裁選の予備選で優勢な小泉純一郎元厚
相との連携について「(政策面は)いくつかの点で協調できる。薩摩は鉄砲が足りない、
長州はコメが足りないという時に、坂本竜馬が間に入って(手を結んだ)というのが歴史
だ」と都内で記者団に述べ、小泉氏が新総裁に選出された場合は協力することを早くも示
唆し始めた。野中広務前幹事長ら橋本派の有力幹部は「地方党員の声を尊重すべきだ」と
の立場から、24日の両院議員総会での1回目の投票で小泉氏が1位になった場合、橋本
氏は決選投票を辞退すべきだとの考えも伝えられてきている。亀井静香氏を推す江藤・亀
井派も両院議員総会での投票前に辞退することも検討すべきだとの声が出ており、小泉氏
支持に舵を切ることになる方向だ。
 自民党は今回の総裁選で、夏の参院選に向けた態勢づくりを目指してきた。そのため、
主流各派も「小泉新総裁」を前提にした挙党態勢づくりに焦点を合わせようというのは当
然の動きである。連立を組む公明党も、総裁選後の総主流派体制構築を3党連立堅持の条
件とする発言を神崎代表あたりが盛んに強調してきている。保守党、堀内派はここへ来て
全く音無である。
 もともと、小泉氏は「3役一新」をはじめ、派閥にとらわれた旧体制の打破を掲げてお
り、与党内調整型の内閣となった場合、単純に国民の信を得られるかどうか微妙なところ
である。
 小泉体制を確立するには、加藤、山崎派の論功行賞を入れた上、田中氏ほか、派閥を横
断した斬新なものとなるのではないか。幹事長に誰を起用するかが見物である。小泉氏は
「当面はゼロ成長やマイナスかもしれないが、必要な政策はやる」ということから判断し
て、収まりのいいところで、橋本派堀内派からは起用しないであろうから、懐の深い人事
をするとしたら亀井静香氏ということになる。財務大臣は長老が外れて柳沢金融担当大臣
が入れ替わり、外務大臣に麻生太郎氏が、行革担当大臣に若手起用など、新鮮さと斬新さ
を打ち出すことができれば、国民からの支持も上がるのではないであろうか。彼は首相公
選論者であるから、国会内に憲法改正のチーム作りを進めるのではないかと思うが、これ
には長年からの盟友である加藤、山崎派、中でも山崎氏の役割が大きくなってくるように
思える。行革推進、行政のスリム化、健全予算への見直し、省庁のリストラ、国会議員定
数の見直しもしくは議員歳費のカットなど、やるべきことは山積している。
 ただし、行政改革は、目に見える形で数字で公約して、国民の前に示すことができなけ
れば、自民党は、秋には今度こそ解体の路線を歩むことになりかねないものと思う。

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新年度の景気と今後の10年

新年度の景気と今後の10年

★2001年2月以来、日本経済は景気後退期に突入した
  失われた10年といわれる昨今の経済であるが、ついに2001年3月期末は株価1
3,000円割れで終わった。株価水準は2年半前の水準に逆戻りだ。一方、バブルの崩
壊後約10年にわたって経済を牽引してきたハイテク株の動向をみると、2000年の夏
を境に下降に転じている。そして今なお、その傾向が続いている。 
2000年8月以来2001年3月までの諸指標を簡単に整理すると、
  卸売物価は:継続的安定的に下降トレンドにある  ↓
  鉱工業生産指数は:継続的安定的に下降トレンドにある ↓
  在庫指数は:継続的安定的に上位水準にある ↑
  失業率は:高位安定の5%に近い高水準にある
 有効求人倍率は:0.6という低水準である
というわけで、4月に入ってからの倒産件数は、文字通り急増をしている(3月の負債額
50億円以上の企業倒産は29件であったが、4月はすでに6日現在11件を数えてい
る。備考を参照)
  日経平均株価はどうかというと、2000年4月14日の20,434円から2001
年3月16日の12,232円までほぼ一直線に下がり続けた。4月6日現在13,38
3円の若干の持ち直し状況にはある。企業の決算数値の基になる3月末の株価は日経平均
でかろうじて約13,000円で取引を終えている。
 このような状況の中で、超低金利で行き場を失ったマネーが、株式取引市場に流れ込ん
できており、この不景気に連日10億株代の取引が続いている。だが、マーケット心理は
きわめて懐疑的であり、この1年間で損をした一般投資家が今後とも証券市場に戻ってく
るのかは何ともいえない状況にあるように思える。ただ、週明けにも、緊急経済対策とい
うことになっているので、ここで、配当への2重課税の問題撤廃とか、そもそもキャピタ
ルゲインへの課税廃止とか、「抜本的なもの」が一つでもでてこないと、市場は反応しな
いのではないか。
 短期的に見て株価の動向を左右するのは、ハイテク株ということになろうが、この種類
の企業群が力強い牽引力を発揮するかというと、現状の在庫水準からもいってかなり無理
なことだ。
 ハイテク株が長期的にどのようなサイクルで推移してきたかというと、よく言われるこ
とだが、1960年代から見て3つの大きな波動があった。
 最初は1960年台後半から70年のいわゆる3C(車、カラーTV、クーラー)ブー
ムであり、国民に多くの満足感をもたらした。それが1980年代になると小粒化した軽
薄短小という言葉を生み出した家電VTR、CDラジカセ等のブーム。そして今回が19
90年に始まったPC、ITブームだ。このPC、ITブームは確実に一つの踊り場的ス
テージにある。
 80,90年代にはに土地投機を伴った住宅マンションブームというのがあったが、こ
れは本物のブームではない。現状では依然、住宅土地に対する需要は高いものの、土地政
策の失敗とバブル政策(1985年以来の円高誘導策による)の失敗から本質的な手を打
てていないからである。次の自民党政権に取って代われる政権があるとすれば、3Cブー
ムに火をつけるのと同様なプロセスと効果があるものとして、土地住宅の問題がある。こ
こに目をそらしたままで、景気浮揚を図ることなどできない。だが、間違っても、この政
策の推進の中で、地価の下落こそ容認すれども、地価の安定という名目でミニバブルブー
ムなどを招来することがあってはならない。
 いずれにせよ、安定政権、もしくは国民による政権交代劇があり、明確な道筋がつけら
れない限り、今回の景気後退期間は循環論的に考えても2,3年は最低でも続くのではな
いか。国民の意識改革を求められている時代でもある。興味のある方は  
http://www.shushokosen.org/ をのぞいてみるのもよい。首相公選の会としてはきわめ
てまともな組織だ。筆者自身も3月29日の3,000人実行委員会に出席して確認をし
たことであるが、この会は政党的なものではなく、ボランティア組織と考えて、ほぼ間違
いがない。

★商いに義の求められる時代に
  1990年代が失われた10年であるなら、過去の商慣習、商売の仕組みを変えるとい
う意味で「過去を失う10年」にすることができれば、日本経済の再生は可能だ。そのた
めの第一歩が不良債権の処理という金銭面の措置ということになるのはよく解る。だが不
良債権が120兆円とか68兆円とかいとも簡単に、金銭的に表現されてしまうとお金の
処理の問題だけに聞こえるが、それだけに終わったのでは何の意味もない。問題は、銀行
ということでいえばその処理の後に、どういう金融機関となっているのかを明確に示し行
動する義務があるということだ。ペイオフにしても1年延期で来年4月実施であるが、そ
ういうことをよく理解させるプログラムをしっかり作ることと、預金者側は自己責任とい
うことをよく理解することが大切である。たぶん、ペイオフになると定期「預金」とかを
する人はだいぶ減って、株式、債権の購入といった面にお金がシフトを始めるようになる
のではないかと思う。そのようなときに、郵便貯金が残っていたとすると、株式、債権を
嫌う人がかなりのウェートで郵便局にお金をシフトするかもしれない。そうだとすれば、
郵政事業民営化論というのがあるが、絶対に民営化しないとおかしな金融システムという
ことになってしまう。郵便貯金は国債同様、ペイオフ対象とはなり得ないからだ。そうい
った意味で、来年もまたペイオフ延期などということも十分、可能性としてあり得る。
 ことほど左様に商いに義を求められるというのは、そういう意味できわめて大切なこと
である。これは、いろいろな意味を持っている。
 例を挙げればきりがないが、1個1万円とか5千円のDocomoの携帯電話用電池な
どというのは、「ボッタクリ的」義なしの商売だ。
 不動産会社がバブルの時と同じで、往復6%の手数料を取っているというの、義なしの
商売だ。国会議員が10年間に9人も10もの首相を粗製乱造しているのは、義なしの政
治家だ。いずれ国民投票で、首相を選ぶようになる。
 大企業が、60歳定年で退職金を用意するのは、義なしの企業だ。国内企業の93%は
中小企業で退職金規程などもっていない。退職金を配るなら、その分、雇用を創造せよ、
定年を延長せよ。人類の飽くなき科学信奉の行き着く先は、荒唐無稽と笑わずに聞いてほ
しい。人生90歳現役労働が平均化、という時代が否が応でも迫ってきている。簡単に理
由をいえば、2つある。一つは国民負担の問題だ、今の国民年金制度は根本的な欠陥商品
である。20年もたたずに、若者は国民年金の掛け金を払う能力がなくなってくるから
だ。65歳以上の「老人」が増えしかも働かないのだから、若者への負担は急増する一方
である。次に大きな問題は、人類がヒトゲノム遺伝子解読分野で想像を超えるスピードで
開発、特許競争を始めているということがある。ヒトの臓器は、遺伝子レベルで再生が可
能なところまであと数年もせずに行き着くかもしれないということである。

備考:倒産状況(4/6まで)
2001/04/06 株式会社伊豆興産 (リゾートホテル経営  静岡県賀茂郡)銀行取引停止、事
後処理を弁護士に一任
2001/04/05 株式会社パシフイック・テレコム (電話通信事業  東京都渋谷区)民事再生
手続き開始を申請
2001/04/05 株式会社サンマロ (手形割引業  山口県徳山市)自己破産申請準備中
2001/04/04 株式会社京樽商事 (運送取次ぎ、不動産仲介 京樽関連 東京都中央区)特別
清算開始決定受ける
2001/04/04 ユナイテッドファイナンス株式会社 (不動産担保融資  東京都港区)特別清
算開始決定受ける
2001/04/03 株式会社ヨナシロ (家具小売  沖縄県中頭郡)民事再生手続き開始を申請
2001/04/03 株式会社ザ・フオレストカントリークラブ (ゴルフ場「ザ・フォレストカン
トリークラブ」を経営  静岡県周智郡)民事再生手続き開始を申請
2001/04/03 ヤマ清瓦工業株式会社 (化粧瓦製造、ゲームセンターほか経営  愛知県碧南
市)民事再生手続き開始を申請
2001/04/02 株式会社イトー (建築工事業者  静岡県裾野市)民事再生手続き開始を申請
2001/04/02 株式会社エス・エヌ・ケイ (「NEO-GEO」(ネオジオ)などのゲーム機
器の開発・製造  東京都江東区)民事再生手続き開始を申請
2001/04/02 鍋順瓦工業株式会社 (老舗の陶器瓦製造、卸  愛知県高浜市)事業停止、自
己破産申請へ
3月分:
2001/03/30 つくば都市開発株式会社 (不動産業  東京都新宿区)破産宣告受ける
2001/03/30 株式会社多摩ニュータウン開発センター (商業ビル賃貸・管理 東京都が出
資する第3セクター 東京都八王子市)民事再生手続き開始を申し立てられる
2001/03/30 笠原金属産業株式会社ほか1社 (非鉄金属アルミ地金販売  東京都中央区)
破産宣告受ける
2001/03/29 株式会社下田温泉ホテル (温泉旅館経営  静岡県下田市)民事再生手続き開
始を申請
2001/03/28 盛喜株式会社 (呉服・寝具・衣料品卸  青森県青森市)自己破産申請に向け
準備中
2001/03/27 株式会社岩本 (老舗の酒類卸  東京都新宿区)事業停止、事後処理を弁護士
に一任
2001/03/26 朝日実業株式会社 (不動産賃貸、貸金、各種物販 朝日生命の関連会社 東京
都中央区)特別清算開始決定を受ける
2001/03/26 東海商船株式会社 (外航海運  東京都千代田区)民事再生手続き開始を申請
2001/03/23 東京生命保険相互会社 (中堅の生命保険会社 更生特例法適用申請は3社目 
東京都千代田区)更生特例法の適用を申請
2001/03/23 株式会社冨士工 (東証1部上場の中堅ゼネコン  東京都港区)民事再生手続
き開始を申請
2001/03/22 株式会社東相銀ファイナンス (住宅ローン保証 東京相和銀行関連 東京都足
立区)民事再生手続き開始を申請
2001/03/22 オ-ドマン株式会社 (衣料品製造  香川県観音寺市)自己破産を申請
2001/03/21 有限会社武本 (パチンコ店・ホテル経営、不動産賃貸  東京都江戸川区)破
産宣告受ける
2001/03/21 笠原金属産業株式会社ほか1社 (非鉄金属アルミ地金販売  東京都中央区)
自己破産を申請
2001/03/19 株式会社ベタ-ライフ (ホームセンター経営 大証2部上場 大阪府堺市)民
事再生手続き開始を申請
2001/03/16 味のふるさと協業組合 (酒類・調味料製造  山梨県東八代郡)自己破産申請
2001/03/16 瀧原産業株式会社ほか1社 (合成樹脂繊維販売  東京都千代田区)自己破産
を申請
2001/03/16 株式会社安岡織物 (パチンコ店経営、不動産賃貸  京都府京都市上京区)民
事再生手続き開始を申請
001/03/15 日特不動産株式会社 (不動産業 東証1部上場・日特建設の子会社 東京都中
央区)特別清算開始決定受ける
2001/03/15 株式会社エヴァンタイユ (ゴルフ場運営  栃木県栃木市)民事再生手続き開
始を申請
2001/03/14 グリーンハイツ株式会社 (宅地分譲  大分県別府市)2回目不渡り
2001/03/13 興和物産株式会社 (宅地分譲、貸ビル業  東京都新宿区)商法に基づく会社
整理を断念、破産宣告受ける
2001/03/12 旭洋株式会社 (リゾート、不動産管理 フェニックスリゾートの設立母体 大
阪府大阪市中央区)特別清算を申請
2001/03/12 株式会社イージーキャピタルアンドコンサルタンツ (ノンバンク、不動産
業 大阪府大阪市北区)破産宣告受ける
2001/03/12 株式会社ベターライフ (ホームセンター経営 大証2部上場 大阪府堺市)1
回目不渡り
2001/03/09 三重定期貨物自動車株式会社 (一般貨物自動車運送  三重県伊勢市)銀行取
引停止
2001/03/07 株式会社有田ヴィ・オー・シー (陶磁器テーマパーク「有田ポーセリンパー
ク」の元運営会社 青木建設の関連会社 佐賀県西松浦郡)特別清算開始決定受ける
2001/03/05 フットワークエクスプレス株式会社ほか2社 (貨物運送、名産品販売  大阪
府大阪市中央区)民事再生手続き開始を申請
2001/03/05 アキヤマ印刷機製造株式会社 (印刷機械製造  東京都葛飾区)和議による再
建を断念し、民事再生手続き開始を申請
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無税償却と行政の簡素化

無税償却と行政の簡素化

★大蔵省主導の無税償却はなぜ今頃でてきたか
 ご承知の方もあるかとは思うが、2001年3月2日の中日新聞に、旧住専不良債権の
無税償却1476億円を巡って、国税庁の興銀への追徴課税取り消し判決が東京地裁であ
り、興銀全面勝訴との記事がある。 
 日本興業銀行が、旧住宅金融専門会社(住専)に対する不良債権を貸し倒れ金として無
税償却(損金算入)した処理をめぐり、国税当局から1476億円を追徴課税(更正処
分)されたことを不服として処分の取り消しを求めた行政訴訟の判決が3月2日、東京地
裁であったのである。藤山雅行裁判長は争点の貸し倒れ金の事実認定について「債権の回
収は不能で全額を損金算入すべきだ」として興銀側の主張を認め、国税庁の更正処分を取
り消した。住専に対する不良債権の税務処理をめぐって、銀行と国税当局が争った初の訴
訟で、興銀側が全面勝訴したわけである。
 千億円を超す多額の更正処分が裁判で取り消されたのは例がないそうである。ようやく
三権分立の時代に入ったかという点で注目すべき動きといえる。興銀は追徴税額を仮納付
した上で提訴しているため、このまま判決が確定すると国税当局は興銀に対し、仮納付分
を戻した上、法定利息として400億円を超えるばく大な還付加算金を支払うことにな
る。
 訴状などによると、興銀は1996年3月期決算で、住専の日本ハウジングローン(J
HL)への貸付金3760億円について、政府の住専処理案に沿う形で債権を放棄。事実
上の貸し倒れで回収は不能として、全額を無税償却して確定申告した。 
 これに対して国税当局は、同年3月期時点では住専の解散は未確定で、興銀の不良債権
は全額が回収不能の状態ではなかった、同年末までに住専の解散がない場合に放棄を白紙
に戻す趣旨の「解除条件」が付いている-などを理由に無税償却を認めず、法人所得の申
告漏れを指摘、追徴課税したものである。
 判決で藤山裁判長はJHLへの貸付金について「1996年3月末時点で債権の回収は
事実上不可能だった」と判断。解除条件については「債権放棄の法的効力が発生してお
り、損失は確定しているというべきだ」として、不良債権を貸し倒れ金として無税償却し
た興銀の会計処理を妥当と認定した。
 400億円もの加算利益を興銀が得ることになり、結果的には合法的な国主導の逆マネ
ーロンダリングに等しい醜態を招いたことになる。国税庁財務省の責任がないとすれば、
これも壮大な税金の無駄使いということか。民間でこれだけの不祥事を出せば、即刻首で
ある。誰もお咎めなしと相成るのだろうが、このようなことが起きる直接の原因はあいま
いな裁量行政の延長がまだ続いているからに他ならない。

★大蔵省主導の無税償却
 このように政府が介入する金融処理策には、不透明で、場当たり主義的官僚組織が引き
起こす組織としての非効率、弊害、無駄があちらこちらにある。本来、権限をそこまで持
つべきでないところに、お上の威光をかざして行政指導するところに肥大化した官僚組織
の税金の無駄使いと行政の間違いが多発する根本の原因があるのである。
 先例として、三洋証券倒産の際、三洋証券が保管していた顧客の信用取引の保証金や株
の売却代金などの『預かり金』は400億円以上にのぼっていたとみられている。そうし
た現金は、三洋証券の株の自己売買などに流用され、しかも運用に失敗したのであるが、
大蔵省は行政指導によって、証券、銀行に負担させるという不透明なやり方をとった。具
体的には、不正取引や証券事故による損害を補償するために、証券各社が積み立てている
『寄託証券補償基金』が支払いを肩代わりした。同基金は、一証券会社の補償限度を20
億円と定められていたため、大蔵省の指導で三洋証券に限って上限なしという例外扱いと
した。しかも、同基金には積立金が320億円しかなかったため、急遽、野村証券をはじ
めとする大手証券4社が200億円を拠出し、東京三菱、大和、日債銀の三洋証券の主力
銀行3行が、合計150億円の緊急無担保融資を行なった。要するに、会社更生法に名を
かりて、実態は大蔵省が破綻処理をコントロールした。その上、大蔵省と寄託証券補償基
金に追加負担した証券4社との間で、「負担分については無税償却を認める」という合意
がなされた。これが先例である。だが、「負担分については無税償却を認める」などとい
うのは行政の超法規的判断で、つまり、権限で行われたことなのであろうか。本来、税法
からいって無税償却になるものはなるし、ならないものはならないだけの話で、お墨付き
を出した出さないの筋合いのものではない筈だが、そのあたりの勘違いが依然としてお役
人にはあるようだ。備考をよく読んでいただければ解ることだが、無税償却になるならな
いは、本来、会計上、税法上取り扱いが決まっており、行政の恣意を許す幅があるとすれ
ば、それこそ裁量行政であって、なくさなければならないことなのである。

★不良債権処理 金融担当相「9月末を節目に」の意味するもの
 政府は2001年3月21日、日米首脳会談で主要テーマになった日本の不良債権処理
策の具体化に向け動き出した。宮沢喜一財務相は金融機関の不良債権処理に伴う税負担の
減免に積極姿勢を示したほか、平沼赳夫経済産業相は債権放棄を前提とした産業再生法の
活用方針を打ち出した。柳沢伯夫金融担当相は閣議後会見で「日本経済や株価への影響を
考えながら9月末をひとつの節目としたい」と述べ、不良債権の早期処理を示唆した。ま
た、宮沢財務相は不良債権処理に伴う税制面の対応について、「金融庁のスキームに従っ
て行う場合には、税務処理をどうすべきか決めなければならない」と述べ、金融機関の税
負担を減免する「無税償却」を積極的に適用する考えを明らかにした。
 ただ、無税償却を適用するのは、産業再生につながる場合に限定し、競争力のない企業
の延命につながることがないようくぎをさしたということだが、一見筋がとおっている発
言ではあるが、金融機関の判断に任せればよい問題だと考えられる。ことここに及んで、
まだ、行政関与をし続ける考えを持つのはいかがなものか。マーケットを信任する姿勢を
見せればそれで済む問題だ。一方、平沼経済産業相も閣議後会見で、産業再生法を活用し
た不良債権処理について、債権放棄ができる認定基準として、借り手企業の財務の健全性
を指標とすることを示唆した。具体的には、申請の際に企業が提出する事業再構築計画に
債権放棄が含まれる場合の基準として、(1)キャッシュフロー(現金収支)ベースの収
益で10年以内に有利子負債が返済できる、(2)現金ベースの支払いに問題がなく黒字
倒産に陥らない-を新たな要件として付加することにした。
 ということで、これも行政のオーバーコミットメントで、企業側から産業再生法の申請
を受けた場合に、登録免許税の軽減や政策金融などの支援措置を裁量するのはよいとし
て、銀行の債権放棄をコントロールしようというのは過剰介入であり、金融機関の判断に
任せればよいだけの話である。

★森金融庁長官記者会見の不思議
 2001年2月26日の定例記者会見での森金融庁長官の発言要旨を見てみると、
 「全国銀行で不良債権の処分損を平成4年度から、すなわち平成5年3月期から去年の
9月期まで8年半に渡って、不良債権処分損の合計は約68兆円あった。その処分損、不
良債権の処理したやり方が結局直接償却でやったのか、間接償却でやったのかということ
かについて、ここのところのいろいろ報道を見ていると、いかにも今までは間接償却が中
心であって、直接償却というものは進んでいなかったというような報道が多いが、事実関
係だけで見ると、68兆円の不良債権の処分損の中でオフ・バランス化、すなわち直接償
却によっての処理は54兆円ある。すなわち、約80%が直接償却でやっている状況にあ
る。これだけの直接償却をしても、なお現在30兆円少しというものが残っている。
 直接償却というとイコール清算型直接償却のように聞こえるが、再建型直接償却と清算
型直接償却がある中で、金融庁として、我々がこれから力を入れなければいけないのは、
むしろ再建型直接償却であり、問題ある企業についてはその不採算部門を切り捨てるとい
うことを言っている。つまり柳沢大臣の言葉を借りれば、ミシン目を入れて過剰債務部分
かつ不採算部門、そこを切り捨てていく。その結果、残債、残った債権は、もしその再建
策が極めてリーズナブルでリアリスティックなものであるならば、例でいえば要管理から
要注意に上げるとか、あるいは破綻懸念であったら破綻懸念から残債権は要管理に上げる
ということになる。そうすると、引当金で取り崩せる資金がワッと出るということにもな
る。それは金融機関にとってもプラスであるし、また相手方企業にとってもプラスにな
る。そういうような、再建型の直接償却というものをやはり中心に考えていかなければい
けない。」
 以上の発言を見てみると、今までも直接償却はやってきたということだし、切り捨てた
不良債権に代わって、比較的良質なものを引当金に上げるということで、大手銀行が今ま
でやってきたことにほかならない。つまり、冒頭の興銀勝訴をふまえて、行政が正しいこ
とをやってきたということに、つじつまを合わせるために難解な表現をしているものと解
釈できる。こういうのを言語明瞭、意味不明ともいう。お役所の得意技だ。こういうこと
で糊口をなしている連中が日本には肥大化増殖したということだろう。
 いずれにしても、3月以降、中小の倒産は急に増えているし、民間企業は無税償却の意
味をよく理解して国税にむしり取られないように、主体性を持ったバブルの精算を進めて
いくことが必要である。

★バブルの後始末という意味
 土地資本主義万能の時期、バブルが発生した最大の理由は銀行による貸し圧力があった
ことである。貸し圧力を受けた不動産会社やゼネコンも同時に圧力を好機ととらえて借金
をして不動産を買いあさった。この責任は貸した側、借りた側双方にあることは言うまで
もない。ところがその後始末についての失政は、国が経済社会のあるべき姿を不明確に
し、行政の簡素化を図らず、旧態然とした行政指導と公共事業のバラまきに終始し、適切
な政策をとってこなかったところにある。とくに不動産、ゼネコンに対する対策が取られ
ていない現状がある。このことがバブル崩壊のショックから立ち直れずに経済全体が混迷
している主要原因となっている。わが国ではこの業界に働く従業員数はおよそ6百万人と
言われ、世帯の平均を3.5人とすれば関係する日本人は約2100万人となり日本人全
体の5人に1人の数値になる。このような土建国家が未来永劫続くはずがなく、不動産業
界に村する対策を怠ったまま経済の立て直しなど出来る訳はない。
 それではどうするかであるが、まずやらなければならないことは莫大な債務を抱え込ん
で身動きのとれないゼネコン、不動産関連業界に対して転業、退場を速やかに促し、労働
人口の最適配置を促す政策を実施することがひとつである。他方、土地については未利用
地に対して市場メカニズムによる放出を促進するため、固定資産税の強化を通じて土地の
放出を図る仕組みを作り、良質で低価格の土地の供給を国が先頭をきって確保し、住宅市
場の活性化を図るなどの策を推進すべきである。住宅ローンの税制優遇などの措置は、建
物そのもののあるべき姿に何も踏み込んでいない不十分な施策だ。
 また、現状は銀行が債権を放棄しないため、不動産会社は土地を売ることも、再投資し
て有効利用することも出来ないのであるから、債権放棄をするか、競売による市場メカニ
ズムで土地を整理させる方式をとればよい。銀行はゼロ金利政策のお陰もあって空前の業
務利益を上げており、従来、不良債権をバランスシートに残したままの引当金方式による
有税償却から、条件が整えば、引当金方式によらない直接消却方式を、この空前の業務利
益を使って進めることができる現状にある。

備考:
<直接償却>銀行の不良債権処理の手段として、返済の見込みが小さい取引先との融資関
係継続を前提にせず、貸し出し資産を貸借対照表から切り離して、将来の損失発生をなく
すこと。融資の引き上げ、債権自体の売却や債権放棄などの方法がある。融資先の信用不
安につながりやすい。 
<間接償却>  
 貸し倒れによって発生が予想される損失に備えて用意しておく「引当金」が、不良債権
額全体のどれだけに相当するかを示す比率を不良債権の引当率と呼ぶ。 
 融資が実際に焦げ付いて損失額がほぼ確定した回収不能債権(第四分類)は、引当金を
取り崩すか、利益や資本をその穴埋めに回して処理する。これを「償却」という。損失が
確定した不良債権の担保不動産などを売却するなどして償却し、帳簿上の「資産」から債
権を落としてしまうことを直接償却という。これに対し、引当金を積む一方で、融資先か
ら返済を求めることができる権利は持ち続けて帳簿上に残したままにしておくことを間接
償却という。 
<有税償却と無税償却>
 税法には、「有税償却」や「無税償却」という言葉はない。税務の上では所定の要件を
満たした場合に、貸倒損失や債権償却特別勘定、貸倒引当金、子会社等整理損などを損金
の額に算入することができる。これが、「無税償却」にあたる。
 一方、企業会計上、貸倒損失などの科目で債権を償却していても、実際に担保債権を残
したままなど、税務上の要件を満たしていないと損金の額に算入することができない。ま
た、貸倒引当金の繰入限度超過額は有税引き当てとなる。これらは、いわば「有税償却」
ということになる。なお、企業が子会社等を整理する際に債権を放棄した場合、相当な理
由があるときは寄付金ではなく、子会社等整理損として一括して損金の額に算入できる。

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政権末期に何を考えるべきか

政権末期に何を考えるべきか

★視界不良(政界ただいま霧の中)
 森首相の退陣が、事実上、確定したそうである。 
相変わらずの永田町の解りにくい力学構造上の動きといえばそれまでだが、なりゆきとは
別に、自民党政治の終焉の時期が刻々と近づいてきているといえる。
 自民党内では、「森首相では参院選を戦えない」という意見が中央、地方ともに広が
り、参院選の決起大会である13日の党大会を前に首相も政権維持は困難と判断したとい
うことである。 
 辞意の表明は、「総裁選の前倒し実施」という間接的な表現で行われたが、このような
時期に、月内にも日米、日露両首脳会談が行われるそうである。一体、外務省の頭の悪い
い連中は何を考えているのだろうか。去りゆく首相が政府専用機を飛ばして首脳会談とい
うことで、対外的には恥さらし、国内的にはこれは一種のモラルハザードだ。こんなこと
に税金を湯水のごとく使い切る人種をゾンビ型官僚組織というが、2001年の政治家た
ちを、歴史に残る愚行と無能化(無脳)集団の支配した年と将来の国民は呼ぶことになる
であろう。
 来年度予算と予算関連法案の成立後の正式の退陣表明、自民党総裁選、内閣総辞職を経
て、4月中旬には新政権発足という流れになるらしいが、加藤、山崎派が再度反旗を翻す
ことがあったとしても、議員内閣制のもとでは、もう一度自民党が組閣をすることにな
る。次の衆議院選挙がいつになるかはわからないが、本年の経済状況の悪化次第で、早い
段階での内閣総辞職、衆議院解散、総選挙という流れは十分あり得る。そういった意味で
参議院とのダブル選挙も国民サイドとしては考えておいた方がよい。
 日本経済はすでに今年の1-2月を転換点に、景気後退期に入っているものと解釈して
いる。その根拠となる経済指標は、鉱工業生産を始め、卸売物価、有効求人倍率と失業率
のギャップ拡大等々、デフレ化が進み、日本経済は深刻な状況にある。こういったときに
よく、「危機を克服し、経済を活性化させるために、あらゆる政策手段を速やかに講じな
ければならない」などという呪文のような文句がよくでてくるが、ことは左にあらず。経
済は目先のことよりも、構造改革の1歩を着実に踏み出すことが大切なのであって、元き
た道を戻ることではない。1月からの省庁再編での「改革」は橋本内閣時代の汚点が現実
化したようなもので、何らの改革にはなってはいない。4月以降の情報公開法の施行くら
いが成果といえば成果である。 
 株価対策や、土地流動化策などをはじめとした経済対策は、目先の政策としてはよい
が、今求められている政策はもっと根本の問題である。小渕、森と2代にわたり財務大臣
をしている平成の高橋是清こと宮沢喜一は、この間何をしていたのだろうか。官僚出身の
評論家お公家集団の長を大蔵財務の官僚たちはいいように利用したということか。
  憲法改正問題、土地そのものの私有制限をも含めた、公有制の議論、官庁組織人員の削
減、部署の廃止、規制緩和、公益法人の原則廃止など大きいところの検討ないし実施を早
急に着手することを避けて、何らの将来があろうか。
 土地を巡る民間ビジネスに関していえば、川上の論理で今まではやってきたが、今年あ
たりは景気後退から分岐点になるものと思われる。
 事業者が消費者をあおって売りつけ続けている劣悪環境の狭小なウサギ小屋を売らな
い、買わない、土地を買わない、といった見識がでてくることになろう。土地を公有化す
れば、土地の値上がりによる不当所得の移転が防げ、その分、スペースの拡大と住環境ア
メニティーの改善とで住宅マーケットは拡大する。1家に2台の使い分けのできる車も可
能となり、より人間らしい環境に近づくことができる。20年30年、汗水たらして稼い
だ大切なお金だ。たとえ夢の自宅建設が目的としても、人はいずれは死ぬ。狭く猛烈に高
い土地に大金を費やす愚を都市生活者は選択しない見識が必要である。それだけのエネル
ギーがあれば、首相公選制に参加するとか、役所にインターネットで細かい苦情、注文を
付けるとか、何か自分の歴史に残ることができる筈だ。あなた一人の選択は、万の力に束
ねられたときにこの世界の政治経済を根本的に変化させることができるのだ。

★エリートの権威は地に落ちた
  新年明けからローキーなニュース、不景気風が吹き続けている。例年であると3月上旬
ともなれば、明るいニュースがでてくるのだが今年は違う。
最近は、何ごとにつけあきれ果てるというか、常識外の事件が多発するので、変化に対す
る免疫ができてきた。免疫もいい方向でできてくれればよいが、国民総体としては諦めと
か、無関心という形で今までの動きは発露してこなかったのではないだろうか。
 今年に入っての外交機密費を巡る問題は、政府は『被害者』ではすまない問題を含んで
いる。 
 3月10日、ようやく機密費流用事件で外務省の元要人外国訪問支援室長、松尾克俊容
疑者(東京都文京区小石川5丁目)が、警視庁に逮捕された。機密費を巡る様々な疑惑が
どこまで解明されるのであろうか。 
  1月に事件が明らかになって以来、逮捕にこぎ着けるまでに2ヶ月以上費やしているこ
とになるが、外務省というところがいかに秘密のベールに包まれたものであるか、また、
組織全体の関与を十分に推測させる結果となった。
 外務省の告発は業務上横領容疑だったが、逮捕の容疑は詐欺になった。ここに2ヶ月間
の空白の間の答えの一つがある。首相の外国訪問に伴う随員の旅費を水増し請求し、首相
官邸から多額の機密費をだまし取るというのは、公金横領罪であって、詐欺というと被害
者は国家であって、悪いのは松尾克俊容疑者のみという構図が見えてくる。
 新聞にも報ぜられているし、また国会審議中継でも確認されていることだが、局長クラ
スで年間600万円の飲み食い自由、朝食に5千円、和食に35千円、随行時に一人30
万円の餞別、といったことは周知の事実である。まさに何を考えておるのかと言いたい、
目を覆うばかりの惨状が現在の政治行政を取り巻いている。
 この問題の本質は、組織ぐるみであるということと、エリート層に巣くう金まみれ、金
満国家主義、拝金主義の汚染ということであり、このところを真摯に反省しない限り、も
のごとの解決にはつながらない。外交機密費約五十五億円のうち、毎年18億円が官邸に
「上納」されているとされる。現官房副長官の筆跡による外交、官房機密費について説明
した書類も存在する。その書面には、「上納システム」のことが書かれている。しかる
に、政府は上納を認めると財政法違反となるので、今回の逮捕(詐欺罪での)で、上納自
体を全否定するという筋書きを作った。一般の人は、ああ、ようやく逮捕されたか、後は
警察が洗いざらい徹底的に調べるだろう、程度の考えであろうが。これで、一件落着なの
である。時の政権は、警察権については当然のことながら掌握している。実際に想像され
ること以上のことがあっても、外交機密費が持っている秘匿性を盾に黒を白でごまかそう
としているのだ。灰色の部分を、白とする仕上げの課程が今回の逮捕ということなのであ
る。逮捕の後、あとの身の振り方からすべては打ち合わせ済みの筈だ。そうでなければ、
事件発覚告発から2ヶ月もかかるわけがない。国家の暗い部分を今回は見せられたという
ことだ。国民はじっと見守っている。

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日 本 国 憲 法

日 本 国 憲 法

新世紀入りした今年は、首相公選制に関して国民が一度は真剣に考えてみる絶好のタイ
ミングかと思う。現在の憲法がどうなっているのか、日常性に押し流されている生活基盤
ではあっても、考えていくべきではないであろうか。以下は日本国憲法全文と英文公式対
訳である。いかなる背景で、日本国憲法が成り立っているのか、興味深く読まれることと
思う。なお、21世紀型の憲法としてはどこに問題があるか、▲印でコメントをつけてい
る。少し長いですが。
昭和二二年一一月三日
施行 昭和二二・五・三

朕は、日本国民の総意に基いて、新日本建設の礎が、定まるに至つたことを、深く
よろこび、枢密顧問の諮詢及び帝国憲法第七十三条による帝国議会の議決を経た帝国
憲法の改正を裁可し、ここにこれを公布せしめる。
(▲天皇の関わりを新憲法発布では、御名御璽のような形が望ましいのか。)
御 名 御 璽
昭和二十一年十一月三日
内閣総理大臣兼
外 務 大 臣     吉 田   茂
国 務 大 臣  男爵 幣 原 喜重郎
司 法 大 臣     木 村 篤太郎
内 務 大 臣     大 村 清 一
文 部 大 臣     田 中 耕太郎
農 林 大 臣     和 田 博 雄
国 務 大 臣     斎 藤 隆 夫
逓 信 大 臣     一 松 定 吉
商 工 大 臣     星 島 二 郎
厚 生 大 臣     河 合 良 成
国 務 大 臣     植 原 悦二郎
運 輸 大 臣     平 塚 常次郎
大 蔵 大 臣     石 橋 湛 山
国 務 大 臣     金 森 徳次郎
国 務 大 臣     膳  桂之助

THE CONSTISUTION OF JAPAN

I rejoice that the foundation for the construction of a new Japan has
been laid according to the will of Japanese people, and hereby sanction and
promulgate the amendments of the Imperial Japanese Constitution effected
following the consultation with the Privy Council and the decision of the
Imperial Diet made in accordance with Article 73 of the said Constitution.
Signed : HIROHITO, Seal of the Emperor
This third day of the eleventh month of the twenty-first year of Showa(November 3, 1946)
Countersigned :
Prime Minister and concurrently
Minister for Foreign Affairs                YOSHIDA Shigeru
Minister of State                     Baron SHIDEHARA Kijuro
Minister of Justice                         KIMURA Tokutaro
Minister for Home Affairs                   OMURA Seiichi
Minister of Education                       TANAKA Kotaro
Minister of Agriculture and Forestry      WADA Hiroo
Minister of State                           SAITO Takao
Minister of Communications                HITOTSUMATSU Sadayoshi
Minister of Commerce and Industry         HOSHIJIMA Niro
Minister of Welfare                         KAWAI Yoshinari
Minister of State                           UEHARA Etsujiro
Minister of Transportation                HIRATSUKA Tsunejiro
Minister of Finance                        ISHIBASHI Tanzan
Minister of State                           KANAMORI Tokujiro
Minister of State                           ZEN Keinosuke
前文日本国憲法

日本国民は、正当に選挙された国会における代表者を通じて行動し、われらとわれ
らの子孫のために、諸国民との協和による成果と、わが国全土にわたつて自由のもた
らす恵沢を確保し、政府の行為によつて再び戦争の惨禍が起こることのないやうにす
ることを決意し、ここに主権が国民に存することを宣言し、この憲法を確定する。そ
もそも国政は、国民の厳粛な信託によるものであつて、その権威は国民に由来し、そ
の権力は国民の代表者がこれを行使し、その福利は国民がこれを享受する。これは人
類普遍の原理であり、この憲法は、かかる原理に基くものである。われらは、これに
反する一切の憲法、法令及び詔勅を排除する。
日本国民は、恒久の平和を念願し、人間相互の関係を支配する崇高な理想を深く自
覚するのであつて、平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生
存を保持しようと決意した。われらは、平和を維持し、専制と隷従、圧迫と偏狭を地
上から永遠に除去しようと努めてゐる国際社会において、名誉ある地位を占めたいと
思ふ。われらは、全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免かれ、平和のうちに生
存する権利を有することを確認する。
われらは、いづれの国家も、自国のことのみに専念して他国を無視してはならない
のであつて、政治道徳の法則は、普遍的なものであり、この法則に従ふことは、自国
の主権を維持し、他国と対等関係に立たうとする各国の責務であると信ずる。
日本国民は、国家の名誉にかけ、全力をあげてこの崇高な理想と目的を達成するこ
とを誓ふ。

THE CONSTITUTION OF JAPAN

We, the Japanese people, acting through our duly elected
representatives in the National Diet, determined that we shall secure for
ourselves and our posterity the fruits of peaceful cooperation with all
nations and the blessings of liberty throughout this land, and resolved
that never again shall we be visited with the horrors of war through the
action of government,do proclaim that sovereign power resides with the
people and do firmly establish this Constitution. Goverment is a sacred
trust of the people, the authority for which is derived from the people,
the powers of which are exercised by the representatives of the people, and
the benefits of which are enjoyed by the people. This is a universal
principle of mankind upon which this Constitution is founded. We reject and
revoke all constitutions,laws, ordinances, and rescripts in conflict
herewith.
We, the Japanese people, desire peace for all time and deeply conscious
of the high ideals controlling human relationship, and we have determined
to preserve our security and existence, trusting in the justice and faith
of the peace-loving peoples of the world. We desire to occupy an honored
place in an international society striving for the preservation of peace,
and the banishment of tyranny and slavery, oppression and intolerance for
all time from the earth. We recognize that all peoples of the world have
the right to live in the peace, free from fear and want.
We believe that no nation is responsible to itself alone, but that laws
of political morality are universal; and that obedience to such laws is
incumbent uopn all nations who would sustain their own sovereignty and
justify their sovereign relationship with other nations.
We, the Japanese people, pledge our national honor to accomplish these
high ideals and purposes with all our resources.

(天皇)第一章 天皇

第一条 天皇は、日本国の象徴であり日本国民統合の象徴であつて、この地位は、主権の
存する日本国民の総意に基く。

CHAPTER I. THE EMPEROR

Article 1.  The Emperor shall be the symbol of the State and of the unity
of the poeple, deriving his position from the will of the people with whom
resides sovereign power.

▲symbol of the Stateという表現は、日本をアメリカの1州と見ていたと考えて不思議ではない。
(天皇)第二条 皇位は、世襲のものであつて、国会の議決した皇室典範の定めるところ
により、これを継承する。

Article 2.  The Imperial Throne shall be dynastic and succeeded to in
accordance with the Imperial House Law passed by the Diet.

(天皇)第三条 天皇の国事に関するすべての行為には、内閣の助言と承認を必要とし、
内閣が、その責任を負ふ。

Article 3.  The advice and approval of the Cabinet shall be required for
all acts of the Empiror in matters of state, and the Cabinet shall be
responsible therefor.

(天皇)第四条 天皇は、この憲法の定める国事に関する行為のみを行ひ、国政に関する
権能を有しない。
2天皇は、法律の定めるところにより、その国事に関する行為を委任することができる。

Article 4.  The Emperor shall perform only such acts in matters of state
as are provided for in the Constitution and he shall not have powers related to government.
The Emperor may delegate the performance of his acts in matters of state
as may be provided by law.

(天皇)第五条 皇室典範の定めるところにより摂政を置くときは、摂政は、天皇の名で
その 国事に関する行為を行ふ。この場合には、前条第一項の規定を準用する。

Article 5.  When, in accordance with the Imperial House Law, a Regency is
established, the Regent shall perform his acts in matters of state in the
Emperor’s name. In this case, paragraph one of the preceding article will
be applicable.

(天皇)第六条 天皇は、国会の指名に基いて、内閣総理大臣を任命する。
2天皇は、内閣の指名に基いて、最高裁判所の長たる裁判官を任命する。

Article 6.  THe Emperor shall appoint the Prime Minister as designated by
Diet.
The Emperor shall appoint the Chief Judge of the Supreme Court as
designated by the Cabinet.

(天皇)第七条 天皇は、内閣の助言と承認により、国民のために、左の国事に関する行
為を行ふ。
一 憲法改正、法律、政令及び条約を公布すること。
二 国会を召集すること。
三 衆議院を解散すること。
四 国会議員の総選挙の施行を公示すること。
五 国務大臣及び法律の定めるその他の官吏の任免並びに全権委任状及び大使及び
公使の信任状を認証すること。
六 大赦、特赦、減刑、刑の執行の免除及び復権を認証すること。
七 栄典を授与すること。
八 批准書及び法律の定めるその他の外交文書を認証すること。
九 外国の大使及び公使を接受すること。
十 儀式を行ふこと。

Article 7.  The Emperor, with the advice and approval of the Cabinet, shall
perform the following acts in matters of state on behalf of the people:
Promulgation of amendments of the constitution, laws, cabinet orders
and  treaties.
Convocation of the Diet.
Dissolution of the House of Representatives.
Proclamation of general election of members of the Diet.
Attestation of the appointment and dismissal of Ministers of State and other officials as provided for by law, and of full powers and credentials
of Ambassadors and Ministers.
Attestation of general and special amnesty, commutation of punishments,
reprieve, and restoration of rights.
Awarding of honors.
Attestation of instruments of ratification and other diplomatic
decuments as provided for by law.
Receiving foreign ambassadors and ministers.
Performance of ceremonial functions.

(天皇)第八条 皇室に財産を譲り渡し、又は皇室が、財産を譲り受け、若しくは賜与す
ることは、国会の議決に基かなければならない。

Article 8.  No property can be given to, or received by, the Imperial
House, nor can any gifts be made therefrom, without the authorization of
the Diet.

(戦争の放棄)第二章 戦争の放棄

第九条 日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。
2前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。    (▲現に保持しているものを、保持しないなどという詭弁で憲
法に残すべきではない。)
CHAPTER II. RENUNCIATION OF WAR

Article 9.  Aspiring sincerely to an international peace based on justice
and order, the Japanese people forever renounce war as a sovereign right of
the nation and the threat or use of force as means of settling
international disputes.
In order to accomplish the aim of the preceding paragraph, land, sea, and
air forces, as well as other war potential, will never be maintained. The
right of belligerency of the state will not be recognized.

(国民の権利及び義務)第三章 国民の権利及び義務

第一O条 日本国民たる要件は、法律でこれを定める。

CHAPTER III. RIGHTS AND DUTIES OF THE PEOPLE

Article 10.  The conditions necessary for being a Japanese national shall
be determined by law.

(国民の権利及び義務)第一一条 国民は、すべての基本的人権の享有を妨げられない。
この憲法が国民に保障する基本的人権は、侵すことのできない永久の権利として、現在及
び将来の国民に与へられる。

Article 11.  The peole shall not be prevented from enjoying any of the
fundamental human rights. These fundamental human rights guaranteed to the
people by this Constitution shall be conferred upon the people of this and
future generations as eternal and inviolate rights.

(国民の権利及び義務)第一二条 この憲法が国民に保障する自由及び権利は、国民の不
断の努力によつて、これを保持しなければならない。又、国民は、これを濫用してはなら
ないのであつて、常に公共の福祉のためにこれを利用する責任を負ふ。

Article 12.  The freedoms and rights guaranteed to the people by this
Constitution shall be maintained by the constant endeavor of the people,
who shall refrain from any abuse of these freedoms and rights and shall
always be responsible for utilizing them for the public welfare.

(国民の権利及び義務)第一三条 すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及
び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国
政の上で、最大の尊重を必要とする。

Article 13.  All of the people shall be respected as individuals. Their
right to life, liberty, and the pursuit of happiness shall, to the extent
that it does not interfere with the public welfare, be the supreme
consideration in legislation and in order governmental affairs.

(国民の権利及び義務)第一四条 すべて国民は、法の下に平等であつて、人種、信条、
性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されな
い。
2華族その他の貴族の制度は、これを認めない。
3栄誉、勲章その他の栄典の授与は、いかなる特権も伴はない。栄典の授与は、現にこれ
を有し、又は将来これを受ける者の一代に限り、その効力を有する。

Article 14.  All of the people are equal under the law and there shall be
no discrimination in political, economic or social relations because of
race, creed, sex, social status or family origin.
Peers and peerage shall not be recognized.
No privilege shall accompany any award of honor, decoration or any
distinction, nor shall any such award be valid beyond the lifetime of the
individual who now holds or hereafter may receive it.

(国民の権利及び義務)第一五条 公務員を選定し、及びこれを罷免することは、国民固
有の権利である。
2すべて公務員は、全体の奉仕者であつて、一部の奉仕者ではない。
3公務員の選挙については、成年者による普通選挙を保障する。
4すべて選挙における投票の秘密は、これを侵してはならない。選挙人は、その選択に関
し公的にも私的にも責任を問はれない。

Article 15.  The people have the inalienable right to choose their public
officials and to dismiss them.
All public officials are servants of the whole community and not of any
group thereof.
Universal adult suffrage is guaranteed with regard to the election of
public officials.
In all elections, secrecy of the ballot shall not be violated. A voter
shall not be answerable, publicly or privately, for the choice he has made.

(国民の権利及び義務)第一六条 何人も、損害の救済、公務員の罷免、法律、命令又は
規則の制定、廃止又は改正その他の事項に関し、平穏に請願する権利を有し、何人も、か
かる請願をしたためにいかなる差別待遇も受けない。

Article 16.  Every person shall have the right of peaceful petition for
the redress of damage, for the removal of public officials, for the
enactment, repeal or amendment of laws, ordinances or regulations and for
other matters; nor shall any person be in any way discriminated against for
sponsoring such a petition.

(国民の権利及び義務)第一七条 何人も、公務員の不法行為により、損害を受けたとき
は、法律の定めるところにより、国又は公共団体に、その賠償を求めることができる。

Article 17.  Every person may sue for redress as provided by law from the
State or a public entity, in case he has suffered damage through illegal
act of any public official.

(国民の権利及び義務)第一八条 何人も、いかなる奴隷的拘束も受けない。又、犯罪に
因る処罰の場合を除いては、その意に反する苦役に服させられない。

Article 18.  No person shall be held in bondage of any kind. Involuntary
servitude, except as punishment for crime, is prohibited.

(国民の権利及び義務)第一九条 思想及び良心の自由は、これを侵してはならない。

Article 19.  Freedom of thought and conscience shall not be violated.

(国民の権利及び義務)第二O条 信教の自由は、何人に対してもこれを保障する。いか
なる宗教団体も、国から特権を受け、又は政治上の権力を行使してはならない。
2何人も、宗教上の行為、祝典、儀式又は行事に参加することを強制されない。
3国及びその機関は、宗教教育その他いかなる宗教的活動もしてはならない。

Article 20.  Freedom of religion is guaranteed to all. No religious
organization shall receive any privileges from the State, nor exercise any
political authority.
No person shall be compelled to take part in  any religious acts,
celebration, rite or practice.
The State and its organs shall refrain from religious education or any
other religious activity.

(国民の権利及び義務)第二一条 集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由
は、これを保障する。
2検閲は、これをしてはならない。通信の秘密は、これを侵してはならない。

Article 21.  Freedom of assembly and association as well as speech, press
and all other forms of expression are guaranteed.
No censorship shall be maintained, nor shall the secrecy of any means of
communication be violated.

(国民の権利及び義務)第二二条 何人も、公共の福祉に反しない限り、居住、移転及び
職業選択の自由を有する。
2何人も、外国に移住し、又は国籍を離脱する自由を侵されない。

Article 22.  Every person shall have freedom to choose and change his
residence and to choose his occupation to the extent that it does not
interfere with the public welfare.
Freedom of all persons to move to a foreign country and to divest
themselves of their nationality shall be inviolate.

(国民の権利及び義務)第二三条 学問の自由は、これを保障する。

Article 23.  Academic freedom is guaranteed.

(国民の権利及び義務)第二四条 婚姻は、両性の合意のみに基いて成立し、夫婦が同等
の権利を有することを基本として、相互の協力により、維持されなければならない。
2配偶者の選択、財産権、相続、住居の選定、離婚並びに婚姻及び家族に関するその
他の事項に関しては、法律は、個人の尊厳と両性の本質的平等に立脚して、制定さ
れなければならない。

Article 24.  Marriage shall be based only on the mutual consent of both
sexes and it shall be maintained through mutual cooperation with the equal
rights of husband and wife as a basis.
With regard to choice of spouse, property rights, inheritance, choice of
domicile, divorce and other matters pertaining to marriage and the family,
laws shall be enacted from the standpoint of individual dignity and the
essential equality of the sexes.

(国民の権利及び義務)第二五条 すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む
権利を有する。
2国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に
努めなければならない。

Article 25.  All people shall have the right to maintain the minimum
standards of wholesome and cultured living.
In all spheres of life, the State shall use its endeavors for the
promotion and extension of social welfare and security, and of public
health.

3(国民の権利及び義務)第二六条 すべて国民は、法律の定めるところにより、その能力
に応じて、ひとしく教育を受ける権利を有する。
2すべて国民は、法律の定めるところにより、その保護する子女に普通教育を受けさせる
義務を負ふ。義務教育は、これを無償とする。

Article 26.  All people shall have the right to receive an equal
education correspondent to their ability, as provided by law.
All people shall be obligated to have all boys and girls under their
protection receive ordinary education as provided for by law. Such
compulsory education shall be free.

(国民の権利及び義務)第二七条 すべて国民は、勤労の権利を有し、義務を負ふ。
2賃金、就業時間、休息その他の勤労条件に関する基準は、法律でこれを定める。
3児童は、これを酷使してはならない。

Article 27.  All people shall have right and the obligation to work.
Standards for wages, hours, rest and other working conditions shall be
fixed by law.
Children shall not be exploited.

(国民の権利及び義務)第二八条 勤労者の団結する権利及び団体交渉その他の団体行動
をする権利は、これを保障する。

Article 28.  The right of workers to organize and to bargain and act
collectively is guaranteed.

(国民の権利及び義務)第二九条 財産権は、これを侵してはならない。
2財産権の内容は、公共の福祉に適合するやうに、法律でこれを定める。
3私有財産は、正当な補償の下に、これを公共のために用ひることができる。

Article 29.  The right to own or to hold property is inviolable.
Property rights shall be defined by law, in conformity with the public
welfare.
Private proterty may be taken for public use uopn just compensation
therefor.

(国民の権利及び義務)第三O条 国民は、法律の定めるところにより、納税の義務を負
ふ。

Article 30.  The people shall be liable to taxation as provided by law.

(国民の権利及び義務)第三一条 何人も、法律の定める手続によらなければ、その生命
若しくは自由を奪はれ、又はその他の刑罰を科せられない。

Article 31.  No person shall be deprived of life or liberty, nor shall
any other criminal penalty be imposed, except according to procedure
established by law.

(国民の権利及び義務)第三二条 何人も、裁判所において裁判を受ける権利を奪はれな
い。

Article 32.  No person shall be denied the right of access to the courts.

(国民の権利及び義務)第三三条 何人も、現行犯として逮捕される場合を除いては、権
限を有する司法官憲が発し、且つ理由となつてゐる犯罪を明示する令状によらなければ、
逮捕されない。

Article 33.  No person shall be apprehended except upon warrant issued by
a competent judical officer which specifies the offense with which the
person is charged, unless he is apprehended, the offense being committed.

(国民の権利及び義務)第三四条 何人も、理由を直ちに告げられ、且つ、直ちに弁護人
に依頼する権利を与へられなければ、抑留又は拘禁されない。又、何人も、正当な理由が
なければ、拘禁されず、要求があれば、その理由は、直ちに本人及びその弁護人の出席す
る公開の法廷で示されなければならない。

Article 34.  No person shall be arrested or detained without being at
once informed of the charges against him or without the immediate privilege
of counsel; nor shall he be detained without adequate cause; and upon
demand of any person such cause must be immediately shown in open court in
his presence and the presence of his counsel.

(国民の権利及び義務)第三五条 何人も、その住居、書類及び所持品について、侵入、
捜索及び押収を受けることのない権利は、第三十三条の場合を除いては、正当な理由に基
いて発せられ、且つ捜索する場所及び押収する物を明示する令状がなければ、侵されな
い。
2捜索又は押収は、権限を有する司法官憲が発する各別の令状により、これを行ふ。

Article 35.  The right of all persons to be secure in their homes, papers
and effects against entries, searches and seizures shall not be impaired
except upon warrant issued for adequate cause and particularly describing
the place to be searched and things to be seized, or except as provided by
Article 33.
Each search or seizure shall be made upon separate warrant issued by a
competent judical officer.

(国民の権利及び義務)第三六条 公務員による拷問及び残虐な刑罰は、絶対にこれを禁
ずる。

Article 36.   The infliction of torture by any public officer and cruel
punishments are absolutely forbidden.

(国民の権利及び義務)第三七条 すべて刑事事件においては、被告人は、公平な裁判所
の迅速な公開裁判を受ける権利を有する。
2刑事被告人は、すべての証人に対して審問する機会を充分に与へられ、又、公費で自己
のために強制的手続により証人を求める権利を有する。
3刑事被告人は、いかなる場合にも、資格を有する弁護人を依頼することができる。
被告人が自らこれを依頼することができないときは、国でこれを附する。

Article 37.  In all criminal cases the accused shall enjoy the right to a
speedy and public trial by an impartial tribunal.
He shall be permitted full opportunity to examine all witnesses, and he
shall have the right of compulsory process for obtaining witnesses on his
behalf at public expense.
At all times the accused shall have the assistance of competent counsel
who shall, if the accused is unable to secure the same by his own efforts,
be assigned to his use by the State.

(国民の権利及び義務)第三八条 何人も、自己に不利益な供述を強要されない。
2強制、拷問若しくは脅迫による自白又は不当に長く抑留若しくは拘禁された後の自白
は、これを証拠とすることができない。
3何人も、自己に不利益な唯一の証拠が本人の自白である場合には、有罪とされ、又は
刑罰を科せられない。

Article 38.  No person shall be compelled to testify against himself.
Confession made under compulsion, torture or threat, or after prolonged
arrest or detention shall not be admitted in evidence.
No person shall be convicted or punished in cases where the only proof
against him is his own confession.

(国民の権利及び義務)第三九条 何人も、実行のときに適法であつた行為又は既に無罪
とされた行為については、刑事上の責任を問はれない。又、同一の犯罪について、重ねて
刑事上の責任を問はれない。

Article 39.  No person shall be held criminally liable for an act which
was lawful at the time it was committed, or of which he has been acquitted,
nor shall he be placed in double jeopardy.

(国民の権利及び義務)第四O条 何人も、抑留又は拘禁された後、無罪の裁判を受けた
ときは、法律の定めるところにより、国にその補償を求めることができる。

Article 40.  Any person, in case he is acquitted after he has been
arrested or detained, may sue the State for redress as provided by law.

(国会)第四章 国会

第四一条 国会は、国権の最高機関であつて、国の唯一の立法機関である。

CHAPTER IV. THE DIET

Article 41.  The Diet shall be the highest organ of state power, and
shall be the sole law-making organ of the State.

(国会)第四二条 国会は、衆議院及び参議院の両議院でこれを構成する。

Article 42.  The Diet shall consist of two Houses, namely the House of
Representatives and the House of Councillors.

(国会)第四三条 両議院は、全国民を代表する選挙された議員でこれを組織する。
2両議院の議員の定数は、法律でこれを定める。

Article 43.  Both Houses shall consist of elected members, representative
of all the people.
The number of the members of each House shall be fixed by law.

(国会)第四四条 両議院の議員及びその選挙人の資格は、法律でこれを定める。但し、
人種、信条、性別、社会的身分、門地、教育、財産又は収入によつて差別してはならな
い。

Article 44.  The qualifications of members of both Houses and their
electors shall be fixed by law. However, there shall be no discrimination
because of race, creed, sex, social status, family origin, education,
property or income.

(国会)第四五条 衆議院議員の任期は、四年とする。但し、衆議院解散の場合には、そ
の期間満了前に終了する。

Article 45.  The term of office of members of the House of
Representatives shall be four years. However, the term shall be terminated
before the full term is up in case the House of Representatives is
dissolved.

(国会)第四六条 参議院議員の任期は、六年とし、三年ごとに議員の半数を改選する。

Article 46.  The term of office of members of the House of Councillors
shall be six years, and election for half the members shall take place
every three years.

(国会)第四七条 選挙区、投票の方法その他両議院の議員の選挙に関する事項は、法律
でこれを定める。

Article 47.  Electoral districts, method of voting and other matters pertaining to the method of election of members of both Houses shall be
fixed by law.

(国会)第四八条 何人も、同時に両議院の議員たることはできない。

Article 48.  No person shall be permitted to be a member of both Houses
simultaneously.

(国会)第四九条 両議院の議員は、法律の定めるところにより、国庫から相当額の歳費
を受ける。

Article 49.  Members of both Houses shall receive appropriate annual
payment from the national treasury in accordance with law.

(国会)第五O条 両議院の議員は、法律の定める場合を除いては、国会の会期中逮捕さ
れず、会期前に逮捕された議員は、その議院の要求があれば、会期中これを釈放しなけれ
ばならない。

Article 50.  Except in cases provided by law, members of both Houses
shall be exempt from apprehension while the Diet is in session, and any
members apprehended before the opening of the session shall be freed during
the term  of the session upon demand of the House.

(国会)第五一条 両議院の議員は、議院で行つた演説、討論又は表決について、院外で
責任を問はれない。

Article 51.  Members of both Houses shall not be held liable outside the
House for speeches, debates or votes cast inside the House.

(国会)第五二条 国会の常会は、毎年一回これを召集する。

Article 52.  An ordinary session of the Diet shall be convoked once per
year.

(国会)第五三条 内閣は、国会の臨時会の召集を決定することができる。いづれかの議
院の総議員の四分の一以上の要求があれば、内閣は、その召集を決定しなければならな
い。

Article 53.  The Cabinet may determine to convoke extraordinary sessions
of the Diet. When a quarter or more of the total members of either House
makes the demand, the Cabinet must determine on such convocation.

(国会)第五四条 衆議院が解散されたときは、解散の日から四十日以内に、衆議院議員
の総選挙を行ひ、その選挙の日から三十日以内に、国会を召集しなければならない。
2衆議院が解散されたときは、参議院は、同時に閉会となる。但し、内閣は、国に緊急の
必要があるときは、参議院の緊急集会を求めることができる。
3前項但書の緊急集会において採られた措置は、臨時のものであつて、次の国会開会の後
十日以内に、衆議院の同意がない場合には、その効力を失ふ。

Article 54.  When the House of Representatives is dissolved, there must
be a general election of members of the House of Representatives within
forty(40) days from the date of dissolution, and the Diet must be convoked
within thirty (30) days from the date of the election.
When the House of Representatives is dissolved, the House of Councillors
is closed at the same time. However, the Cabinet may in time of national
emergency convoke the House of Councillors in emergency session.
Measures taken at such session as mentioned in the proviso of the
preceding paragraph shall be provisional and shall become null and void
unless agreed to by the House of Representatives within a period of ten (10)
days after the opening of the next session of the Diet.

(国会)第五五条 両議院は、各々その議員の資格に関する争訟を裁判する。但し、議員
の議決を失はせるには、出席議員の三分の二以上の多数による議決を必要とする。

Article 55.  Each House shall judge disputes related to qualifications of
its members. However, in order to deny a seat to any member, it is
necessary to pass a resolution by a majority of two-thirds or more of the
members present.

(国会)第五六条 両議院は、各々その総議員の三分の一以上の出席がなければ、議事を
開き議決することができない。
2両議院の議事は、この憲法に特別の定のある場合を除いては、出席議員の過半数でこれ
を決し、可否同数のときは、議長の決するところによる。

Article 56.  Business cannot be transacted in either House unless one-
third or more of total membership is present.
All matters shall be decided, in each House, by a majority of those
present, except as elsewhere provided in the Constitution, and in case of a
tie, the presiding officer shall decide the issue.

(国会)第五七条 両議院の会議は、公開とする。但し、出席議員の三分の二以上の多数
で議決したときは、秘密会を開くことができる。
2両議院は、各々その会議の記録を保存し、秘密会の記録の中で特に秘密を要すると認め
られるもの以外は、これを公表し、且つ一般に頒布しなければならない。
3出席議員の五分の一以上の要求があれば、各議員の表決は、これを会議録に記載しなけ
ればならない。

Article 57.  Deliberation in each House shall be public. However, a
secret meeting may be held where a majority of two-thirds or more of those
members present passes a resolution therefor.
Each House shall keep a record of proceedings. This record shall be
published and given general circulation, excepting such parts of
proceedings of secret session as may be deemed to require secrecy.
Upon demand of noe-fifth or more of the members present, votes of the
members on any matter shall be recorded in the minutes.

(国会)第五八条 両議院は、各々その議長その他の役員を選任する。
2両議院は、各々その会議その他の手続及び内部の規律に関する規則を定め、又、院内の
秩序をみだした議員を懲罰することができる。但し、議員を除名するには、出席議員の三
分の二以上の多数による議決を必要とする。

Article 58.  Each House shall select its own president and other
officials.
Each House shall establish its rules pertaining to meetings, proceedings
and internal discipline, and may punish members for disorderly conduct.
However, in order to expel a member, a majority of two-thirds or more of
those members present must pass a resolution thereon.

(国会)第五九条 法律案は、この憲法に特別の定のある場合を除いては、両議院で可決
したとき法律となる。
2衆議院で可決し、参議院でこれと異なつた議決をした法律案は、衆議院で出席議員の三
分の二以上の多数で再び可決したときは、法律となる。
3前項の規定は、法律の定めるところにより、衆議院が、両議院の協議会を開くことを求
めることを妨げない。
4参議院が、衆議院の可決した法律案を受け取つた後、国会休会中の期間を除いて六十日
以内に、議決しないときは、衆議院は、参議院がその法律案を否決したものとみなすこと
ができる。

Article 59.  A bill becomes a law on passage by both Houses, except as otherwise provided by the Constitution.
A bill which is passed by the House of Representatives, and upon which
the House of Councillors makes a decision different from that of the House
of Representatives, becomes a law when passed a second time by the House of
Representatives by a majority of two-thirds or more of the members present.
The provision of the preceding paragraph does not preclude the House of
Representatives from calling for the meeting of a joint committee of both
Houses, provided for by law.
Failure by the House of Councillors to take final action within sixty (60)
days after receipt of a bill passed by the House of Representatives, time
in recess excepted, may be determined by the House of Representatives to
constitute a rejection of the said bill by the House of Councillors.

(国会)第六O条 予算は、さきに衆議院に提出しなければならない。
2予算について、参議院で衆議院と異なつた議決をした場合に、法律の定めるところによ
り、両議院の協議会を開いても意見が一致しないとき、又は参議院が、衆議院の可決した
予算を受け取つた後、国会休会中の期間を除いて三十日以内に、議決しないときは、衆議
院の議決を国会の議決とする。

Article 60.  The budget must first be submitted to the House of
Representatives.
Upon consideration of the budget, when the House of Councillors makes a
decision different from that of the House of Representatives, and when no
agreement can be reached even through a joint commitee of both Houses,
provided for by law, or in the case of failure by the House of Councillors
to take final action within thirty (30) days, the period of recess
excluded,after the receipt of the budget passed by the House of
Representatives, the decision of the House of Representatives shall be the
decision of the Diet.

(国会)第六一条 条約の締結に必要な国会の承認については、前条第二項の規定を準用
する。

Article 61.  The second paragraph of the preceding article applies also
to the Diet approval required for the conclusion of treaties.

(国会)第六二条 両議院は、各々国政に関する調査を行ひ、これに関して、証人の出頭
及び証言並びに記録の提出を要求することができる。

Article 62.  Each House may conduct investigations in relation to
government, and may demand the presence and testimony of witnesses, and the
production of records.

(国会)第六三条 内閣総理大臣その他の国務大臣は、両議院の一に議席を有すると有し
ないとにかかはらず、何時でも議案について発言するため議院に出席することができる。
又、答弁又は説明のため出席を求められたときは、出席しなければならない。

Article 63.  The Prime Minister and other Ministers of State may, at any
time, appear in either House for the purpose of speaking on bills,
regardless of whether they are members of the House or not. They must
appear when their presence is required in order to give answers or
explanations.

(国会)第六四条 国会は、罷免の訴追を受けた裁判官を裁判するため、両議院の議員で
組織する弾劾裁判所を設ける。
2弾劾に関する事項は、法律でこれを定める。

Article 64.  The Diet shall set up an impeachment court from among the
members of both Houses for the purpose of trying those judges against whom
removal proceedings have been instituted.
Matters relating to impeachment shall be provided by law.

(内閣)第五章 内閣

第六五条 行政権は、内閣に属する。

CHAPTER V. THE CABINET

Article 65.  Executive power shall be vested in the Cabinet.

(内閣)第六六条 内閣は、法律の定めるところにより、その首長たる内閣総理大臣及び
その他の国務大臣でこれを組織する。
2内閣総理大臣その他の国務大臣は、文民でなければならない。
3内閣は、行政権の行使について、国会に対し連帯して責任を負ふ。

Article 66.  The Cabinet shall consist of the Prime Minister, who shall
be its head, and other Ministers of State, as provided for by law.
The Prime Minister and other Ministers of State must be civilians.
The Cabinet, in the exercise of executive power, shall be collectively
responsible to the Diet.

(内閣)第六七条 内閣総理大臣は、国会議員の中から国会の議決で、これを指名する。この指名は、他のすべての案件に先だつて、これを行ふ。
2衆議院と参議院とが異なつた指名の議決をした場合に、法律の定めるところにより、両
議院の協議会を開いても意見が一致しないとき、又は衆議院が指名の議決をした後、国会
休会中の期間を除いて十日以内に、参議院が、指名の議決をしないときは、衆議院の議決
を国会の議決とする。
(▲首相公選制の場合、多くの変更点の中で最も重要な箇所になる。)
Article 67.  The Prime Minister shall be designated from among the
members of the Diet by a resolution of the Diet. This designation shall
precede all other business.
If the House of Representatives and the House of Councillors disagree and
if no agreement can be reached even through a joint committee of both
Houses,provided for by law, or the House of Councillors fails to make
designation within ten (10) days, exclusive of the period of recess, after
the House of Representatives has made designation, the decision of the
House of Representatives shall be the dicision of the Diet.

(内閣)第六八条 内閣総理大臣は、国務大臣を任命する。但し、その過半数は、国会議
員の中から選ばれなければならない。
2内閣総理大臣は、任意に国務大臣を罷免することができる。

Article 68.  The Prime Minister shall appoint the Ministers of State.
However, a majority of their number must be chosen from among the members
of the Diet.
The Prime Minister may remove the Ministers of State as he chooses.

(内閣)第六九条 内閣は、衆議院で不信任の決議案を可決し、又は信任の決議案を否決
したときは、十日以内に衆議院が解散されない限り、総辞職をしなければならない。

Article 69.  If the House of Representatives passes a non-confidence
resolution, or rejects a confidence resolution, the Cabinet shall resign en
masse, unless the House of Representatives is dissolved within ten (10)
days.

(内閣)第七O条 内閣総理大臣が欠けたとき、又は衆議院議員総選挙の後に初めて国会
の召集があつたときは、内閣は、総辞職をしなければならない。

Article 70.  When there is a vacancy in the post of Prime Minister, or
upon the first convocation of the Diet after a general election of members
of the House of Representatives, the Cabinet shall resign en masse.

(内閣)第七一条 前二条の場合には、内閣は、あらたに内閣総理大臣が任命されるまで
引き続きその職務を行ふ。

Article 71.  In the cases mentioned in the two preceding articles, the
Cabinet shall continue its functions until the time when a new Prime
Minister is appointed.

(内閣)第七二条 内閣総理大臣は、内閣を代表して議案を国会に提出し、一般国務及び
外交関係について国会に報告し、並びに行政各部を指揮監督する。

Article 72.  The Prime Minister, representing the Cabinet, submits
bills,reports on general national affairs and foreign relations to the Diet
and exercises control and supervision over various administrative branches.

(内閣)第七三条 内閣は、他の一般行政事務の外、左の事務を行ふ。
一 法律を誠実に執行し、国務を総理すること。
二 外交関係を処理すること。
三  条約を締結すること。但し、事前に、時宜によつては事後に、国会の承認を経るこ      とを必要とする。
四 法律の定める基準に従ひ、官吏に関する事務を掌理すること。
五 予算を作成して国会に提出すること。
六 この憲法及び法律の規定を実施するために、政令を制定すること。但し、政令には、      特にその法律の委任がある場合を除いては、罰則を設けることができない。
七 大赦、特赦、減刑、刑の執行の免除及び復権を決定すること。

Article 73.  The Cabinet, in addition to other general administrative
functions, shall perform the following functions:
Administer the law faithfully; conduct affairs of state.
Manage foreign affairs.
Conclude treaties. However, it shall obtain prior or, depending on
circumstances, subsequent approval of the Diet.
Administer the civil service, in accordance with standards established
by law.
Prepare the budget, and present it to the Diet.
Enact cabinet orders in order to execute the provisions of this
Constitution and of the law. However, it cannot include penal
provisions in such cabinet orders unless authorized by such law.
Decide on general amnesty, special amnesty, commutation of punishment,
reprieve, and restoration of rights.

(内閣)第七四条 法律及び政令には、すべて主任の国務大臣が署名し、内閣総理大臣が
連署することを必要とする。

Article 74.  All laws and cabinet orders shall be signed by the competent
Minister of State and countersigned by the Prime Minister.

(内閣)第七五条 国務大臣は、その在任中、内閣総理大臣の同意がなければ、訴追され
ない。但し、これがため、訴追の権利は、害されない。

Article 75.  The Ministers of State, during their tenure of office, shall
not be subject to legal action without the consent of the Prime Minister.
However, the right to take that action is not impaired hereby.

(司法)第六章 司法

第七六条 すべて司法権は、最高裁判所及び法律の定めるところにより設置する下級裁判
所に属する。
2特別裁判所は、これを設置することができない。行政機関は、終審として裁判を行ふこ
とができない。
3すべて裁判官は、その良心に従ひ独立してその職権を行ひ、この憲法及び法律にのみ拘
束される。
CHAPTER VI. JUDICIARY

Article 76.  The whole judical power is vested in a Supreme Court and in
such inferior courts as are established by law.
No extraordinary tribunal shall be established, nor shall any organ or
agency of the Executive be given final judicial power.
All judges shall be independent in the exercise of their conscience and
shall be bound only by this Constitution and the laws.

(司法)第七七条 最高裁判所は、訴訟に関する手続、弁護士、裁判所の内部規律及び司
法事  務処理に関する事項について、規則を定める権限を有する。
2検察官は、最高裁判所の定める規則に従はなければならない。
3最高裁判所は、下級裁判所に関する規則を定める権限を、下級裁判所に委任することが
できる。

Article 77.  The Supreme Court is vested with the rule-making power under
which it determines the rules of procedure and of practice, and of matters
relating to attorneys, the internal discipline of the courts and the
administration of judicial affairs.
Public procurators shall be subject to the rule-making power of the
Supreme Court.
The Supreme Court may delegate the power to make rules for inferior
courts to such courts.

(司法)第七八条 裁判官は、裁判により、心身の故障のために職務を執ることができな
いと決定された場合を除いては、公の弾劾によらなければ罷免されない。裁判官の懲戒処
分は、行政機関がこれを行ふことはできない。

Article 78.  Judges shall not be removed except by public impeachment
unless judically declared mentally or physically incompetent to perform
official duties. No disciplinary action against judges shall be
administered by any executive organ or agency.

(司法)第七九条 最高裁判所は、その長たる裁判官及び法律の定める員数のその他の裁
判官でこれを構成し、その長たる裁判官以外の裁判官は、内閣でこれを任命する。
2最高裁判所の裁判官の任命は、その任命後初めて行はれる衆議院議員総選挙の際国民の
審査に付し、その後十年を経過した後初めて行はれる衆議院議員総選挙の際更に審査に付
し、その後も同様とする。
3前項の場合において、投票者の多数が裁判官の罷免を可とするときは、その裁判官は、
罷免される。
4審査に関する事項は、法律でこれを定める。
5最高裁判所の裁判官は、法律の定める年齢に達した時に退官する。
6最高裁判所の裁判官は、すべて定期に相当額の報酬を受ける。この報酬は、在任中、こ
れを減額することができない。

Article 79.  The Supreme Court shall consist of a Chief Judge and such
number of judges as may be determined by law; all such judges excepting the
Chief Judge shall be appointed by the Cabinet.
The appointment of the judges of the Supreme Court shall be reviewed by
the people at the first general election of members of the House of
Representatives following their appointment, and shall be reviewed again at
the first general election of members of the House of Representatives after
a lapse of ten (10) years, and in the same manner thereafter.
In cases mentioned in the foregoing paragraph, when the majority of the
voters favors the dismissal of a judge, he shall be dismissed.
Matters pertaining to review shall be prescribed by law.
The judges of the Supreme Court shall be retired upon the attainment of
the age as fixed by law.
All such judges shall receive, at regular stated intervals, adequate
compensation which shall not be decreased during their terms of office.

(司法)第八O条 下級裁判所の裁判官は、最高裁判所の指名した者の名簿によつて、内
閣でこれを任命する。その裁判官は、任期を十年とし、再任されることができる。但し、
法律の定める年齢に達した時には退官する。
2下級裁判所の裁判官は、すべて定期に相当額の報酬を受ける。この報酬は、在任中、こ
れを減額することができない。

Article 80.  The judges of the inferior courts shall be appointed by the
Cabinet from a list of persons nominated by the Supreme Court. All such
judges shall hold office for a term of ten (10) years with privilege of
reappointment, provided that they shall be retired upon the attainment of
the age as fixed by law.
The judges of the inferior courts shall receive, at regular stated
intervals, adequate compensation which shall not be decreased during their
terms of office.

(司法)第八一条 最高裁判所は、一切の法律、命令、規則又は処分が憲法に適合するか
しないかを決定する権限を有する終審裁判所である。

Article 81.  The Supreme Court is the court of last resort with power to
determine the constitutionality of any law, order, regulation or official
act.

(司法)第八二条 裁判の対審及び判決は、公開法廷でこれを行ふ。
2裁判所が、裁判官の全員一致で、公の秩序又は善良の風俗を害する虞があると決した場
合には、対審は、公開しないでこれを行ふことができる。但し、政治犯罪、出版に関する
犯罪又はこの憲法第三章で保障する国民の権利が問題となつてゐる事件の対審は、常にこ
れを公開しなければならない。

Article 82.  Trials shall be conducted and judgment declared publicly.
Where a court unanimously determines publicity to be dangerous to public
order or morals, a trial may be conducted privately, but trials of
political offenses, offenses involving the press or cases wherein the
rights of people as guaranteed in Chapter III of this Constitution are in
question shall always be conducted publicly.

(財政)第七章 財政

第八三条 国の財政を処理する権限は、国会の議決に基いて、これを行使しなければなら
ない。

CHAPTER VII. FINANCE

Article 83.  The power to administer national finances shall be exercised
as the Diet shall determine.

(財政)第八四条 あらたに租税を課し、又は現行の租税を変更するには、法律又は法律
の定める条件によることを必要とする。

Article 84.  No new taxes shall be imposed or existing ones modified
except by law or under such conditions as law may prescibe.

(財政)第八五条 国費を支出し、又は国が債務を負担するには、国会の議決に基くこと
を必要とする。

Article 85.  No money shall be expended, nor shall the State obligate
itself, except as authorized by the Diet.

(財政)第八六条 内閣は、毎会計年度の予算を作成し、国会に提出して、その審議を受
け議決を経なければならない。

Article 86.  The Cabinet shall prepare and submit to the Diet for its consideration and decision a budget for each fiscal year.

(財政)第八七条 予見し難い予算の不足に充てるため、国会の議決に基いて予備費を設
け、内閣の責任でこれを支出することができる。
2すべて予備費の支出については、内閣は、事後に国会の承諾を得なければならない。

Article 87.  In order to provide for unforeseen deficiencies in the
budget,a reserve fund may be authorized by the Diet to be expended upon the
responsibility of the Cabinet.
The Cabinet must get subsequent approval of the Diet for all payments
from the reserve fund.

(財政)第八八条 すべて皇室財産は、国に属する。すべて皇室の費用は、予算に計上し
て国会の議決を経なければならない。

Article 88.  All property of the Imperial Household shall belong to the
State. All expenses of the Imperial Household shall be appropriated by the
Diet in the budget.

(財政)第八九条 公金その他の公の財産は、宗教上の組織若しくは団体の使用、便益若
しくは維持のため、又は公の支配に属しない慈善、教育若しくは博愛の事業に対し、これ
を支出し、又はその利用に供してはならない。

Article 89.  No public money or other property shall be expended or
appropriated for the use, benefit or maintenance of any religious
institution or association, or for any charitable, edicational or
benevolent enterprises not under the control of public authority.

(財政)第九O条 国の収入支出の決算は、すべて毎年会計検査院がこれを検査し、内閣
は、次の年度に、その検査報告とともに、これを国会に提出しなければならない。
2会計検査院の組織及び権限は、法律でこれを定める。

Article 90.  Final accounts of the expenditures and revenues of the Sate
shall be audited annually by a Board of Audit and submitted by the Cabinet
to the Diet, together with the statement of audit, during the fiscal year
immediately following the period covered.
The organization and competency of the Board of Audit shall be determined
by law.

(財政)第九一条 内閣は、国会及び国民に対し、定期に、少なくとも毎年一回、国の財
政状況について報告しなければならない。

Article 91.  At regular intervals and at least annually the Cabinet shall
report to the Diet and the people on the state of national finances.

(地方自治)第八章 地方自治

第九二条 地方公共団体の組織及び運営に関する事項は、地方自治の本旨に基いて、法律
でこれを定める。

CHAPTER VIII. LOCAL SELF-GOVERNMENT

Article 92.  Regulations concerning organization and operations of local
public entities shall be fixed by law in accordance with the principle of
local autonomy.

(地方自治)第九三条 地方公共団体には、法律の定めるところにより、その議事機関と
して議会を設置する。
2地方公共団体の長、その議会の議員及び法律の定めるその他の吏員は、その地方公共団
体の住民が、直接これを選挙する。

Article 93.  The local public entities shall establish assemblies as
their deliberative organs, in accordance with law.
The chief executive officers of all local public entities, the members of
their assemblies, and such other local officials as may be determined by
law shall be elected by direct popular vote within their several
communities.

(地方自治)第九四条 地方公共団体は、その財産を管理し、事務を処理し、及び行政を
執行する権能を有し、法律の範囲内で条例を制定することができる。

Article 94.  Local public entities shall have the right to manage their
property, affairs and administration and to enact their own regulations
within law.

(地方自治)第九五条 一の地方公共団体のみに適用される特別法は、法律の定めるとこ
ろにより、その地方公共団体の住民の投票においてその過半数の同意を得なければ、国会は、これを制定することができない。

Article 95.  A special law, applicable only to one local public entity,
cannot be enacted by the Diet without the consent of the majority of the
voters of the local public entity concerned, obtained in accordance with
law.

(改正)第九章 改正

第九六条 この憲法の改正は、各議院の総議員の三分の二以上の賛成で、国会が、これを
発議し、国民に提案してその承認を経なければならない。この承認には、特別の国民投票
又は国会の定める選挙の際行はれる投票において、その過半数の賛成を必要とする。
2憲法改正について前項の承認を経たときは、天皇は、国民の名で、この憲法と一体を成
すものとして、直ちにこれを公布する。
(▲議員に限らず、民間発議条項を盛り込むことと、議員の場合過半数賛成で)
CHAPTER IX. AMENDMENTS

Article 96.  Amendments to this Constitution shall be initiated by the
Diet, through a concurring vote of two-thirds or more of all the members of
each House and shall thereupon be submitted to the people for ratification,
which shall require the affirmative vote of a majority of all votes cast
thereon, at a special referendum or at such election as the Diet shall
specify.
Amendments when so ratified shall immediately be promulgated by the
Emperor in the name of the people, as an integral part of this Constitution.

(最高法規)第一O章 最高法規

第九七条 この憲法が日本国民に保障する基本的人権は、人類の多年にわたる自由獲得の
努力の成果であつて、これらの権利は、過去幾多の試練に堪へ、現在及び将来の国民に対
し、侵すことのできない永久の権利として信託されたものである。

CHAPTER X. SUPREME LAW

Article 97.  The fundamental human rights by this Consitution guaranteed
to the people of Japan are fruits of the age-old struggle of man to be
free;they have survived the many exacting tests for durability and are
conferred upon this and future genatations in trust, to be held for all
time inviolate.

(最高法規)第九八条 この憲法は、国の最高法規であつて、その条規に反する法律、命
令、詔勅及び国務に関するその他の行為の全部又は一部は、その効力を有しない。
2日本国が締結した条約及び確立された国際法規は、これを誠実に遵守することを必要と
する。

Article 98.  This Constitution shall be the supreme law of the nation and
no law, ordinance, imperial rescript or ther act of government, or part
thereof, contrary to the provisions hereof, shall have legal force or
validity.
The treaties concluded by Japan and established laws of nations shall be
faithfully observed.

(最高法規)第九九条 天皇又は摂政及び国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員
は、この憲法を尊重し擁護する義務を負ふ。

Article 99.  The Emperor or the Regent as well as Ministers of State,
members of the Diet, judges, and all other public officials have the
obligation to respect and uphold this Constitution.

(補則)第一一章 補則

第一OO条 この憲法は、公布の日から起算して六箇月を経過した日から、これを施行す
る。
2この憲法を施行するために必要な法律の制定、参議院議員の選挙及び国会召集の手続並
びにこの憲法を施行するために必要な準備手続は、前項の期日よりも前に、これを行ふこ
とができる。

CHAPTER XI. SUPPLEMENTARY PROVISIONS

Article 100.  This Constitution shall be enforced as from the day when
the period of six months will have elapsed counting from the day of its
promulgation.
The enactment of laws necessary for the enforcement of this
Constitution,the election of members of the House of Councillors and the
procedure for the convocation of the Diet and other preparatory procedures
necessary for the enforcement of this Constitution may be executed before
the day prescribed in the preceding paragraph.

(補則)第一O一条 この憲法施行の際、参議院がまだ成立してゐないときは、その成立
するまでの間、衆議院は、国会としての権限を行ふ。

Article 101.  If the House of Councillors is not constituted before the
effective date of this Constitution, the House of Representatives shall
function as the Diet until such time as the House of Councillors shall be
constituted.

(補則)第一O二条 この憲法による第一期の参議院議員のうち、その半数の者の任期
は、これを三年とする。その議員は、法律の定めるところにより、これを定める。

Article 102.  The term of office for half the members of the House of
Councillors serving in the first term under this Constitution shall be tree
years. Members falling under this category shall be determined in
accordance with law.

(補則)第一O三条 この憲法施行の際現に在職する国務大臣、衆議院議員及び裁判官並
びにその他の公務員で、その地位に相応する地位がこの憲法で認められてゐる者は、法律
で特別の定をした場合を除いては、この憲法施行のため、当然にはその地位を失ふことは
ない。但し、この憲法によつて、後任者が選挙又は任命された時は、当然その地位を失
ふ。

Article 103.  The Ministers of State, members of the House of
Representatives and judges in office on the effective date of this
Constitution, and all other public officials who occupy positions
corresponding to such positions as are recognized by the Constitution shall
not forfeit their positions automatically on account of the enforcement of
this Constitution unless otherwise specified by law. When, however,
successors are elected or appointed under the provisions of this
Constitution, they shall forfeit their positions as a matter of course.

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首相公選制(2)

首相公選制(2)

★派閥はなぜ生ずるか
 かつて90年代に自民党が政権を追われた際、派閥を解消するということを公約した時
期がある。忘却のかなたの出来事ではない筈だが、最近の派閥の組み替え劇を見ている
と、また堂々と大手を振って派閥作りに動いているようだ。自民党の加藤氏が蒔いた種
が、変な形で芽を吹き出しているということでもある。加藤氏の件は自業自得といえばそ
れまでだが、永田町の議員さんは、政局劇に何も学習をしていないようだ。
 ことほど左様に、国会議員の中から国会議員による首班指名選挙で首相を選ぶ、という
仕組みこそが派閥を生み出し、利益誘導型の政治の基盤となっている。首班指名選挙で首
相になるには、まず多数党の中で多数派を占める必要がある。そのためには党の中で自分
の仲間を増やす必要があり、それが派閥になる。そこで、首相になろうとするものは、政
党の派閥の連合から選ばれるので、党の重要ポストをいくつ歴任したかという実績と、親
分肌のリーダーシップの発揮が重要となる。したがって、派閥の動向に気をつかい、派閥
をまとめるために骨身を砕く。派閥の領袖は野卑な経済的仕組みを直接的・間接的を問わ
ず、産業界・官界に張り巡らし、要するに民から搾り上げた金が集まる仕組みを作り上げ
る。KSD問題にしても、外務省の公金横領事件にしてもそのいい例だ。そして首相にな
った者は、派閥が反逆すれば直ちに首相の座から転落するので派閥間の調整保持に精力を
使い、腰を落ち着けて長期政策や画期的な政策を果敢に断行する余力がなかなか出てこな
い。断行した内閣は、すぐ退陣の憂き目に遭うからである。行政改革を唱えて省庁再編ま
での動きをリードした橋本内閣が良い例だ。今の現状をみるに、果たして橋本さんは功労
者といえるのか。答えはNONである。看板の掛け替えに貢献しただけだ。

★族議員はなぜはびこるか
 また、派閥と政治資金ほど切っても切れない関係にあるものはない。議員の側から見れ
ば、派閥に入る最大のメリットの一つが政治資金で、お金を頂こうという魂胆がその背景
にあることは疑いようがない。派閥の領袖の側からいえば、金と人脈こそが派閥を動かす
からである。その政治資金は、政党助成金にとどまらず、産業界、労働組合、その他のパ
ーティー券、陳情組から入ってくることになっている。 
 KSDに例えていえば、議員(辞職した小山議員)が特定財団の利益誘導のための国会
質問を行い、秘書の給与をKSDに丸抱えさせ、その結果として「ものつくり大学」とや
らの国家予算をKSDのために組み込んだということだ。それぞれの政策分野に特化して
ロビイスト活動を行う族議員は多く存在し、それらの有機的集合体が派閥化しているとい
うわけである。一方、財団側も、国の資金誘導のため自民党議員の数十人に対して高額な
献金を行い、政策分野で対立野党の一部に対しても根回しの金を配るといった細かい芸も
用いている。要するに、個々の族議員と政治資金の提供や選挙での支持を軸としたギブ・
アンド・テイクの関係が築かれているのである。そこでは、自民党という政党との結びつ
きよりも個々の議員との結び付きを基本としているが、首相の権限を裏で左右する程の力
をつけるに至っている。それが族議員である。
 アメリカなどは2大政党制が根付いているため、ロビースト活動があったとしても、政
権の交代ということで、チェックアンドバランスが果たされている。公共事業の官制談合
だの、公金横領だのとといったことは、極めて日本的現象ではあるが、派閥にしても、族
議員にしても、今の議院内閣制の温存がある限りこれはなくならない。なくせというのが
政治的仕組みからいって無理なのでなかろうか。したがって、「不正は起こる」というこ
とを前提とした、一歩進んだチェックの仕組みとして、首相公選論、直接選挙論、国民投
票論がでてくるのである。

★間接民主主義の限界
 間接民主主義と呼ばれている私たちの今の政治の仕組みが、どうにもこうにも行き詰ま
っている感じがある、例えば住専の関係の予算を国会で通したときも、国民の9割近くが
反対していた。つまり主権者である国民とその代表との間に非常に開きがでてしまってい
る。無知な大衆に迎合すればポピュリズムになるなどという者もいるが、民意に反した正
義などあり得ないことをまず第一に考えてみることだ。政治は一部の者のためであっては
ならないのだ。一方で、最近の選挙での投票率の低下を「仕方がない」と、あきらめた受
け止め方をする人が5割近くを占めている。また、低下の原因については、5割が「投票
しても政治が良くならない」と回答、低投票率の背景に根深い政治不信がある実態を示し
ている。
 今の日本の政治の仕組みを考えてみると、国会議員は直接選挙で選ばれている。それか
ら司法の場合も、最高裁の判事は国民による信任投票がなされることで、やはり直接民主
制になっている。しかし行政府の長は国会から選ばれて、民意が直接反映するシステムに
なっていない。それを直接民主制に変えることで、日本はより民主国家になるし、国民は
政治に向かって関心を深め、責任感を持つことになる。首相の方も国民に対して責任ある
言動を取るようになる。これが直接民主制だ。
 首相公選制を中心とする三権分立型中央政治機構にあっては、立法府、行政府及び裁判
所の相互間の独立性がより公平に確保される。日本では、従来、一方において戦前のごと
く国会の権威が弱く、ややもすれば行政府に立法・司法が隷属しようとしたり、又戦後の
一時期の如く国会や政党が必要以上に行政府に干渉して政治の秩序を乱した場合が多い。
首相公選制を中心とする三権分立を確保することによって、国会は国会として独立の権威
を発揮し、行政府は行政府としての独立性を回復することができるものと期待される。 

★直接民主制のすすめ
 首相公選の調査は極めて少ないが、日本経済新聞による調査結果がある(1999年9
月20日付け・318人から回答)。これによると、首相の選出方法については「現在の
国会議員による投票でよい」との答えはわずか11%。全体の63.8%の人が「公選制
を採用すべきだ」と回答している。「公選制にすべきではないが何らかの形で現在の選出
方法を変えるべきだ」という意見も加えると、実に全体の84%以上が現状の首相の選出
方法を見直した方がよいと考えている。首相公選を支持する理由で最も多かったのは「よ
り民意が反映される」の52.9%、「首相が与党内の権力闘争に巻き込まれることが少
なくなり、指導力が高まる」とする意見も18.8%あった。
 首相公選論は直接民主制の粋であるが、その直接民主制の効能の一番目は有権者の政治
課題に対する関心が上がるということにある。具体的に言うと、投票率にそれが反映する
ということである。現在の選挙における棄権率は国政選挙においては非常に高い。しか
し、原発誘致反対で揺れた新潟県の巻町では住民投票率88.29%という驚異的参加率を
示した。同様に1996年の沖縄県における住民投票では、投票率は59.5%あり、こ
のうち米軍基地の存続に反対票を入れたのは89%であった。したがって直接民主制は国
民の政治意識を確実に引き上げるということができる。
 議会制民主主義では、選挙民の候補者に対する信頼が土台になっているが、我が国の場
合、既存政党不信の中で平均的な選挙民は、自分らの選んだ代表者の政策執行能力に疑問
を持っている。これは、代表者をフリーハンドで信じられないというレベルまで、選挙民
の能力が向上してきているということではないか。いまだに古い議員には、「国民にわが
ままをいわせていたら法秩序が乱れる、議員はポピュリズム迎合であってはならない」と
いう意識が強い。だが、時代は議員エリートの時代から大きく変わった。議員は、国会に
おいても国民から直接的に退場を命じられる環境に移ってきたといえる。この1年で何人
もの人が国会を去っている。高度情報化社会のなせる業である。
 スイスの場合、国民投票(議会の議決を得た法律を発効させるか否かを問う<国民表決>)
を行うためには、有権者5万人もしくは8州の請求があれば実施できると憲法で定めてい
る。イタリアの場合は、同じく有権者50万人もしくは5州の請求があれば実施できると
同じく憲法で定めている。この5万人、50万人という数を日本の人口の比率どおり、ス
イス×20倍、イタリア×2倍にすると約100万人ということになる。これは日本の有
権者のほぼ1%にあたり、署名活動が必要であればIT登録で1週間も必要ない期間で集
まる水準である。

★直接民主制下における政党の責任とは
 政党の責任は明確な政策を打ち出すことであり、党員・支持者はそれを目安に政治に間
接参加することになるが、「集団的自衛権」「経済」「福祉」「教育」「外交」といった
一般的なことに対しての政策を明示すればよい。選挙民にとって、殆どの政策項目につい
てはA党の政策に賛成できるが、原発、集団的自衛権については賛同できないという話は
当然のことながらありうる。A党を支持したら何が何でもすべて支持するということでは
なく、最大公約数的なものと思えばよい。その意味で議員は選良ではなく、議員バッヂを
つけたからといって特別のエリート視をされる時代ではなくなった。多少給金が良いだけ
の話で、よりハードな仕事をするわけであるからそれは当然のこと。2,30年前と大き
く違う点は、国民から常時監視される時代に入っているということだ。民主党で若い山本
議員というのが、議員を辞職しているが、これなどもそのいい例である。国民は、真の意
味で大きな政策を執行するリーダーを求めているのであって、21世紀型のステーツマン
を求めているのである。金まみれの人間には勤まらない。

★主権在民の本質と国民投票
 近代社会での民主主義の「源泉」は主権在民、すなわち国民主権であり、議会は主権行
使の手段でしかない。したがって、ある案件について国民と、議会の両者の意見が異なっ
たときは、後者が前者に合わせるのが当然の論理である。しかし、我が国では多数党、連
立徒党の論理で議会が国民を無視して事を運ぶ傾向がある。確かに、国民がすべての面で
自らの手で関与する必要はない。しかし、議会が国民の意志(マジョリティーとしての)
をくみ取らない場合はこれを制御し、国民自らが自己の意思を具現化する手段を持たねば
ならない。この手段を国民が持たなかったとしたら、一部の徒党を組んだ与党議員に国民
は服従させられることとなり、民主主義は成り立たない。しかし、国民投票制度があれば
(すべてのことについては不可能だが)重要な案件について、こういった矛盾を避けること
ができる。ここ数年来繰り返されてきた、住専の税金処理に始まって、国民の預金金利の
収奪による銀行への税金の投入、元本を割り込んだゼネコンを自然淘汰さすことのできな
い日本等々、国民主権が担保されていない現状はもはや限界に来ている。したがって、こ
の辺で、選挙民は通常選挙においてはA党に投票し、原発に関する国民投票に際してはA党
と異なった自分の考えに基づいて一票を投ずるという選択肢を残すことによって、国民主
権を担保する新しいシステムを導入する必要がある。
 国民投票制度採用の他の利点は、議会の質の向上、派閥の解消などである。すなわち、
重大な政策の最終的な決定権(国民投票による承認)が、議会から国民に移ると、議会は
いいかげんな法律や筋の通らない法律を安易に作ることが出来なくなる。なぜなら、そう
いった「不良品」は間違いなく国民の拒否によって否定されるからでだ。議会の権力の回
復を真剣に望むのなら、むしろ国民投票制度を導入することでもたらされる効果によっ
て、議会や議員の腐敗を一掃し、国民の信頼を取り戻すことを考えるべきである。市民と
議員の結びつきを再構築するという点で、国民投票には大きな意味があるのである。

★首相公選制を視点に入れた憲法改正の要点試案
 首相公選制度と憲法改正は一対のものであり、すでに、1961年には中曽根試案がで
ている(備考参照)。ここでは、21世紀型の提言として要点試案の形で整理をしてみ
た。
憲法そのものの改正は必要である。仮にどのように優れた憲法であっても、21世紀の試
練に耐えうるものに今の内に変えておく必要がある。

1.先ず現在の議院内閣制を規定する憲法の改正に取り組まなければならない。
2.国家元首は天皇陛下であることを国民投票にかけた上で正式に認知する。
3.憲法第9条など、あいまい条項をも改正させることを考えるべきである。
4.国民投票にかけるレファレンダム条項を網羅的に明記すること。
5.憲法96条にあるように、現状では憲法改正法案が衆参両議院の総議員から3分の2
以上の賛成を得て、その上で、国民投票で過半数の賛成を得なくてはならないことになっ
ている。統制経済の名残のような憲法改正条項を21世紀にひきずるべきではない。
6.国民投票によって、国民自らが選出した首相は、4年間の任期をもち、その間の地位
は保証される。ただし3選を禁止する。                              
7.首相(内閣)に対する不信任案(リコール)発議は国民を代表する国会議員もしくは
100万人以上の有権者の署名で国民投票にかけることができる。これに対して首相は国
会の解散権を持たない。
8.これにより、内閣総辞職以外に、不毛な総選挙という税金の無駄使いをさせない。
9.公選の立候補者に関しては、30人以上の国会議員の推薦または5万人の有権者の推
薦を必要とし、IT投票推薦を妨げない。
10.閣僚と国会議員の位置関係について、今まで通りこの二者の兼職を認めるものの半
数は兼職を認めない(派閥の防止と、国民感覚の醸成のために)。

次号では日本国憲法の斜め読みを扱いたい。

備考:
 首相公選論は、憲法改正論の一形態として、自民党の中曽根康弘衆議院議員によって提
唱された。憲法調査会第60回総会議事録所収の中曽根見解(1961年10月11日)、
吉村正編 首相公選論所収の中曽根康弘『首相公選論の提唱』(1962年弘文堂7頁以
下)によれば、首相公選論の内容は、次の通りである。

1 現代の日本の政治の欠陥は、
a) 派閥政治(政党も国家も派閥本位で動かされ、首相や大臣の公の地位が派閥間の取引き
の材料にされている)、
b) 極端な政争(日本のように政党間の政争が激しい国は、世界の一流国にはない。乱闘や
暴力をさけようとすれば、重要法案や重要条約をひっこめる以外にない。これでは責任政
治が行なえない)、
c) 政権の不安定(一年毎に内閣の改造が行なわれて、首相や大臣が代っている。戦後の大
臣や政務次官の平均任期は、約7カ月である)、にある。
? 以上の欠陥は、イギリスを手本にした現在日本の議院内閣制がゆきづまりをきたしてい
るところにある。すなわち、
a) 国会議員が首相や大臣や政務次官になるので派閥がはびこり、
b) 国会から首相が選出されるので、国会が闘争の場となり、首相の地位が不安定となると
ころにある。
? この欠陥を除く方法は、現在の議院内閣制を廃止し、国会と政府、議員と大臣との直接
の結びつきを切断し、三権分立を明確にして、首相は直接国民投票によって公選して、一
定の任期を与え、解散を廃止し、国会は立法府として法律・条約・予算をつくり、政府を
監督し、政府は執行府として、法律・条約・予算を執行し、裁判所は司法機関として法律
を解釈する、ことにすればよい。

2 首相公選下の中央政治機構の大綱については、次の通りである。
? 内閣首相・内閣副首相は、直接の国民投票に基づき、その過半数を得た者を天皇が任命
する。内閣首相同副首相は、一対となって立候補する。任期は各々四年とし、同じ任期の
衆議院議員の選挙と同時に国民投票を行なう。但し、三選を禁止する。
? 国会は衆議院及び参議院より成る。
? 憲法上の存在として、中央選挙委員会を独立させ、国民投票の実施及び監視、特定の選
挙法規の策定及び管理を行なう。
? 政策の国民投票実施 内閣首相と衆議院(条約については参議院も)との協議手続を経
て、重大政策について、政策中心の国民投票を行なうことを憲法上認める。
? 天皇と内閣首相との関係 天皇は現行法通りの国家の象徴及び国民統合の象徴であり、
天皇の地位に変更はない。

3 内閣首相同副首相国民投票法の要綱については、次の通りである。
? 直前に行なわれた国会議員の総選挙で、一定得票をした政党(または、政治団体)だけ
が、候補者を推薦しうる。
? 候補者は、すべて政党別にまとめて一枚の投票用紙に記載される。
? 選挙人は、投票用紙に記載されてしいる(政党の)一対となっている内閣首相同副首相候
補者の中から、自己の支持する組を選んで○印をつける。
? 投票は、各組別候補ごとに集計する。同一政党に属する候補者への投票は、一括してそ
の政党の得票とする。
? 前記の集計の結果、最多得票した政党の最多得票者が、内閣首相同副首相当選者とな
る。

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首相公選制(1)

首相公選制(1)

 新年早々色々なことが起きている。公金をチョロまかす小人と連帯責任であるはずの内
閣官房、外務省の鼻持ちならぬ秘密性、幼児子供の虐待、凍り付く経済、殺伐とした自己
保身主義の蔓延現象。社会事件の背景にある動機や原因の多くの根底には、衣食遊に満ち
足りた民族の生き様が極めて不健康な状態であることを辛辣に表象している。こういうと
きは、どのような社会的立場におられる人であっても、冷静に、右顧左眄することなく正
義に背くことのない信念を持った行動をとることが何ごとにおいても大切になる。
 首相公選制の導入については、従来の議院内閣制による議会制民主主義の有り様が限界
を迎え末期現象にあると思われる現在、時期は別として今世紀最初の10年の間に大いに
議論が起こり実施に向けて動き出すものと考えられる。
★首相公選制待望論の背景
 国民の半数以上が選挙にいかないということは、国に魅力のある指標なり目標がないか
らであり、国民のエネルギーが鬱屈した形で消費されているからだ。池田内閣の所得倍増
計画、田中内閣当時の日本列島改造計画などは、国民に対して明確なメッセージがあった
ればこそ、経済の拡大が計られ、また歴史的な評価もされたといえる。首相公選制は、参
政権意識の拡大と政治意識の変革をもたらす一つの切り札として、早急な導入を国民的議
論とともに実施に向け、具体的スケジュールを立てる時にきていると考えられる。
 現行の、国会で衆議院議員の中から総理大臣を選ぶという議院内閣制では、国民が間接的
に選んだ議員の会する立法府の中から多数派を占めた党派が行政府を形づくる。また、か
つて、何ごとにおいても対立軸を好まない国民性のおかげもあって、自民党長期政権は政
官業の癒着した複合的利権構造を造るに至った。国民が全般的に保守的であり、ものがな
い時代に我慢を教えられた時代背景にあってはそれを通すことができた。しかし長期単独
政権の下で病巣が拡大し、収賄、贈賄汚職、組織的かつ構造的な腐敗、インモラル、精神
病、自己矛盾、自己中弊害等が噴出して、国民の政治、行政に対する不信は極限に達してい
る。このようなときこそ、立法、行政、司法の三権分立を明確にし、少なくとも行政が国民に
背を向けたままでなく、国民に奉仕する立場を理解させるために、癒着構造にある議院内閣
制を廃止して、国民が直接投票する首相公選の制度を導入するという考えが意味を持ってく
る。
★選良(エリート)の監視という視点から
 国家公務員には、明治以来の形骸化した選良意識を根底に、未だに国民を「管理する」
という考えがある。これが考え方の原点である。なぜそうなるかというと、現在の国家公
務員法の下では、公務員に停年というものがないという点に象徴的に現れている。つまり
いったん就職したら、一生そこで生活ができる仕組みになっているのである。地方公務員
も同様である。現に中学高校教員の実に1割に相当する人員は何の仕事もしていないノイ
ローゼ症候群のいってみれば病人だ。生徒もおかしい先生もおかしいという世界は、そも
そも、職場の仕組みにある。世間の常識では、「働かざるもの(成果のないもの)、食う
べからず」である。本来、公務員の行うべき仕事の方向付けをするのが職業政治家のはず
だが、政治家のレベルが低いことと、リーダーシップに欠けることから、一生安定した仕
事である公務員の悪知恵にはかなわないということがある。つい最近の外務省役人による
公金横領事件、それも7年にもわたる長期ときては、政治家は完全に舐められているか一
蓮托生としかいいようがないのでなかろうか。そもそも仕組みが悪ければ、何年経って
も、何十年たっても過ちは繰り返される。
 行政の仕組みがうまくいっている国は多い。たとえば、今回、アメリカでは、クリント
ン氏からブッシュ氏への政権移行があったが、ホワイトハウス関連の8,000人強の職
員は民主党政権から共和党政権への移行に伴い、全職員が入れ替わったのである。それが
近代国家というものであろう。日本のように内閣の職員は政権が変わっても失職しないと
いうシステムとは違う。つまり、本来の公務員という仕事はそれだけ、ハードな仕事(厳
しい仕事)なのである。ぬるま湯に使った世界では、何も建設的なことはできないし、な
あなあの談合路線で行き着く先は国の崩壊である。そのようなわけで、首相公選制論議が
でてくる。
★システムそのものを巡ってのディベート論
 首相公選制と大統領制の違いは形式上、立憲君主制のもとにおける民主制か、大統領制
のもとにおける民主制かといった程度の差はあるが、基本的に民意を直接反映させるとい
う点で共通している。また、どちらも憲法改正の作業を伴う。
 現状、地方自治は知事を直接選挙でそれぞれの自治体住民が選出するから、住民の民意
は反映されているといえる。その地方分権型の自治政治の行方には、「連邦」の夢と希望
の結実を賭した新生日本をいかに創り上げるかという目標がある。この新生日本を創造す
るための象徴的手法の一つが国民投票による首相公選制もしくは大統領制である。
 このシステムを巡っての賛成反対意見の論点を紹介すると、
1)メディオクラシー論(反対意見) 
 メディオクラシーを引き起こす可能性がある。つまり、世論が、すべての問題を決定す
ることがきるし、また決定を下すだろうという考え方は一見きわめて民主的にみえるが、
実際は民主政治を破壊するものである。市民はマスメディアからの情報に頼っており、メ
ディアは市民をコントロールできるようになる。これをメディオクラシーという。政治家
は、政策について一般の選挙民より少しでも優れた見識をもっているから選ばれるのであ
り、自らの見識を選挙民に問い、選挙民の判断を仰ぐのである、という考え方。
 確かに選挙民は、個別の政策について、ましてや諸政策の連関について分析したり判別
したりする能力に不足している。しかし、代表者の人格や識見や経験についておおまかな
審判を下すことくらいの能力は選挙民にも備わっている。また、残念ながら代議政治にも
衆愚政治に陥る危険性はあり、選挙で選出された議員が議会に提出される案件のすべて、
たとえば予算案などを完全に理解しているわけでもない。
2)マスコミ無責任論(反対意見) 
 発達したメディアを活用するマスコミは、国会に先行しはじめた「第四の権力者」であ
る。マスコミはその商業的な性格から保守的な内容を嫌い、常に大衆を煽り、無知な大衆
は、言われるままに鵜呑みにする。この国が金持ちだと思わせ、財テクブームを巻き起こ
したのも蹴ちらしたのも、マスコミに負うところがかなりある。つまりマスコミ無責任論
である。マスコミの誘導に民意は影響を受けやすい。有力なマスコミが協力して誘導-と
きには扇動-すれば、民意は比較的たやすくそれに乗ってくる傾向がある。これも、民意
が持つ特性の一つだ、といわなければならない。
 この考え方は一面の真理をついてはいるが、インターネット時代になると、one t
o oneの、しかも個人あるいはグループの情報発信が質さえよければ、マスコミより
も大きな力となる場合もある(たとえば長野知事選ではitの役割が大きかったといわれ
ている。)
3)コスト膨大論(反対意見)
 直接民主制の欠陥としては、直接民主制そのものがはらみつつある費用面の欠陥がある
といわれる。国民投票などの公的費用はともかくとして、国民投票のキャンペーンに費用
がかかり過ぎることである。その結果、巨大な金力を要し、キャンペーンが拡大される
と、財力のない政党は、キャンペーンから身を引くことを余儀なくされるが、経済団体に
依存するようになる。現在でも、政党助成金という形で国庫の資金が使われており、これ
がお幅に増えるという風に自動的に考える必要もないものと思われる。徳政令で1社あた
り何千億円もの預金利息を国民の了解なしに振り替えることがまかり通る時代から考えれ
ば、コストといってもしれた話である。
4)政治の民意非反映論(賛成意見)
 そもそも、間接民主制(議院制民主主義)というものは、代表者(議員)が有権者から
信頼されていることを大前提として成り立つもの。ところが昨今、国会の中では「住専」
「原発」「消費税」など、国の重要課題の施策決定について、国民の意志をまったく無視
する議員、いともたやすく公約をやぶる議員が増殖するばかり。国民がこういった連中
を、そして彼らが巣食う機関を信用しない。内容の供わない「間接民主制」を認めない。
有権者が国会を見る目は厳しく、86%が不満を訴えている。住専金融専門会社(住専)問
題への巨額の税金投入に反対87%、消費税率5%引き上げに反対76%など、多くの人
が異議を唱えているが、その声は国会に届かない。民意と国会の落差、有権者の国会不信
が表れた結果である。この論点が賛成論でもっとも共感点の多いところである。
5)教育水準論(賛成意見) 
 20世紀初頭の欧米社会と、現在の日本社会とを比較した場合、国民の教育水準は確実
に向上し、あわせて、世界と自国について国民が得ている情報量は以前と比べて圧倒的に
多くなっている。また、いくぶん甘いところはあるものの、人権や平和への意識もある程
度は培ってきた。日本国民の「民度」は、現在、直接選挙による国民投票制度を多用して
いる世界各国の人々と比べて遜色はないと考える論。具体例として1996年8月4日に
行われた新潟県巻町の原発設置の可否の住民投票は次の点で大きな意味を残した。88.
92%という投票率は前年1995年の参議院選の44.52%のずばり倍という象徴的
な数値で、間接民主制の国政選挙を忌避した国民が直接民主制の住民投票に圧倒的な参加
の意志を表明したといえる。首相公選制は、大衆のエモーションを利用した扇動政治家の
出現を招きやすいという論は、些か形骸化した論となってきている。
6)コスモロジー論(賛成意見) 
 人々は自己の個人的な損得だけではなく、自国の利害、地球・人類全体の利害をも考慮
して判断を下す人間であることを求められる。それは、ときとして同胞への責任であった
り、他国の人々への責任であったりもするだろう。いずれにしても、自分で考え、自分で
決め、自分で責任をとるという行為は、自由で独立した人間のあるべき姿だと考える。そ
して、国民投票はその意思表示のための最良の手段となる。このレベルまでくれば、本物
だ。
以下次号:

備考:
*国民投票制度:憲法改正、法律の制定などの重要案件を国民に直接問う制度。日本で
は、(1)憲法改正の国民投票(2)最高裁判所裁判官の国民審査(3)地方特別法制定の住民
投票、が憲法に定められているが、一般的な政策の是非を問う制度はない。
*首相公選法案提出の条件:国会に法案を提出するには、衆議院議員50名(参議院20
名)以上の賛成と、予算書を提出しなければならない。
*包括的国民投票システム案
a)条件
1、国会の議決については、議決後2ヶ月以内に100万票の署名が集められた場合、国
  民投票を実施します。
2、国民からの発議については、申請から2ヶ月以内に100万票の署名が集められた場
  合、国民投票を実施します。
b)期日
署名が集められた後、約1ヶ月後に国民投票を実施します。
c)可決
投票数の過半数をもって可決とします。
d)法的効力
国民投票の結果は法的な拘束力を有します。
e)実行方法 
選挙管理委員会の管理のもと、衆議院選挙の場合と同じく全国で同一日に選挙を行いま
す。
f)費用
国民投票に必要な費用は国家予算で負担します。
g)その他必要な微調整はそのつど行われます。

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ソフトランディング?

ソフトランディング?

◆源泉分離課税
 景気下支えを目指した総事業費十一兆円にのぼる政府の経済対策の決定を翌日に控えた
11月18日、自民党の亀井静香政調会長は、党本部に財務省の主税局幹部を呼び付けて
一喝した。「何を勝手に動き回っているんだ!」
 亀井氏は前日、森喜朗首相、自民党税調の武藤嘉文会長と、住宅ローン減税の拡充、相
続税減税とともに、個人投資家の株式譲渡益課税について源泉方式の存続を盛り込むこと
で合意している。これを伝え聞いた主税局幹部は、武藤会長以外の自民党税調幹部に、経
済対策に具体的な税制改正項目を書き込むことは避けるように働きかけた。結局、自民党
税調は政調側に慎重な対応を求め、経済対策が抽象的な表現にとどまったことで、亀井氏
は怒りを爆発させたのだ。
 個人投資家の株式譲渡益課税は、本年4月には、株式売却額の一定割合を売買益と見な
して所得税をかける源泉分離方式と、実際の売却益に課税する申告分離方式の選択制が廃
止され、申告方式に一本化される予定だった。
 しかし、投資家に有利な源泉方式の存続を強く求める証券業界の意向や景気回復にダメ
ージが大きいとの観点から、昨年12月7日に、森首相は亀井氏や武藤氏らに対し、税制
改正作業を求め、早期に結論をまとめるように指示をした。
 これによって、経済対策で後退した源泉方式問題は、自民党税調での税制改正論議が本
格化する前に、存続させるという流れが固まった。
 個人投資家の市場離れを懸念する証券業界による攻勢、景気回復を最優先に課税方式の
変更が株式市場に影響を与えることを避けたい与党の思惑の前に、強硬に反対している財
務省の抵抗は封じられた。
 12月2日には、金融庁が譲渡益課税をめぐる源泉方式と申告方式の選択制を当面維持
するように求める税制改正要望を発表した。これは、事前に自民党税調側に伝えられ、了
承を得ていたものだ。
 金融庁の税制改正要望によると、取引ごとに課税方式を選べる現行制度は見直し、あら
かじめ源泉か申告かの課税方式を選び、年間を通じて変更を認めない「年間選択(事前選
択制」の導入を求めている。
 「売却益があれば源泉、売却損が出た場合は申告を選べるという現在の仕組みは、世界
でも類をみない投資家優遇」(財務省幹部)とする批判にこたえたものだが、その一方
で、年間選択制の導入と合わせて、申告方式の税率を現行の26%(うち住民税6%)か
ら20%(同5%)に引き下げることも求めている。源泉方式で20%課税される預貯金
の利子と株式譲渡益の申告方式の税率を並べることで、株式投資に過重な税負担がかかる
のを避けるのが狙いだ。
 この案に対し、財務省側は、いつでも売却できる株式と預入期間が決まっている預貯金
を同列には論じられない、などといっているそうだが、これは金融庁の方が正しい。同じ
短期当座資産であれば当然のこと。日本証券業協会などは、源泉方式の存続期間について
「総合課税が導入されるまで残すべきだ」という主張であるが、これはこれで大人の論理
だ。証券業界は、納税者番号制の導入が難しい事情をわかったうえで、総合課税化まで源
泉方式を存続させることを求めているからである。
 他方、金融商品からの所得や給与所得など、全所得を通算して一律に課税する総合課税
の導入は、自営業者らの課税逃れを封じることにも有効とされ、財務省の悲願だが、総合
課税を導入するには、個人ひとりひとりの全所得を把握できる納税者番号制を設ける必要
がある。だが、納番制には「国民総背番号」につながるとの批判が強く、導入は容易では
ない。(というより、総背番号制はさけるべき問題である。人間を番号で管理をしてはな
らない。役人の発想の原点には「国民を管理する」という妄想があるので要注意だ。)
◆株価と日本の進路
 日本の株価は、低迷のまま年末を迎えた。株価を大きく左右する米国経済の減速懸念や
金融機関などの持ち合い株解消売りなどは本年1-2月に向けてさらに加速するとして、
市場では「3月危機説」がしきりに唱えられている。その一方で、3月危機は“序章”に
過ぎず、「本当のどん底は夏以降にやってくる」と警告する声も上がっている。平均株価
は昨年末にバブル崩壊後の最安値となる1万2500円台まで下落するなど、株・円・債
券のトリプル安が日本を襲い、いよいよ、ゼネコン・流通などは銀行からの借金を銀行の
債権放棄で特別利益に処理することができなければ大型倒産が避けられない状況になって
きた。
 そもそも昨年末の株価はなぜ下がったのか。4月の銘柄入れ替えやIT(情報技術)バ
ブルの崩壊、米株安に伴う外国人投資家の日本株売り、銀行の持ち合い解消売りなどがあ
るが、最大の要因はバブル崩壊後の政治と政策不在の問題。外国人投資家から見ると、日
本の政治の決定権がどこにあるのかまったく理解できない。これが外国人が投資に慎重な
理由の一つ。つまり自民党政権が、外国人売りや円安といった“日本売り”を招いている
のである。困ったことは、自民党政権に代わって野党が政権を担当すればそれでよいのか
ということだ。基本的な仕組みを変えないことには、政権のたらい回しと、政情不安が増
幅するだけで何にもならない。基本的には憲法改正と国の行政機関の長の選出法の仕組み
を変える具体的な手だてまで行き着かないと、この問題は解決しない。
 金融機関の持ち合い株解消売りも、今年の1月から2月がピークとなるといわれてい
る。また、日本の株式市場を大きく左右する米国経済も、昨今のナスダック(店頭市場)
総合指数の下落が示すように、減速が懸念されている。こうした要因が株価を急落させ、
多額の不良債権処理が進まないまま、こらえきれなくなった企業の大規模倒産につながっ
ていくというのが「3月危機」説の主な根拠になっている。
 一方で、米連邦準備制度理事会(FRB)のグリーンスパン議長が、本年1月の連邦公
開市場委員会(FOMC)で利下げに踏み切ったことから、米国株が再び上昇基調を取る
との見方もある。国内でも好調な業績の企業も多く、「1万6000円台を目指す」(準
大手証券)との楽観論もある。だが、そんなに甘いものではないだろう。
 4-6月は米経済が減速する影響を受けて下落、円安で輸出ドライブがかかるものの、
米国経済が昨年の活況とうって代わってソフトランディング路線だ。新ブッシュ政権が共
和党をバックにしているものの、大統領選の極めてクロースな(きわどい)勝ち方を見て
も、慎重な国外政策になる。したがって、仮に米国経済が実体経済の急降下でドルの信認
が低下となれば、実体経済の更に悪い日本株は敬遠され下落を続けるというシナリオにな
る。ただ、将来の日本経済の再生のためにはどうしても通らなければならない関門点では
ある。
 また、金融機関の2002年のペイオフ解禁だが、地銀や第二地の銀、信用組合など中
小金融機関の預金が大手都銀や郵便貯金に移動し始める、という一部評論家的発想がある
が現実は逆になることもある。なぜなら、この数年間の超低金利で国民の預金、中小企業
の預金は金利の少しでも高い地銀や第二地銀、信用組合などにシフトしていくことが考え
られる。金利以外の小口融資を巡る対応の違いからも、そういった現象が赤裸々に起きて
くるのではないか。消費者は決して無口ではなくなってくるのが21世紀型の傾向である
からだ。つまり、大手、中小の垣根の差が低くなってくるのが特徴だ。
 銀行にとって預金は負債勘定であるから、何らかのきっかけでいったん株価が下落する
と、含み損が発生する。大手各行は、BIS規制(自己資本比率)を維持するため、企業
への融資を更に絞ってくることが予想される。そうなると、ゼネコンや流通など巨額の有
利子負債を抱えた企業への債権放棄にも応じることができなくなる。公的資金の注入も年
度末の3月でストップされる中、不良債権と含み損を抱えた金融機関の再度の淘汰・再編
に発展することが必定である。
 今年の経営者の発想は、何よりも発想の転換、逆説を行く、という心構えが大切とな
る。株価の低迷も、実体経済の悪さからやむを得ないことと割り切り、将来の変化を誘う
姿勢で、政権交代をあえて誘導する、バラマキをやめて小さな政府に移行さすためのあら
ゆる抵抗をする、それを7月の参議院選に向けて押し進めたらどうだろうか。自民党が政
権を放棄した場合、株価は一直線に急騰する、というくらいの千里眼発想を持った経営マ
インドが望まれる。自民党はもはや日本を代表する良識の党ではなくなっている。我が党
こそが国民主権党であるといえるものがなく、官僚組織との結合度の最も高い党であるか
らである。したがって今年は、日本にとって森首相がよく使う言葉の「正念場の年」とな
る。
来週以降は、少し、首相公選制について書き進めてみたい。
備考:
<株式譲渡益課税> 現行の税制では、個人投資家が株式売買で得た株式譲渡益は、他の
所得と切り離し、取引ごとに源泉分離課税と申告分離課税を選択する。源泉方式は株式売
却額の5.25%をみなし利益とし、その20%(売却額の1.05%になる)を証券会
社が源泉徴収(天引き)して、所得税の納税を代行する。一方の申告分離方式は、投資家
自らが年間を通じた株式売買の損益を差し引きし、確定申告で税務署に納税する。税率は
26%。利益が大きければ源泉方式の方が投資家に有利とされるほか、匿名性も保持され
るため、個人投資家の約7割が源泉方式を選んでいるとされる

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ハードランデイングかソフトランディングか

ハードランデイングかソフトランディングか
       1年間で国も民間も20兆円を超える負債額。
 
 あと7日で21世紀に突入する。2001年は個人一人ひとりにとっても、波瀾万丈の
年の幕開けだ。20世紀は物質的成長の世紀であった。21世紀は必ずしも物質経済の成
長が国富の尺度とならない、質的再生産期ともいうべき世紀を追求するのではないだろう
か。それとも、依然としてラビットハウスから出勤を繰り返す無辜の民を続けるのであろ
うか。
 少子高齢化の一層の進展とともに、既に破綻しているともいえる国ならびに自治体の財
政は民主主義がアンコントローラブルな事態に至っているために、更に悪化の道をたどっ
ていくという循環が続いている。税収が上がらないところに、公的セクターの利権に基づ
いての前年横並びの予算を組み続けるからである。
 2001年度の予算が閣議決定されたが、2002年4月の銀行のペイオフ導入をはじ
めとした経済の新体系にソフトランディングさせるための予算編成、という位置づけは解
るが、あまり新鮮味のある予算編成とはいいがたい。現下の市場が一層の厳しさを見せ、
一歩先に進んだときには、全てのシナリオは根本から見直さなければならない。そのリス
クが一層高まってきているものと言える。
 経済停滞の最大の理由は需給ギャップの存在だ。箱もの、道路を利用度と無関係に作り
続け、税金の無駄使いを続ける。景気の回復のためのカンフル剤ということで、使いもし
ない高速道路をだらだらと作り続ける。いささか時代錯誤としかいいようがない。そこま
でやったとしても21世紀に起きるであろうゼネコンの倒産は政府の政策が無策であった
ということの象徴的事例となるのではなかろうか。株価の下落とともに銀行が不良債権の
処理引き当てに力を失った結果、そうなることが大きな蓋然性をもつてきた。

 ★民間の負債額
 2000年倒産の特徴は、負債件数規模が膨大ということだ。11月末までに倒産件数
は17,521件に達していることから、98年の年間19,171件を超えて戦後2番
目の記録を塗り替えることになる。また金額では、11月末までに23兆1,555億
2,900万円に達したため、これまで史上最悪だった98年の年間14兆3812億2
400万円を9-10兆円以上も上回わる、年間で24-5兆円にも達する額となる。銀
行が不良債権の処理を年間にこなせるぎりぎりのラインにきているが、来年度も倒産のス
ピードは落ちることがない。不良債権急増と株価急落で、再び、年末年始は、金融不安が
頭をもたげてきても不思議ではない。すでに株価の1万3000円台への下落で、銀行の
自己資本は大きく割れてきており、熊谷組等の4500億円に上る不良債権を法的手続き
に持ち込めないのは、メーンバンク自身の体力の限界ということとモラルハザードをまね
く徳政令発動への負い目があるからである。株価の動きとしては、一旦13,000円台
に叩き込まれた後、夏場にかけて16,000をはさんた持ち合い的上昇トレンドをたど
れるならば、債権の処理は順調に予定どおり行えるかも知れない。だが、上昇トレンドの
根拠があるかというと、どうも積極的要因はないというのが現状だ。そういう意味で来年
は相当危ない年になるのではないだろうか。
 ちなみに、バブルが崩壊し始めた91年から、北海道拓殖銀行、山一証券、長銀、日債
銀が破綻した97年、98年までの倒産の負債総額は約73兆円に達する。その後、99
年と2000年10月までに負債は35兆5000億円発生した。91年からの合計は約
110兆円になる。97年から負債10兆円超が3年続いた後に、負債20兆円時代がや
ってきた。来年はトレンドからいえば、年間30兆円を超えるかも知れない。GDPの
5.8%にも相当する、未体験ゾーンへの突入だ。ゼネコン、金融、流通大手ダイエーな
ど多くの危惧される企業が控えている。個人消費の低迷長期化、公共投資の減少、個人、
会社資産の下落、銀行貸出残高の減少などに加え、パソコンITブームの一巡と対米輸出
頭打ちの兆しなど、一段の環境悪化が懸念されている。
 株価が12,000円台に仮に突入するとしたら、4,500億円の債権放棄を要請し
ている熊谷組のシナリオは完全に崩れることになる。株価が14,000円台を回復した
としても、16,000円以上にならなければ、不良債権の処理は実質的に不可能だ。も
ともと市場経済においては、計画経済のように無理な動きをとらない方が、淘汰されるも
のは淘汰され、あたらしいい芽が生まれていくものであり、私企業の破綻は国の崩壊を意
味しない。むしろ、新しい方向に労働人口を誘導するという点において合理性を持ってい
るものである。

 ★国の負債額
 1990年代に政府が相次いで打ち出した経済対策の事業規模は120兆円を超えたに
もかかわらず景気回復の足取りは重く、将来の成長基盤も残せずにいる。この間に財政事
情は急速に悪化し、国債発行残高は91年度末の172兆円から2001年度末には38
9兆円に拡大する見込みとなった。これは7年分以上の国税収入に相当する。国・地方を
合わせた政府債務残高(借入金を含む)は来年度末時点で666兆円と国内総生産(GD
P)の128.5%に達する見込み。債券市場では需給悪化懸念がくすぶり続けており、
国債発行は綱渡りを迫られそうだ。この間、既述のように民間では倒産の負債総額は11
0兆円に上っている。国が10年間に120兆円つぎ込んでも、この国の民間は110兆
の負債を出している。つまり10年の長いスパンで見ても、この国の経済対策なるもの
は、結果的に我田引水型の実効性のないものであることがわかる。
 来年度予算の大蔵原案は、そうした「大きな政府」の清算を意識したものになったとい
われているが、新規発行国債も28兆円を超えた巨額のものになってしまっている。コメ
ントをするにも恐ろしい額である。政府の意図と理屈は解るが、この予算案から引き出さ
れてくる政策を国民は納得することはなく、夏に向けての政変に一直線に進むことになる
ものと思われる。

参考:
一般会計・財政投融資計画(大蔵原案) 2000年度当初比 
一般会計   82兆6524億円 2.7%減(7.9%減) 
歳入
税収入    50兆7270億円 4.2%増(1.7%増) 
その他収入   3兆6074億円 3.0%減 
国債     28兆3180億円 13.2%減(18.2%減) 
----------------------------------
歳出
一般歳出   48兆6589億円 1.2%増(7.3%減) 
国債費    17兆1705億円 21.8%減  
地方交付税
交付金など  16兆8230億円 12.7%増 
----------------------------------
財政投融資計画32兆5430億円 15.0%減 
(注)カッコ内は2000年度補正後予算比 
 
一般会計歳入歳出概算(単位百万円、%、▲は減) 
区分      2001年度概算額  2000年度当初予算額  伸び率 
(歳 入) 
租税・印紙収入   50,727,000 48,659,000 4.2 
その他収入      3,607,379  3,718,053 ▲3.0 
公債金       28,318,000 32,610,000 ▲13.2 
合   計     82,652,379 84,987,053 ▲2.7 
(歳 出) 
▽社会保障関係費  17,553,134 16,766,593 4.7 
▽文教及び科学振興費 6,613,361  6,528,546 1.3 
▽国債費      17,170,534 21,965,341 ▲21.8 
▽恩給関係費     1,355,058  1,425,594 ▲4.9 
▽地方交付税交付金等16,822,965 14,930,360 12.7 
▽防衛関係費     4,955,020  4,935,801 0.4 
▽公共事業関係費   9,435,202  9,434,003 0.0 
▽経済協力費       954,664    984,153 ▲3.0 
▽中小企業対策費     193,461    194,328 ▲0.4 
▽エネルギー対策費    612,568    635,194 ▲3.6 
▽主要食糧関係費     685,809    685,256 0.1 
▽産投会計繰り入れ    153,716    159,533 ▲3.6 
▽その他の事項経費  5,446,887  5,492,351 ▲0.8 
▽公共事業等予備費    300,000    500,000 ▲40.0 
▽予備費         350,000    350,000 0.0 
▽調整財源         50,000 ― ― 
合   計     82,652,379 84,987,053 ▲2.7

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政局になるかニッポン

政局になるかニッポン
 
◆7年ぶりの政局になるか
 高度経済成長後の長い停滞社会で更なる経済発展が望めるのか、今の日本経済はその見
通しと目標の設定を巡って正確な判断ができるかどうかの瀬戸際にある。650兆円から
の負債を抱えたまま、構造改革に手をつけられない政権、これに国民の大多数ははがゆい
思いをしている。しかし、そこに日本の政治の野党勢力の弱体ぶりが影を落として国民の
活力を削ぎ続ける悪循環がある。
 1973年の細川政権の誕生した頃は国民の表情も明るかった。だが、このところの加
藤政局の動きに、国民の関心はあるものの、政局仕掛け人のレセプター能力(包摂能力)
と、国民一般の理解力の低下が邪魔をしている。国民の関心は、行政の構造改革にあるの
であって、目先の景気ではない。そのことがわかっている清新でパワフルなリーダーの登
場が実に望まれる。
 内閣不信任決議案への対応を巡って分裂含みの情勢となっている自民党内の抗争は11
月18日、対立が一段と激化した。主流派は18日夜に都内のホテルで派閥会長クラスの
会合を開き、加藤、山崎両氏への離党勧告を了承した。一方、加藤氏は「離党はしない。
自民党に残って改革のきっかけをつくる」と、重ねてわかりにくい論旨を強調している。
 また、加藤氏は19日午前のテレビ朝日の報道番組で、野党が森内閣に対する内閣不信
任決議案を提出した場合の対応について、「森首相が退陣することが確約されれば、不信
任案に同調することはない」とも述べた。一方、野中幹事長は同番組で、森首相の進退に
ついて、「首相としてやるべきことは、きちんとやらせて、そして、(首相が)自ら身辺
をきれいにするということは、考えなければならない。(首相の退陣の可能性は)ある」
と述べ、首相の早期退陣の可能性に言及した。また、野中氏は自民党総裁選の実施につい
て、「総裁選を前倒しすることは手続きとしては可能だ」とも述べた。
 前日に森内閣不信任決議案への対応をめぐり、野中幹事長は、不信任案賛成を表明して
いる加藤紘一・元幹事長と山崎拓・元政調会長に離党を勧告する旨の内容証明文書を発送
しておきながらである。そして、党執行部は、両氏が応じなければ20日に予定されてい
る衆院本会議採決前にも除名する構えである。
 この19日のやりとりは、多分に、司会者の田原氏のつっこみによる誘導発言であり、
現実味があるものとは思われないが、国民の目から見ると、双方ともに焦点ぼけの議論を
露呈する印象を与えているといえる。
 主流派の橋本、森、江藤・亀井、旧河本の4派と河野グループは18日、東京都内で派
閥会長や事務総長の会議を断続的に開き、加藤、山崎両氏への離党勧告や造反者の公認取
り消しの方針を決めるとともに、不信任案否決に全力を挙げ、可決の場合も内閣総辞職は
せず、首相に衆院解散・総選挙を求める方針を確認した。ただこれは、不信任可決派への
圧力の行使のためであり、実際には不信任可決の場合、野党側は総選挙を求めることにな
るので、主流派の主戦論はあまり意味を持たない。問題は、可決後に加藤、山崎両派が党
内第2自民党で戦うなどという分かりにくさとなったら、流れは加藤政局から野党政局へ
と変わっていくことになる。その意味で、今回の政変が大きな変化の時にあることは間違
いないのだが、細川政権の二の舞はやってほしくない。
 加藤氏は18日の同派在京議員の集まりで「今後2年間、自民党内に『加藤自民党』と
『森自民党』が並存する」と語るなど、離党はあり得ないことを強調している。加藤氏は
ことある度に、今回の政局で「我々は離党はしない。自分たちがやっていることが党を救
う行動だと思っている。除名は党規委員会で全会一致で決めることになっている」と語っ
ている。加藤氏は、賛成・欠席者が増えれば除名処分は不可能とみており、解散・総選挙
の可能性も否定。主流派の揺さぶりをかわしつつ、派内の動揺を抑えるための派内向きの
発信を繰り返しているのだが、これが国民にはわかりにくい。その頂点が、19日朝の発
言である。したがって、内閣不信任決議案可決―内閣総辞職―首相指名投票という流れに
なった場合、4野党が一致して自民党の加藤紘一を推すことになれば「加藤首相」誕生の
可能性が浮上するが、18日、国会内で開かれた野党党首会談では、不信任案が可決した
場合の対応は「必要に応じて協議する」ことになっており、事態は流動的である。
 憲法では、不信任案が可決された場合、内閣は10日以内に総辞職するか、衆院を解散
しなければならない。衆院選は解散後、40日以内に行われることから、与党内では「1
2月24日クリスマスイブ投票説」などが取りざたされている。
 今のところ、野党4党は18日の党首会談で、20日に共同提出する内閣不信任決議案の
可決に向けて結束を確認し、不信任案が可決された場合は衆院解散・総選挙を求めること
で一致している。ただ、後継首相を選ぶ首相指名選挙で加藤氏に投票するかどうかに関し
ては、不信任案可決後に改めて党首会談を開いて調整することになる。 

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行政が税金を食べ続けている

行政が税金を食べ続けている

負債額50億円以上の大型倒産が猛烈な勢いで増え続けている。日銀短観の発表では、
依然として景気は足踏み状態、2001年以降の企業経営は大変である。
基幹産業である車の販売が、バブルピーク水準の70%以下にもなり、24兆円という
車販売マーケットは縮小を続けている。これに対して、IT関連通信の売り上げが増え続
けている。5年後には車の販売額を超えるという予測もある。だから、皆、IT、ITと
騒いでいる。だが、対岸のアメリカでは、景気が来年、はっきりと減速期にはいる。米国
経済と深くリンクした日本はどうなるのか。みんなで、落ち着いてよく考えてみる必要が
ある。
国内生産の民間消費が伸びない中で、IT、電気等の特定分野の設備投資は順調であ
る。しかし、なんといってもGDPで一番大きな比重を占めるのが民間消費であるから、
この分野の状況を正確に把握していないと対応がおかしなことになる。
日本の景気の動向を左右する大都市圏勤労者人口の大半は、狭いラビットハウスを朝早
く出発して、電車にもまれ、職場について夜遅くまで働き、週末にお金を使って遊びに出
ていくのは、若いパラサイトシングル達だけである。こういった中で、家計消費の低迷が
続くのは当たり前のことで、有効にお金を使う分野がなくなってきているというのが現状
である。
2台目のレク車を購入したいといっても、税金は高いし、2台分駐車するスペースは今
の都市圏での住宅事情を考えると存在しない。そのような中で、携帯通信市場という、文
字通り軽薄で短小な消費市場が大きく広がったとしても、通信自身はものを生産するもの
ではない。物として後に残るものでないが故に、バーチャル的非現実空間の拡大を図って
くれたとしても、刹那的な泡のようなものであり、あまり人間の創造力を高めるものとも
言えず、こういう手段自身に人間が一所懸命になるのは感心しない。
持続的に人間が創造力を持って動ける分野には、文化、教養、芸術など独創性の濃い分
野があり、こういった方面への人間の執着は黙っていても進むものであるからほうってお
けばよい。だが、ほうってはならない分野がある。それが、公的分野、中でも特殊法人の
ありよう、それと陳腐な住宅土地政策がある。住宅ローン減税などというのは小手先論で
あって、本筋ではない。

★税金を食い続ける特殊法人
最近の新聞報道によると、採算の見込みのない事業を抱える特殊法人の中で日本道路公
団は23兆円に達する有利子負債が2021年度には34兆円に膨らむとのこと。その中
で赤字必至の未事業化区間が1,325キロメートルもあるそうだ。冗談じゃないといい
たい。関西国際空港会社は1期工事すら収支割れなのに2期工事が進行中。本州四国連絡
橋公団は料金収入で借入金の利払い費すら賄えない状況とか。
1990年以降の政治的空間期に特に無責任主義がひどくなってきている。無責任な官
僚主義が跋扈し、物言わぬ国民が現在のこの事態を招いている。世の中の青少年が暴れ、
児童虐待が増え続け、政治家も信頼を裏切る行為を繰り返すなど日常茶飯事化するのは当
然のことだ。
静岡県でも、2006年開港予定の静岡空港を約1200億円の費用をかけて建設中で
ある。佐賀空港同様、採算割れの赤字路線となることが目に見えているのにこれをストッ
プできないとしたら、県民の恥であると言える。西に名古屋空港があり、東に羽田空港が
ありという状況の中で、県の空港建設室の官僚が起案した、静岡国際空港をめざすという
考えは多分に我田引水的であり、県知事の見識、力量を問われると言う意味で鼎の軽重が
問われているといってもよい。
最近、小さな政府論が後退したせいか、中央、地方行政の官僚の力が増してきているの
は危険な兆候である。彼らの組織の中で、利権の絡む建設、公共、公益事業関連の部署
は、基本的に国、自治体のことを考えてものごとを最終判断することはない。いかに税金
を食うか、消化するかであり、事業の採算性についての講釈は都合のよいデータの並び替
えであたかもマジックのように議会を納得させる。官僚とはそういうものである。したが
って、国民、住民に課せられた責任は、長野の田中知事を送り込んだときのように、民主
サイドの知事を住民は送り込み、自治体の予算、人事を掌握していくことを行わなければ
ならない。一方、国政においては、今一度、政権を交代せしめ、憲法改正を試みるべき時
にきているといえる。国民にとっての憲法改正論議は、自衛隊の位置づけといったことよ
りも、行政の仕組みと行政長の権限の改正、なかんずく、大統領制もしくは首相公選制度
による強力な主権在民制度の確立にある。現行の主権在官を21世紀に持ち越したなら
ば、日本の国の終わりとなる。

★少子高齢化から住宅、土地問題まで
少子化問題は、育児と仕事の共働き負担が軽減されないかぎり解決は難しい。合計特殊
出生率(女性が一生に産む子どもの数)が1.34(99年)と世界有数の低出生率国に
なった理由は、育児・介護休業法の整備が後手に回っていることも一因だが、根本的なこ
とは、家族、家に対する捉え方と、住宅を建てるための有効的な土地政策の欠如、民間土
地不動産業者の拝金主義にある。
家族のありようについては、儒教風のいい面での礼儀作法の見直しを機に、結婚、子育
てを考えていくという認識を社会全体が持つことが肝要である。そして、低俗なTV番組
を廃止していくため、また真に夢のある番組を多くしていくための公益番組審査委員会を
民間の1000人委員会等の形でIT情報を駆使しながら行うなどの工夫をすることが考
えられる。われわれの知恵は、システムの作り方さえ正しく行えば、悪用されることはな
い。国民の油断がもとで、官僚依存の「由らしむべし、知らしむべからず」を定着させ、
官僚を、無責任でアンコントローラブルにしてしまった轍を踏んではならない。殆どの社
会問題はそのような、斬新な考え方を導入していけば解決可能である。ただ、そのために
は、いいとこどりのご都合主義で、他人に厳しく身内に甘い考えは全て払底してかからな
ければならない。
特に株価が50円を切ってしまった、ゼネコン関連の会社は自然淘汰させることが大切
である。日本におけるゼネコンの果たしてきた役割は、確かに過去においては大きく意味
があったことは認める。しかし、債務超過の会社を600万人の雇用が失われるからとい
うことで、不毛な輸血をし続け、生きながらえさすことができたとしても、それは、不自
然なことで、新しい再生の芽を摘むことになる。ゼネコン、不動産関係の会社に今求めら
れていることは、土地ルネッサンスの主導力の発揮ということである。それは一部、身を
切ることでもあるが、必ず、将来に自らの業界の繁栄にも関わってくることなのである。
土地は遠狭高価で、土地の値段が下がったとはいえ、大都市でも郊外の便利の良いとこ
ろは住宅地で一坪100万円はする。60坪200平米で6000万円もする。そんな高
い土地に、3000万円の家を造り1億円近くもお金をかけるという考えは、普通の常識
人であれば考えない。だから、家は売れ残り、ローンで無理して家を建てた破産者が出
る。競売が増える。競売物件をうまく処理して、土地住宅業者が小銭を稼いでもうけよう
とする。国が自治体が住宅土地政策で何かをするとしたら、公的土地の放出がある。その
場合、収益還元法に基づく価格設定を行うことである。そのことは土地市場の健全な市場
形成に役立つと同時に自治体の赤字財政の改善にも寄与することができるのである。ま
た、宅地建物取引税、ならびに取引報酬の切り下げも検討すべきである。安くすれば土地
は動く。
住宅都市公団などは、分譲住宅の売れ残りを安く民間に放出すればよいものを、一部居住
者の反対運動があるからといって、分譲をやめて賃貸に切り替えてしまった。しかも高い
家賃に変更したままでである。従って、入居者はそれでも入らないという現象が続いてい
るのである。要するに経営ではないのである。売れようが売れまいが、給料だけは頂くと
いう人口が、今どんどんこの国の公共セクターで増え続けている。この状況を変えないこ
とには、あと5年で日本は破産するというのは、どうやら間違いない方向になってきたよ
うだ。
あなたならどうしますか。これから。商売を辞めて国外脱出する人も出てくるかも知れ
ない。しかし、生まれ育った日本がどんなになっても、国民一人一人には何かができるも
のである。また、何かをすべきというのが正しい選択であろう。

●11月から12月の倒産企業(参考):
2000/12/12 日本森林工営株式会社 (ゴルフ場経営  東京都台東区)民事再生手続き開始を申請
2000/12/12 讃岐鉄工株式会社 (荷役運搬設備製造  香川県丸亀市)準自己破産を申請
2000/12/11 大協株式会社 (自動車部品製造 マツダの1次協力メーカー 広島県東広島市)特別清算を申請
2000/12/08 株式会社東札幌ゴルフ倶楽部 (ゴルフ場経営  北海道樺戸郡)破産宣告受ける
2000/12/06 株式会社シンコ-インクス (通信機器工事、電話レンタル  神奈川県横浜市西区)自己破産を申請
2000/11/29 大阪木材株式会社 (木材、建材加工卸  大阪府大阪市住之江区)民事再生手続き開始を申請
2000/11/27 東亜建設株式会社 (土木建築工事  愛知県名古屋市中川区)自己破産を申請
2000/11/27 吹田貿易株式会社 (輸入雑貨卸  京都府京都市中京区)銀行取引停止
2000/11/27 インターリース株式会社 (総合リース業  東京都文京区)特別清算を申請
2000/11/24 庄野澱粉株式会社 (コーンスターチ製造  三重県鈴鹿市)和議による再建を断念、自己破産を申請
2000/11/22 日昇観光株式会社 (ホテル経営  長崎県長崎市)民事再生手続き開始を申請
2000/11/21 横浜開発株式会社 (不動産業 旧・住専大口融資先 東京都渋谷区)特別清算開始決定受ける
2000/11/17 株式会社櫻之宮鉄工所 (鉄骨工事  大阪府大東市)民事再生手続き開始を申請
2000/11/16 株式会社朝日コーポレーション (オーディオ機器、通信機器製造販売  埼玉県川口市)特別清算を申請
2000/11/15 株式会社京都住宅 (建築工事  京都府京都市右京区)民事再生手続き開始を申請
2000/11/13 幸福カード株式会社 (クレジットカード業務、住宅ローン保証 旧・幸?銀行系カード会社 大阪府大阪市西区)民事再生手続き開始決定受ける
2000/11/13 和孝商事株式会社 (不動産賃貸  東京都中央区)破産宣告受ける
2000/11/10 藤原株式会社 (綿織物・ジーンズ卸  大阪府大阪市中央区)自己破産を申請
2000/11/10 鳴河株式会社 (愛知県トップの老舗呉服卸  愛知県名古屋市中区)破産宣告受ける
2000/11/09 荒庄鳴河株式会社 (老舗の呉服、和装品卸  東京都中央区)破産宣告受ける
2000/11/09 株式会社布谷 (  大阪府大阪市浪速区)
2000/11/09 矢田産業株式会社 (ステンレス鋼材専門商社  東京都江戸川区)破産宣告受ける
2000/11/09 株式会社トーベック (合板製造、販売  大阪府泉北郡)民事再生手続き開始を申請
2000/11/08 株式会社第一システムセンター (ソフトウエアの受託開発 旧・第一證券のグループ会社 東京都江東区)破産宣告受ける
2000/11/07 国土産業株式会社 (ゴルフ練習場経営、不動産賃貸  東京都中央区)特別清算開始決定受ける
2000/11/06 新大阪住宅建設株式会社 (宅地分譲、マンション販売  大阪府大阪市東淀川区)銀行取引停止
2000/11/06 株式会社花園ゴルフクラブ (ゴルフ場経営  埼玉県大里郡)特別清算開始決定を受ける
2000/11/02 赤井電機株式会社 (音響・映像機器製造 東証・大証・名証1部上場 東京都)民事再生手続き開始を申請
2000/11/01 川辺物産株式会社 (不動産販売、賃貸業 旧・住専、旧・兵庫銀行グループの大口融資先 大阪府大阪市西区)2回目不渡り
2000/11/01 東京マリン株式会社ほか2社 (レジャープール、フィットネスクラブ経営  東京都足立区)破産宣告受ける
2000/11/01 大阪レンタル株式会社 (建設機械レンタル  大阪府茨木市)民事再生手続き開始決定受ける
2000/11/01 株式会社美和建設 (不動産売買  東京都杉並区)破産宣告受ける
2000/11/01 堀之内土建株式会社 (解体工事、砕石販売  大阪府大阪市港区)事業停止
2000/11/01 株式会社ナガサキヤ (老舗の高級洋菓子メーカー 元大証2部・京証上場 京都府京都市中京区)会社更生法による再建を断念、自己破産申請へ

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